データムとは
読み: でーたむ
データムとは、平行度や直角度、位置度といった幾何公差を評価する際に基準として使う、理論的に正確な平面・軸線・点のことであり、実際の部品では特定の面や穴を測定基準として指定することで実現される。
概要
姿勢公差(平行度・直角度・傾斜度)や位置公差(位置度・同軸度)は、「何に対して」ずれを測るかが決まらないと評価できない。この「何に対して」にあたるのがデータムである。
図面上ではデータムは英大文字(A、B、Cなど)で表され、対象となる面や軸に三角形の記号とともに付記される。幾何公差の指示枠の中に「A」のようにデータム文字が書かれていれば、その公差はデータムAを基準として評価するという意味になる。データムの指定がない幾何公差(平面度や真円度など形状公差の一部)は、対象そのものの形だけを評価するため、データムを必要としない。
データムの選び方
データムには、部品の機能上の基準となる面・軸を選ぶのが原則である。例えば、他部品と組み立てる際に接触する面、回転の中心となる軸、位置決めに使うピン穴などが候補になる。
選び方を誤ると、図面上は公差を満たしていても、実際の組立や機能では問題が起きることがある。例えば見た目にわかりやすいという理由だけで加工基準面をデータムに選んでしまうと、実際に組立で接触する面とは別の基準で精度が保証され、機能上必要な精度が担保されない場合がある。データムは「測りやすい場所」ではなく「機能上意味のある場所」を優先して選ぶ必要がある。
複数データムと優先順位
1つの幾何公差指示に複数のデータムを指定することもある。この場合、データム文字を書く順序が優先順位を表す。最初に書かれたデータム(第一次データム)が最優先の基準となり、部品をそのデータムに接触させて姿勢を決める。次に第二次データムで残りの自由度を拘束し、必要であれば第三次データムでさらに絞り込む。
この優先順位は、実際の検査治具や測定機での部品の据え付け方にも対応する。データムの順序を入れ替えると、同じ部品でも評価結果が変わることがあるため、図面の指示順は測定方法と一致させて解釈する必要がある。
深穴部品でのデータムの取り方
深穴部品では、加工基準として使う端面や外径をデータムに選ぶことが多いが、穴が長い部品では、データムとして選んだ基準面から離れた位置(穴の奥)ほど、測定・加工の誤差が積み重なりやすいという特有の事情がある。
そのため深穴部品の位置度や直角度を保証する際は、データムをどの面に取るかに加えて、そのデータムから見て穴のどの位置(入口・奥)まで幾何公差を保証してほしいかを明確にしておくと、検査結果の解釈の食い違いを防ぎやすい。
よくある誤解
✕ データムは測定しやすい面を選べばよい。
○ データムは部品の機能上の基準(組立で接触する面、回転中心となる軸など)を優先して選ぶべきであり、測定のしやすさだけで選ぶと、図面上の公差を満たしても実際の組立・機能で問題が生じる可能性がある。
✕ 複数のデータムを指定する場合、書く順序は結果に影響しない。
○ データム文字の記載順は優先順位を表し、第一次・第二次・第三次の順で部品の姿勢を段階的に拘束する。順序を入れ替えると評価結果が変わり得るため、測定方法との整合が必要である。
✕ 深穴部品でも、浅い部品と同じ感覚でデータムから穴全体の精度が一様に保証される。
○ 深穴部品ではデータムから離れた穴の奥ほど誤差が積み重なりやすい。データムを取る面に加えて、幾何公差をどの深さ位置まで保証するかを明確にしておく必要がある。
よくある質問
データムは必ず1つだけ指定するものですか?+
図面のデータムを変えると、加工の難易度は変わりますか?+
深穴部品でデータムを指定する際、特に伝えるべきことはありますか?+
関連用語
出典
- JIS B 0021(製図-幾何公差表示方式)
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