荒加工とは
読み: あらかこう
荒加工とは、最終形状に対して意図的に削り代(取り代)を残しながら、切込み量と送りを大きくとって短時間に大きな体積を除去する切削工程である。
概要
機械加工は、最終寸法をいきなり狙うのではなく、粗く削って形を近づける段階と、寸法・面粗度を詰める段階に分けて進めるのが一般的である。荒加工は前者にあたり、除去効率を優先するため工具への負荷が大きく、面粗度や寸法精度はこの段階ではあまり追求しない。
荒加工でどれだけ形状を最終寸法に近づけておくかによって、後工程である仕上げ加工の負荷が変わる。荒加工だけを別会社に外注し、仕上げは別途行うという発注形態も実務では珍しくない。
仕上げ加工との役割分担
荒加工は体積除去の効率、仕上げ加工は寸法公差と面粗度の達成、というように目的が分かれる。荒加工の切削条件(切込み量・送り速度)を大きくとると、工具や素材に負荷がかかり発熱や振動も大きくなるため、そのまま仕上げまで続けると寸法が安定しない。
このため、荒加工の後に一度冷却時間を置く、あるいは工具を交換して仕上げ加工に移るという工程分割が行われる。素材が大きい場合や難削材の場合は、荒加工と仕上げ加工の間に中仕上げを挟むこともある。
荒加工で管理すべきこと
荒加工では寸法精度そのものより、後工程に影響を残さないことが重要になる。具体的には、取り代を均一に残せているか、荒加工時の発熱や切削力による歪みが素材内部に残留応力として残っていないか、といった点である。
荒加工で取り代が偏っていたり、内部に応力が残ったままだと、仕上げ加工や熱処理の段階で寸法が動く原因になる。特に薄肉部や長尺部品では、荒加工の順序自体が歪みの出方を左右する。
深穴加工との関係
深穴加工(BTA加工・ガンドリル加工)の前工程として、旋盤やフライス盤による荒加工が行われることがある。深江特殊鋼の技術コラムでは、SCM440材の外径φ133・長さ464の素材にガンドリル加工でφ21の穴をあけ、その後旋盤で外径の荒加工を行い、最終仕上げは客先で実施した事例が紹介されている。このように、深穴加工の前後どちらに荒加工を置くかは案件ごとに異なる。
発注上の注意点
荒加工のみを外注する場合、仕上げしろ(取り代)をどの程度残すかを事前に取り決めておく必要がある。取り代が少なすぎると仕上げ工程で狙いの寸法まで削れず、多すぎると仕上げ加工の工数が増える。図面の最終寸法だけでなく、荒加工完了時点の目標寸法を明示して依頼すると、後工程での手戻りを防ぎやすい。
よくある誤解
✕ 荒加工は雑に削ってよい工程なので、精度は考えなくてよい。
○ 寸法精度こそ追求しないが、取り代の均一性や残留応力の管理を怠ると、後工程の仕上げ加工や熱処理で歪みが出る原因になる。荒加工の段階から後工程を見据えた管理が必要である。
✕ 荒加工と仕上げ加工は同じ切削条件で連続して行うのが効率的である。
○ 荒加工は発熱・振動が大きく、そのまま仕上げに移ると寸法が安定しない。工具交換や冷却時間を挟んで工程を分けるのが一般的である。
よくある質問
荒加工だけを外注し、仕上げは自社で行うことはできますか。+
荒加工の段階で歪みが出ることはありますか。+
深穴加工と荒加工はどちらを先に行うべきですか。+
関連用語
出典
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