位置度とは
読み: いちど
位置度とは、穴や軸、溝などの中心位置が、データムを基準にした理想の位置からどれだけずれてよいかを表す幾何公差である。位置のずれを直径方向の円形公差域で規定する点が、縦横それぞれの寸法公差で位置を管理する方式と異なる。
概要
位置度は、穴の中心などが理想位置(データムからの理論的に正確な寸法で定めた点)を中心とする円形または円筒形の公差域の中に収まっているかどうかで判定される公差である。縦方向・横方向それぞれに個別の寸法公差を与える方式に比べ、公差域が円形になるため実際に許容される面積が広く取れる。
複数の穴が並ぶ部品や、ボルト穴のように相手部品との組み合わせが重要な形体で使われることが多い。
円形公差域と最大実体公差方式
位置度の公差域は円(または円筒)で規定されるため、縦横別々に公差を割り当てる方式に比べて同じ製造ばらつきでも合格域を広く確保できる。これは、実際に組み付け時に問題になるのは中心位置と穴径の組み合わせであり、方向によって許容量を変える理由がないという考え方に基づく。
最大実体公差方式(MMC)を併用すると、穴径が最大実体寸法(穴なら最小径)から離れるほど、その分だけ位置度の公差を追加で緩めることができる。穴が公差の限度いっぱいまで大きく仕上がった場合は、位置がずれてもボルトなどの相手部品が通ることを利用した考え方である。
深穴・多孔部品での実務上の注意点
熱交換器のチューブシートやシャワーヘッドのように多数の穴を配置する部品では、各穴の位置度が全体の性能(流量分布や組み付け性)に直結する。穴数が多いほど、1穴あたりのわずかな位置ずれが積み重なって検査工数が増える傾向がある。
深穴では、加工中の穴曲がりが入口位置は正しくても出口側で位置がずれる原因になるため、位置度は入口・出口のどちらで評価するか、あるいは全長にわたって評価するかを図面で明確にしておく必要がある。
よくある誤解
✕ 位置度は縦横の寸法公差を厳しくすれば代用できる。
○ 縦横別の寸法公差では正方形の合格域になり、同じ製造ばらつきでも合格域が円形の位置度より狭くなる。位置度を使うことで、実際に必要な精度を過不足なく指定しやすくなる。
✕ 最大実体公差方式(MMC)は常に使うべきである。
○ MMCは穴径が公差の限度いっぱいまで大きい場合に位置度を緩める仕組みであり、はめあいの機能上、常に穴径と位置のトレードオフを許容してよいとは限らない。相手部品との関係を踏まえて適用するかどうかを判断する必要がある。
✕ 深穴の位置度は入口側だけ確認すればよい。
○ 深穴では加工中の穴曲がりにより、入口の位置が正しくても出口側で位置がずれることがある。位置度をどの断面・区間で評価するかを図面で明確にしておかないと、検査基準が曖昧になる。
よくある質問
位置度と寸法公差、何が違いますか?+
最大実体公差方式(MMC)とは何ですか?+
深穴の位置度はどこで評価すればよいですか?+
関連用語
出典
- JIS B 0021(幾何公差の図示方式)
- JIS B 0023(最大実体公差方式及び最小実体公差方式)
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