びびり振動とは
読み: びびりしんどう
びびり振動とは、切削加工中に工具とワークの間で自励的に発生する周期的な振動で、放置すると加工面に縞状の痕や精度不良を残す現象である。
概要
切削加工では、工具刃先がワークに切り込む際の反力(切削抵抗)と、工具・ワーク・機械系のたわみが相互に影響し合っている。この相互作用がある条件を超えると、外部からの強制振動がなくても振動が自己増幅していく自励振動が生じる。これがびびり振動である。
加工面には周期的な縞模様(びびりマーク)が残り、寸法精度や面粗さが悪化するほか、進行すると工具の欠損につながることもある。
発生の機構
びびり振動の代表的な発生機構は、再生効果(リジェネレーティブチャタ)と呼ばれる。工具が前の回転や前の切削行程で残した加工面のうねりを、次の切削行程でなぞる際に切削厚さが周期的に変化し、その変化が切削抵抗の変動を生む。
この変動が工具またはワークのたわみを揺らし、揺れがさらに次の切削厚さのうねりを大きくする、という循環でびびりが増幅していく。したがって、びびりは工具や機械の一部が悪いというより、系全体の剛性と切削条件の組み合わせで決まる現象である。
深穴加工でびびりが起きやすい理由
深穴加工では、ガンドリルやボーリングバーのような長く細い工具をワークの奥まで挿入して加工するため、工具の突き出し長さが長くなる。突き出しが長い工具はたわみやすく剛性が低下するため、通常の穴あけよりもびびりが発生しやすい条件になる。
長尺シャフトのような部品を深穴加工する際も、加工ワークが長いほど工具のびびりやワークのたわみによる精度不良が起こりやすいことが実務上知られている。パイプ形状のように肉厚が薄いワークでは、クランプによる変形と合わせてびびりが発生しやすくなる。
対策
びびり対策の基本は、系の剛性を上げるか、切削条件を系の剛性に合わせて下げるかのいずれかである。深穴加工では、ガイドパッドやガイドブッシュで工具を穴の内壁に沿わせて支えることで、工具の実質的なたわみを抑える方法がとられる。
また、突き出し長さを最小限にする段取りや、ワークの把持方法の見直し、送り速度・切削速度の調整によって切削抵抗の変動を抑える方法もある。びびりが発生した際に切削速度だけを一律に下げる対応は効果が限定的な場合があり、突き出し長さや工具剛性、ワーク保持方法まで含めて見直す方が根本対策になりやすい。
よくある誤解
✕ びびり振動は切削速度を落とせば必ず止まる。
○ びびりは切削速度・送り・切込み量に加えて工具突き出し長さやワーク保持剛性が絡む自励振動であり、速度を落とすだけでは解消しない場合がある。系全体の剛性とのバランスで対策する必要がある。
✕ びびり振動は工具が悪いために起きる。
○ びびりは工具単体の問題ではなく、工具・ワーク・機械からなる系全体の剛性と切削条件の組み合わせで発生する。ガイドパッドやワーク把持方法の見直しが有効な場合も多い。
よくある質問
びびり振動が起きるとどんな不具合が出ますか?+
深穴加工でびびりが起きやすいのはなぜですか?+
びびりが発生したらどう対応すればよいですか?+
関連用語
出典
このページの情報は役に立ちましたか?