直角度とは
読み: ちょっかくど
直角度とは、JIS B 0021で定める姿勢公差の一つで、対象となる面や軸線が、指定したデータムに対して理論的に正確な90度からどれだけずれているかを、許容される最大のずれ幅で規定するものである。
概要
組立部品では、ある面と別の面、あるいは面と穴の軸線が「直角であるべき」という要求が頻繁に生じる。例えば箱物部品の側面と底面、フランジ面とそこに開けた穴の中心線などである。直角度は、この直角関係が許容範囲内に収まっているかを規定する公差である。
姿勢公差に分類され、平行度と同様に必ずデータムを伴う。データムに対して対象がどれだけ90度から外れているか、その最大のずれをμm単位や0.01mm単位で指定する。単位が角度(度・分・秒)ではなく長さの数値で表される点は、一般の角度公差との違いとして押さえておきたい。
角度公差との違い
直角度と混同されやすいものに、単純な角度寸法とその公差(例えば「45°±0.5°」のような指示)がある。角度公差は角度そのものの数値を対象とするのに対し、直角度は幾何公差の枠組みで扱われ、データムに対する90度からのずれを、対象面の全長・全幅にわたる最大値として評価する。
このため直角度は、単に片側の角度がずれているかだけでなく、面全体がどれだけねじれずに直角を保っているかまで含めて評価する点が、単純な角度寸法公差とは異なる。図面でどちらの指示方式を使うかは、要求される評価の厳密さと測定方法によって選ばれる。
測定方法
直角度は、データムとなる面を定盤や測定機の基準に正しく据え付けたうえで、対象面にスコヤ(直角定規)を当てて隙間をすきまゲージで測る方法や、ダイヤルゲージで対象面をなぞりデータムからの角度ずれを算出する方法が使われる。より高精度な評価では三次元測定機で対象面・データム面を数値的に測定し、直角度を算出する。
穴の軸線とデータム面との直角度を評価する場合は、軸線の傾きを測定するための専用治具や、三次元測定機によるプローブ測定が使われることが多い。
深穴部品での実務上の意味
深穴部品では、端面(座面・フランジ面)に対して穴の軸線がどれだけ直角に開いているかが問題になる場面がある。直角度がずれていると、そこに通すシャフトやピストンが傾いて挿入され、摺動時の偏摩耗や異音の原因になることがある。
深穴加工では、加工開始時にワークをどう据え付けるか(端面をデータムとして正しく基準出しできているか)が、穴の直角度に直結する。据え付け精度が悪いまま加工を始めると、穴自体の真直度が良くても、端面に対する直角度は満たせないことがあるため、加工前の基準面の準備(前加工での旋盤・フライス仕上げ)が直角度の確保に効いてくる。
よくある誤解
✕ 直角度は角度の単位(度・分・秒)で指定される公差である。
○ 直角度は幾何公差であり、対象面の全長・全幅にわたる最大のずれを長さの単位(mm・μm)で規定する。角度の数値そのものを対象とする角度寸法公差とは指示方法が異なる。
✕ 穴の真直度が良ければ、端面に対する直角度も自動的に満たされる。
○ 真直度は穴そのものの曲がりを評価するのに対し、直角度は端面(データム)に対する角度関係を評価する別の特性である。加工開始時の据え付け精度が悪ければ、穴自体がまっすぐでも端面に対して傾いて開くことがある。
✕ 直角度はスコヤを当てて隙間を目視すれば十分正確に評価できる。
○ 簡易的な確認にはスコヤも使われるが、厳しい直角度を要求する部品では、すきまゲージやダイヤルゲージ、三次元測定機による数値的な評価が必要になる。目視だけでは公差内かどうかの判定精度が不足する場合がある。
よくある質問
直角度の数値はmmとμmのどちらで指定されますか?+
直角度と平行度は同時に指定できますか?+
深穴部品の直角度を良くするために、発注時にできることはありますか?+
関連用語
出典
- JIS B 0021(製図-幾何公差表示方式)
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