振れ止めとは
読み: ふれどめ
振れ止めとは、旋盤加工で長尺・細径のワークを外周から支持し、加工中のたわみやびびり振動を抑えるための治具である。
概要
旋盤加工では、ワークの両端をチャックと心押し台で保持するのが基本だが、ワークが長く細いほど中央部がたわみやすくなる。たわんだ状態で切削を続けると、外径寸法が長さ方向で一定にならず、加工中に振動(びびり)が発生して面粗度も悪化する。
振れ止めは、このたわみを抑えるためにワークの外周を追加で支持する治具である。ベッド側に固定して使う固定振れ止めと、刃物台に取り付けてワークとともに移動する移動振れ止めの2種類が代表的で、加工箇所や工程に応じて使い分けられる。
固定振れ止めと移動振れ止め
固定振れ止めは旋盤のベッド上の任意の位置に固定し、その位置でワークを支える。ワークの中央付近など、たわみが最も出やすい箇所を狙って設置するのが一般的である。すでに旋削済みで真円度の出ている部分を支持基準にすることで、支持自体が新たな振れの原因にならないようにする。
移動振れ止めは刃物台とともに移動し、切削点のすぐ近くを常に支え続ける。加工の進行に伴って支持点も移動するため、長尺全体にわたって高い剛性を保ちやすいが、支持部が未加工面に接触する場合は面粗度への影響を考慮する必要がある。
深穴加工との関係
振れ止めは旋盤の外周加工(旋削)でワークのたわみを抑える治具であるのに対し、深穴加工でBTAヘッドに付属するガイドパッドは、穴の内壁を基準に工具側を支える機構である。支持する対象が「ワークの外周」か「工具・穴の内壁」かという点で異なるが、どちらも「加工中に長細い対象がたわむと精度が出ない」という同じ課題への対策である。
長尺シャフトのように外周旋削と深穴加工の両方が必要な部品では、旋削工程での振れ止めの使用が、後工程の深穴加工の基準となる外径精度を左右することもある。
運用上の注意点
振れ止めを設置する箇所は、事前に一度旋削して真円に近い状態にしておく必要がある。黒皮や鋳肌が残ったままの箇所を支持基準にすると、その凹凸がそのまま振動として加工に伝わってしまう。
また、支持圧が強すぎるとワークを変形させ、逆に弱すぎるとたわみを抑えきれない。ワークの材質や剛性、支持箇所の径に応じて適切な支持圧に調整する必要があり、この調整の巧拙が長尺ワークの加工精度を大きく左右する。
よくある誤解
✕ 振れ止めを使えば、どんなに長いワークでも問題なく加工できる。
○ 振れ止めはたわみを軽減する治具であり、万能ではない。ワークの剛性や支持箇所の状態、支持圧の設定次第では効果が限定的になることもあり、長さ・径・材質に応じた工程設計が別途必要である。
✕ 振れ止めと深穴加工のガイドパッドは同じ部品である。
○ 振れ止めは旋盤加工でワークの外周を支える治具、ガイドパッドはBTA加工で工具側が穴の内壁を基準に支持される機構であり、対象も工程も異なる。役割の考え方は似ているが同一の装置ではない。
よくある質問
振れ止めはどんな長さ・径のワークから必要になりますか。+
振れ止めを使う場合、加工できる箇所に制約はありますか。+
振れ止めを使う加工と使わない加工で、見積もりや納期は変わりますか。+
関連用語
出典
- 振れ止め(固定振れ止め・移動振れ止め)の一般的な機能と構造(旋盤加工に関する一般的な工作機械知識)
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