段付き穴とは
読み: だんつきあな
段付き穴とは、一本の穴の中に径の異なる区間を持ち、その境目が段差でつながっている穴形状である。
概要
穴は必ずしも一定の径で貫通するとは限らない。ボルトの頭を沈める座ぐり穴、ベアリングの受け段、パイプの口元だけ径を変えたい継手部品など、機能上の理由で穴の途中に径の変化点を設けることがある。この径違いの区間が段差でつながった穴形状を段付き穴と呼ぶ。
段差の位置と径は図面で個別に指示され、標準化された分類はない。設計上は「小径部の長さ」「大径部の長さ」「段差部の角度・R」の3点が加工側に伝わる情報として重要になる。
加工方法
段付き穴の加工は、径ごとに異なる工具または加工径設定で複数回に分けて行うのが基本である。マシニングセンタや旋盤では、ドリルで下穴をあけたあとボーリングバイトで段部ごとに径を広げていく。
深穴領域を含む段付き穴では、BTA加工でも対応できる。深江特殊鋼の加工事例では、工作機械のスピンドル部品(SCM440、外径φ133)に対し、ストレートの段付き形状だけでなくテーパー形状にも対応した実績がある。段差が深穴部にかかる場合は、先に大径側を加工してから小径側の深穴を仕上げる順序が一般的である。小径側を先にあけると、後から大径側を加工する際の位置基準が失われやすいためである。
深穴加工での注意点
深穴の途中に段差がある場合、工具はその段差を通過してさらに奥へ進む必要がある。ガンドリルやBTAのボーリングバーは段差の手前後で径が変わるため、径変化点を境に工具または加工条件を切り替える設計にしないと、段差部にむしれや段差ズレが生じやすい。
また、大径部と小径部の同軸度は、両者を同一のチャッキングと基準面から加工することで確保しやすくなる。工程を分けて別々の段取りで加工すると、段差部の同軸度がずれるリスクが高まる。
用途
工作機械のスピンドルやドローチューブ、油圧シリンダのロッドガイド、ボルト穴の座ぐりなど、機能の異なる区間を一本の穴でつなぐ部品に多く見られる。特に軸受の受け段や、シールを設置する段差部では、段差位置の寸法公差が機能に直結する。
よくある誤解
✕ 段付き穴は通常の穴あけの延長で、特別な計画なしに加工できる。
○ 径が変わる箇所では工具や加工手順を切り替える必要があり、切り替えのたびに同軸度がずれる可能性がある。特に深穴部を含む場合は、大径側と小径側のどちらを基準にして加工するかを事前に決めておく必要がある。
✕ 段数を増やしても、最終的な精度への影響は径ごとに独立している。
○ 段差を挟んで工具や段取りを変えるたびに位置決め誤差が積み重なる。段数が増えるほど全体の同軸度・直角度の管理が難しくなるため、機能上必要な段数まで絞り込むのが実務的である。
よくある質問
段付き穴の同軸度はどこまで保証できますか?+
深い段付き穴は一度の工程で加工できますか?+
段差部に面取りやRの指示は必要ですか?+
関連用語
出典
- BTA・ガンドリル加工.com 技術コラム「深穴加工の種類」加工事例(スピンドル部品の段付き・テーパー形状対応)(深江特殊鋼)
- JIS B 0401(寸法公差及びはめあい)
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