構成刃先とは
読み: こうせいはさき
構成刃先とは、切削加工中に工具のすくい面へワーク材料の一部が凝着・堆積し、刃先の一部のように振る舞う現象である。
概要
切削加工では、工具刃先とワークが高い圧力・温度で接触するため、材料によっては工具のすくい面に切りくずの一部が溶着したように付着することがある。この付着物は成長すると本来の刃先の形状を変え、実質的な刃先の役割を担うようになる。これを構成刃先(built-up edge)と呼ぶ。
構成刃先は一定の大きさまで成長すると剥離し、また新たに形成されるというサイクルを繰り返す。
発生の機構
構成刃先は、切りくずが工具すくい面上を滑る際の摩擦熱と圧力によって、材料の一部が工具表面に凝着することで生じる。凝着した材料は加工硬化して工具の一部のように機能するが、成長して不安定になると一部が剥離し、ワーク表面や工具刃先に付着したまま加工面に転写される。
剥離と再形成が周期的に繰り返されるため、加工面の粗さが不安定になりやすい。
発生しやすい材質・条件
構成刃先は、アルミニウム合金や低炭素鋼、銅合金のように延性が高く工具材料と凝着しやすい材質で発生しやすい。また、切削速度が低く切削温度がそれほど高くない条件では構成刃先が成長しやすく、逆に切削速度を上げて切削温度を高くすると構成刃先は減少する傾向がある。
ただし切削速度を上げすぎると今度は工具摩耗が進みやすくなるため、材質ごとに構成刃先が出にくい条件域を選ぶ必要がある。
防止策
構成刃先を抑えるには、切削速度を適正な範囲まで上げる、切削油剤(潤滑性の高い不水溶性切削油など)を使って工具とワークの凝着を抑える、工具表面にコーティングを施して凝着しにくくする、といった方法がある。
すくい角の大きい工具を使って切りくずの流れをスムーズにすることも有効とされる。
よくある誤解
✕ 構成刃先がつくと刃先が補強されて切れ味が上がる。
○ 構成刃先は成長と剥離を周期的に繰り返す不安定な付着物であり、加工面の粗さを乱し、寸法精度を悪化させる要因になる。刃先の補強にはならない。
✕ 構成刃先は工具が摩耗している証拠である。
○ 構成刃先は工具摩耗そのものではなく、材料の凝着によって生じる別の現象である。ただし構成刃先の脱落時に工具表面が一緒にはがれることで摩耗が進む場合はある。
よくある質問
構成刃先はどんな材質で起きやすいですか?+
構成刃先が発生すると何が問題になりますか?+
構成刃先を抑えるにはどうすればよいですか?+
関連用語
出典
- JIS B 0170(機械加工用語)
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