切込み量とは
読み: きりこみりょう
切込み量とは、旋削やフライス加工で工具がワークに切り込む深さ、または径方向の除去量を指す加工条件の一つである。
概要
切削加工の条件は、切込み量・送り速度・切削速度の3つの組み合わせで決まる。切込み量は工具刃先がワーク材料に食い込む深さ方向(旋削の場合は径方向)の量を指し、記号ではapやtで表されることが多い。荒加工では切込み量を大きく取り一度に多くの材料を除去し、仕上げ加工では切込み量を小さくして面粗さと寸法精度を優先する、という使い分けが基本になる。
切込み量が大きいほど単位時間あたりの除去量(材料除去率)は増えるが、その分だけ切削抵抗も大きくなるため、工具剛性やワークの保持方法との釣り合いを見て決める必要がある。
送り速度・切削速度との関係
切込み量、送り速度、切削速度は互いに独立した条件ではなく、切削抵抗と工具寿命を通じてつながっている。切込み量を大きくすると単位時間あたりの除去量は増えるが、切削抵抗が増して工具のたわみやびびりを誘発しやすくなる。
逆に切込み量を小さくして送り速度で除去量を稼ごうとすると、工具刃先の同じ箇所が繰り返し材料と接触する時間が長くなり、摩耗が偏って進みやすくなる場合がある。加工条件を検討する際は、切込み量だけを単独で変えるのではなく、送り速度・切削速度とのバランスで見る必要がある。
深穴加工における切込み量の考え方
ガンドリル加工やBTA加工のような深穴加工では、工具の突き出し長さが長くなるため、荒加工のように切込み量を大きく取る発想がそのまま通用しにくい。深穴用のドリルは刃先形状と切削油の流路で切りくず排出を担っており、切込み量を無理に増やすと切りくずが太くなって穴内部に詰まりやすくなる。
深穴加工では切込み量そのものより、切りくずの形状と排出性を軸に条件を決める場合が多い。
びびり・工具寿命との関係
切込み量が過大だと、工具刃先にかかる切削抵抗が増え、工具や工作物のたわみが大きくなってびびり振動を誘発しやすくなる。反対に切込み量が小さすぎると、工具刃先が材料表面を擦るように加工する状態になり、構成刃先が生じやすくなったり工具摩耗が偏ったりする。
適正な切込み量は、工具メーカーが示す条件表や過去の加工実績を基準に、実際の切りくず形状やびびりの有無を見ながら調整するのが実務的である。
よくある誤解
✕ 切込み量を大きくするほど加工時間が短縮できる。
○ 切込み量を増やすと切削抵抗が増加し、工具のたわみやびびり振動を誘発しやすくなる。工具剛性や機械剛性を超えた切込み量はかえって加工時間や工具交換頻度を増やす。
✕ 切込み量と送り速度は同じ意味の条件である。
○ 切込み量は工具がワークに食い込む深さ・径方向の量、送り速度は工具またはワークが単位時間に移動する量であり、別の軸で制御する条件である。両者を組み合わせて材料除去率が決まる。
✕ 深穴加工でも荒加工と同じ発想で切込み量を大きく取ればよい。
○ 深穴加工は切りくずを工具内部やV溝から排出する構造上の制約があり、切込み量を増やして切りくずが太くなると排出不良や工具の詰まりにつながりやすい。
よくある質問
切込み量はどうやって決めますか?+
切込み量を大きくすると工具寿命は短くなりますか?+
深穴加工の切込み量は通常の穴あけと違いますか?+
関連用語
出典
- JIS B 0170(機械加工用語)
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