切削速度とは
読み: せっさくそくど
切削速度とは、切削加工において工具の刃先とワークが接触する点における相対的な速度であり、一般にm/min(メートル毎分)で表される。
概要
切削加工は、工具の刃先がワーク表面をこすりながら削り取ることで進む。このとき刃先とワークの接触点がどれだけの速さで相対的に移動しているかを表す指標が切削速度である。旋盤加工のように工具が固定でワークが回転する場合は、ワークの外径と回転数から計算し、フライス加工のように工具が回転する場合は工具径と回転数から計算する。
切削速度は送り速度と並んで加工条件を決める基本パラメータであり、材質・工具・冷却方法との組み合わせで最適値が変わる。
計算式
円形の工具またはワークにおける切削速度Vは、ワークまたは工具の直径D(mm)と回転数N(min⁻¹)を用いて、V=π×D×N/1000(m/min)で求められる。回転数を上げるか工具径・ワーク径を大きくすると切削速度は上がる。
実務では、工具メーカーが材質ごとに推奨する切削速度の範囲をカタログで示しており、その範囲内で回転数を逆算して設定するのが一般的な進め方である。
材質・工具による適正値の考え方
切削速度が高すぎると刃先の温度が上がり、工具摩耗が急速に進んだり、構成刃先が生じて面粗度が悪化する。逆に低すぎると加工能率が落ち、場合によっては切れ味が悪くなって仕上げ面を損なうこともある。
適正な切削速度は、被削材の硬さ・熱伝導性、工具の材質(超硬合金・ハイス鋼など)やコーティングによって大きく変わる。ステンレス鋼やインコネルのような難削材は、炭素鋼に比べて低い切削速度域で使うのが一般的である。
深穴加工での切削速度管理
深穴加工では、長い工具を使うため切削速度の設定が工具の振動や熱変位に与える影響が通常の加工より大きい。深江特殊鋼の技術コラムでも、高精度な深穴加工を行うためのポイントとして、切削速度や送り速度、冷却液の使用方法を適切に調整することの重要性が挙げられている。
穴が深くなるほど工具先端の状態を直接確認しにくいため、切削速度と送り速度の組み合わせを事前の条件出しでどれだけ詰められているかが、加工の安定性を左右する。
速度と工具寿命の関係
切削速度を上げると単位時間あたりの加工量は増えるが、工具摩耗の進行も速くなり、工具寿命は短くなる傾向がある。逆に切削速度を下げると工具寿命は延びるが、加工時間が増えてコストに跳ね返る。切削速度は、加工能率と工具寿命・コストのバランスを取るために調整するパラメータである。
よくある誤解
✕ 切削速度は速いほど加工が早く終わるので、常に上げたほうがよい。
○ 切削速度を上げすぎると刃先温度が上がり工具摩耗が急速に進む、あるいは構成刃先が生じて面粗度が悪化することがある。材質・工具に応じた適正範囲の中で設定する必要がある。
✕ 切削速度は工具のカタログ値をそのまま使えばよく、材質による調整は不要である。
○ カタログ値は目安であり、被削材の硬さ・熱伝導性、実際の機械剛性や冷却条件によって最適値は変わる。特に難削材では、標準的な炭素鋼向けの値をそのまま使うと工具寿命が大きく低下することがある。
よくある質問
切削速度と回転数は同じ意味ですか。+
難削材は切削速度を落とせば問題なく加工できますか。+
深穴加工の見積で切削速度の詳細を聞かれるのはなぜですか。+
関連用語
出典
- BTA・ガンドリル加工.com 技術コラム「高精度の深穴加工のポイント」(深江特殊鋼)
- 一般的な機械加工工学の知見(切削速度の計算式と工具寿命の関係)
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