真直度とは
読み: しんちょくど
真直度とは、対象となる軸線・母線・稜線が幾何学的に理想の直線からどれだけ外れているかを表す幾何公差の一種である。単独形体に対して定義され、他の面や軸を基準(データム)に取らずに評価する点が位置度や同軸度と異なる。
概要
真直度は、円筒の母線や軸の中心線など「本来まっすぐであるべき線」が、実際にどれだけ曲がっているかを数値で表す指標である。長尺シャフトや深穴のように長さ方向の寸法が大きい部品では、加工中のたわみや工具の逃げによって軸線がわずかに湾曲しやすく、真直度が品質を左右する主要な項目になる。
真直度は単独形体の公差であり、平面度・位置度・同軸度のように基準面(データム)を指定する必要がない。対象そのものの理想直線からのばらつきだけを問題にするためである。
深穴加工と穴曲がりの関係
深穴加工の分野で「穴曲がり」と呼ばれる現象は、加工中に工具が意図せず逸れて穴の中心線が湾曲することを指す。真直度は、この穴曲がりの結果を数値で表した検査・図面上の指標であり、両者は現象と評価尺度の関係にある。
BTA加工やガンドリル加工では、工具先端のガイドパッドが加工済みの穴内壁を基準にして刃先の位置を支える構造になっている。この自己案内機構があるため、穴が深くなっても工具が大きく逸れにくく、結果として真直度を維持しやすい。ガイドパッドを持たない一般的なツイストドリルでは、穴が深くなるほど真直度の悪化が顕著になる。
測定方法
外周部品の真直度は、V字ブロックに載せてダイヤルゲージで母線をなぞる方法や、三次元測定機(CMM)で複数断面の中心座標を求めて評価する方法が一般的である。
深穴のように内部が見えない対象では、直接に軸線をなぞることができないため、長さ方向の複数箇所で内径・偏肉(肉厚の偏り)を測定し、中心座標のずれから真直度を推定する方法や、ボアスコープで内面を観察しつつ専用の深穴測定治具を使う方法が使われる。測定できる範囲は保有設備に依存するため、要求精度が厳しい場合は加工前に測定方法を確認しておくと手戻りが少ない。
図面での指示方法と実務上の注意点
真直度は幾何公差記号(直線を表す記号)を用いた公差記入枠で指示し、データムの指定は不要である。値は対象の全長に対して適用されるのが基本だが、指定区間だけに適用したい場合は区間の長さを併記する。
L/D比(穴径に対する深さの比)が大きくなるほど、工具のわずかな逃げが穴の末端で大きな軸線のずれとして現れやすくなるため、同じ真直度公差でも深い穴ほど加工難易度が上がる。発注時は穴径・深さ・材質に加えて要求する真直度の値を明確にしておくと、工法選定と見積の精度が上がる。
よくある誤解
✕ 真直度と真円度は同じ意味で使ってよい。
○ 真直度は軸線・母線が長さ方向にどれだけ曲がっているかを表す指標であり、真円度は特定の断面が円からどれだけ歪んでいるかを表す指標である。評価する方向(長さ方向か断面方向か)が異なる。
✕ 「完全にまっすぐ」と指示すれば十分である。
○ 真直度公差がゼロの形体は物理的に作れないため、検査基準として機能しない。許容できる公差値をmm単位で明示し、必要なら適用区間も併記する必要がある。
✕ 穴曲がりが起きなければ真直度は自動的に良くなる。
○ 穴曲がりは加工中に工具が逸れる現象、真直度はその結果を数値で表す評価尺度である。穴曲がりを抑える工法(ガイドパッド付きの工具など)を選んでも、測定して公差内であることを確認しなければ保証にはならない。
よくある質問
深穴の真直度はどうやって測定しますか?+
真直度が悪いとどんな不具合が起きますか?+
真直度公差にはデータムが必要ですか?+
同じ真直度公差でも、深い穴ほど加工が難しいのはなぜですか?+
関連用語
出典
- JIS B 0021(幾何公差の図示方式)
- BTA・ガンドリル加工.com 技術コラム「ガンドリルの構造」(深江特殊鋼)
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