熱変位とは
読み: ねつへんい
熱変位とは、工作機械の主軸やワーク、工具が加工中の温度変化によって膨張・収縮し、加工位置や寸法に誤差を生じる現象である。
概要
工作機械は、主軸の回転や切削抵抗、周辺環境の温度変化によって各部が発熱し、金属が熱膨張する。この熱膨張が主軸や工具、ワークの相対位置をわずかにずらし、加工寸法や位置精度に誤差として現れる現象を熱変位と呼ぶ。
熱変位は加工開始直後と機械が温まった後とで誤差量が変わることが多く、高精度が求められる加工では無視できない要因になる。
発生の機構
主軸の軸受部やモータ、切削点で発生した熱は、機械の構造材や工具、ワークへ伝わり、それぞれの熱膨張係数に応じて寸法変化を起こす。深穴加工のように工具の突き出しが長い加工では、工具自体の温度上昇による伸びも加工位置に影響しやすい。
熱源からの距離や材質によって膨張量と伝わる速さが異なるため、熱変位は時間とともに変化し続ける動的な現象である。
深穴加工における熱変位の影響
深穴加工では長い工具を使うため、加工中の振動や熱膨張による精度の低下が懸念される。工具の温度上昇が刃先の位置をわずかに変化させると、穴の径寸法や真直度に影響が出ることがある。
高精度な深穴加工を安定させるには、切削油剤による冷却で加工点の温度上昇を抑えることが対策の一つになる。
対策
熱変位への対策としては、機械の暖機運転で温度状態を安定させてから本加工に入る方法、切削油剤を十分に供給して加工点の温度上昇を抑える方法、加工中の温度変化を見込んで補正をかける方法などがある。
高精度が求められる加工ほど、切削条件だけでなく機械・工具の温度管理まで含めて検討する必要がある。
よくある誤解
✕ 熱変位は機械が古くなった場合にだけ起きる問題である。
○ 熱変位は新しい機械でも主軸の回転や切削熱によって発生する現象であり、機械の経年劣化とは別の要因である。
✕ 熱変位は加工開始直後が最も安定している。
○ 機械は稼働直後がむしろ温度変化の途中であり、暖機が終わって温度状態が安定した後の方が誤差が小さく安定する場合が多い。
よくある質問
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熱変位を抑えるにはどうすればよいですか?+
深穴加工で熱変位はどのように影響しますか?+
関連用語
出典
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