送り速度とは
読み: おくりそくど
送り速度とは、切削加工において工具または素材が単位時間あたりに送られる距離であり、mm/min(分あたり)またはmm/rev(1回転あたり)で表される。
概要
切削加工は、刃先がワークに接触しながら移動することで進む。この移動のうち、回転方向の速さを表すのが切削速度、回転軸方向あるいは主軸に対して工具・素材が進む方向の速さを表すのが送り速度である。旋盤加工では1回転あたりに工具が移動する距離(mm/rev)、フライス加工では1分あたりに工具が移動する距離(mm/min)で表すことが多い。
送り速度は切削速度と組み合わさって、切りくずの厚みや発生する切削抵抗を決める。どちらか一方だけを見て加工条件を判断することはできない。
切削速度との違い
切削速度は刃先とワークの相対的な速さ、送り速度は工具・素材が進む距離あたりの速さという点で異なる指標である。切削速度が主に刃先温度や工具摩耗に影響するのに対し、送り速度は主に切りくずの厚みと仕上げ面の粗さに影響する。
両者は独立に設定できるが、実際には工具や機械の許容範囲の中で組み合わせを決める必要があり、片方だけを大きく変えると想定外の負荷や振動が生じることがある。
仕上げ面に与える影響
送り速度を大きくすると、1刃あたりの切削量が増えるため加工能率は上がるが、加工面には送りに応じた筋(送りマーク)が周期的に残りやすくなる。仕上げ加工で要求される表面粗さが厳しい場合、送り速度を小さくして筋のピッチを細かくする必要がある。
逆に送り速度を極端に小さくすると、工具が同じ場所を長くこすることになり、摩擦熱の増加や工具刃先の摩耗が進みやすくなる場合もある。
深穴加工での送り速度管理
深穴加工では、送り速度が切りくずの形状と排出性に直結する。送り速度が大きすぎると切りくずが厚くなり、細長い穴の中を工具内部やすき間を通って排出される過程で詰まりやすくなる。逆に小さすぎると切りくずが細かくなりすぎ、切削油とともに流れにくくなることもある。
深江特殊鋼の技術コラムでも、高精度な深穴加工のポイントとして、切削速度とあわせて送り速度や冷却液の使用方法を適切に調整することが挙げられており、深穴加工における切りくず排出性の確保でも送り条件の調整が重要な要素として扱われている。
送りすぎ・送り不足のリスク
送り速度が過大だと、切削抵抗の急増による工具破損や、加工面の粗さ悪化につながる。送り速度が過小だと、加工時間の増加に加えて、工具刃先が同じ場所に長く接触することによる摩耗の集中や、切りくずが薄くなりすぎることによる排出不良が起きることがある。適正な送り速度は、材質・工具・加工形状の組み合わせごとに条件出しをして決めるのが実務上の基本になる。
よくある誤解
✕ 送り速度を上げれば、切削速度を変えなくても加工時間を短縮できる。
○ 送り速度を上げると切りくずが厚くなり、切削抵抗が増して工具破損や面粗度悪化のリスクが高まる。切削速度・送り速度は組み合わせで管理する必要があり、片方だけを大きく変えるのは危険である。
✕ 深穴加工では送り速度を落とせば落とすほど安全である。
○ 送り速度を落としすぎると切りくずが薄くなりすぎて排出性が悪化したり、工具刃先が同じ場所に長く接触して摩耗が進みやすくなることがある。切りくず排出との兼ね合いで適正値を見極める必要がある。
よくある質問
送り速度と切削速度、どちらを優先して調整すべきですか。+
深穴加工で送り速度が重要視されるのはなぜですか。+
送り速度の単位がmm/minとmm/revで違うのはなぜですか。+
関連用語
出典
- BTA・ガンドリル加工.com 技術コラム「高精度の深穴加工のポイント」「深穴加工において切り粉の排出性を良くするためには?」(深江特殊鋼)
- 一般的な機械加工工学の知見(送り速度と仕上げ面・切りくず形状の関係)
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