切りくず処理とは
読み: きりくずしょり
切りくず処理とは、切削加工中に発生する切りくず(切粉)を加工点や穴の内部から排出し、工具や仕上げ面への悪影響を防ぐための一連の対策である。
概要
穴あけ加工では、削り取られた材料が切りくずとして発生する。浅い穴であれば切りくずは自然に排出されやすいが、穴が深くなるほど切りくずが穴底や工具の溝に滞留しやすくなる。滞留した切りくずは工具の溝を詰まらせ、切削抵抗の増大や工具の摩耗・欠損、加工精度の悪化を引き起こす。この排出を安定させるための工具形状・切削条件・切削液の選定をまとめて切りくず処理と呼ぶ。
排出性を左右する要因
深江特殊鋼の技術コラムによれば、切りくずの排出性は主に3つの対策で改善できるとされている。第一に、切りくずが分断されるよう送り速度・送り量を調整すること。分断されずにつながった切りくずは工具の溝内で絡まりやすく、排出の妨げになる。第二に、溝長の長いロングドリルの採用や工具溝形状のカスタマイズにより、切りくずが流れ出やすい経路を確保すること。第三に、切削液(水性・油性)をワーク材質に応じて選定し、適切に供給することである。
工法による違い
ガンドリル加工は工具先端から切削液を吐出し、切りくずを工具外周のV溝を通して手前に排出する方式である。BTA加工は逆に外側から切削液を送り、切りくずをボーリングバー内部から機外へ排出する。どちらの工法も、切削液の圧力と流量が切りくずの排出性を直接左右するため、油圧・流量の管理は加工条件の一部として扱われる。
実務での注意点
粘りのある材質(軟鋼や銅合金など)は切りくずが長くつながりやすく、排出が不安定になりやすい。深江特殊鋼では、こうした材質に対して工具形状の改良や切削条件の調整によって排出性を高めた実績がある。材質が切りくず処理の難易度を左右するため、深穴加工の見積時には対象材質を明確に伝えることが重要になる。
よくある誤解
✕ 切りくず処理は切削液をかけておけば自動的にうまくいく。
○ 切削液だけでなく、送り速度・送り量による切りくずの分断と、工具の溝形状による排出経路の確保が揃って初めて安定する。切削液の供給はその一部でしかない。
✕ 切りくずの排出性はどの材質でも同じ条件で対応できる。
○ 軟鋼や銅合金のように粘りのある材質は切りくずが長くつながりやすく、難削材とは別の条件設定が必要になる。材質ごとに工具形状・切削条件のノウハウが排出性を左右する。
よくある質問
深穴加工で切りくずが詰まるとどうなりますか?+
ガンドリルとBTAで切りくずの排出方向は違いますか?+
切りくずが分断されやすい材質・されにくい材質はありますか?+
関連用語
出典
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