ロングドリルとは
読み: ろんぐどりる
ロングドリルとは、通常のツイストドリルよりも溝長・全長を伸ばし、標準的なドリルでは届かない深さの穴あけに使われる工具である。
概要
標準的なツイストドリルは、溝長が短いために切りくずの排出経路も短く、ある程度の深さまでしか安定して穴をあけられない。もう少し深い穴が必要な場合、まず検討されるのが溝長・全長を伸ばしたロングドリル、さらに長いスーパーロングドリルである。
溝長を長くすることで切りくずの排出性を向上させることができ、標準ドリルでは対応できない深さの穴でも、専用の深穴加工設備を使わずに加工できる場合がある。
たわみ・びびりのリスクと対策
ロングドリルのように突出し長さが長い工具で加工を行うと、工具の刃先がたわんで剛性が低下し、ブレ(振れ)やびびりが発生しやすくなる。深穴加工でよくあるトラブルとして、切りくずの排出性が悪いこと、工具の突出し長さが長いためのブレやびびり、穴が曲がってしまうことが挙げられ、ロングドリルはこの二つ目・三つ目の課題と特に関係が深い。
対策としては、穴径と同程度か若干径が大きいガイド穴をあけておき工具の入り口を安定させる、ワークへの食いつきが良くなるよう切削条件を調整するといった方法がとられる。全長が長い工具ほど穴が曲がりやすいため、直進性の確保に特に注意が必要になる。
適用できる深さの目安
対応できる深さは工具径・材質・機械剛性によって変わるが、一般に、通常のツイストドリルで対応できる深さの目安は穴径の30倍程度とされ、ロングドリルはこの目安を多少超える範囲まで対応を広げる工具という位置づけになる。それでも、L/D比(穴径に対する深さの比)が大きくなるほどたわみ・びびり・穴曲がりのリスクは増していく。
さらに深い穴や、より高い真直度が求められる場合は、専用の案内機構と切削油循環を備えたガンドリル加工・BTA加工に切り替えるのが実務上の判断になる。
ガンドリル・BTA加工との使い分け
ロングドリルは、標準のマシニングセンタや汎用旋盤に装着して使える汎用性の高さが利点であり、専用機を必要としない分、段取りや設備投資の面で有利になることがある。一方、ガンドリル加工・BTA加工は専用の案内機構と高圧の切削油循環を前提に設計されており、より深い穴やより高い真直度に対応できる。
どちらを選ぶべきかは、必要な深さ・精度と、専用設備を使う必要があるかどうかの見極めによって決まる。境目の判断が難しい場合は、加工先に穴径・深さ・要求精度を伝えて相談するのが確実である。
よくある誤解
✕ ロングドリルを使えば、どんな深さの穴でも標準ドリルの延長で対応できる。
○ 溝長を伸ばすことで切りくずの排出性は向上するが、突出し長さが長くなる分、工具のたわみ・びびり・穴曲がりのリスクも増す。深さが増すほどガンドリル加工・BTA加工のような専用工法との比較検討が必要になる。
✕ ロングドリルでの穴曲がりは、送り速度を上げれば解決する。
○ 送り速度の調整は切りくずの分断には有効だが、穴曲がりの主因は工具のたわみと直進性の欠如である。ガイド穴の設定や工具剛性の見直しなど、送り条件以外の対策もあわせて必要になる。
よくある質問
ロングドリルとスーパーロングドリルの違いは何ですか。+
ロングドリルで穴が曲がってしまう場合、どんな対策がありますか。+
ロングドリルでの加工とガンドリル加工、どちらが安く済みますか。+
関連用語
出典
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