難削材とは
読み: なんさくざい
難削材とは、切削加工において工具摩耗や加工精度の確保が難しい材料の総称であり、明確な規格上の定義はなく、耐熱合金・チタン合金・オーステナイト系ステンレス鋼などが代表例として挙げられる。
概要
難削材という言葉は特定の材質を指すのではなく、切削加工の難易度が高い材料群をまとめて呼ぶ実務上の総称である。何が難削材にあたるかは加工方法や工具によっても変わるが、一般的にはインコネルなどの耐熱合金、チタン合金、オーステナイト系ステンレス鋼(SUS304・SUS316等)、一部の高硬度鋼が挙げられる。
難削性の原因は材質ごとに異なり、熱伝導率の低さ、加工硬化のしやすさ、構成刃先のできやすさなど複数の要因が組み合わさって現れる。
削りにくくなる主な機構
耐熱合金やチタン合金は熱伝導率が低いため、切削で発生した熱が母材に逃げにくく、刃先に熱が集中して工具摩耗が早く進む。オーステナイト系ステンレス鋼は加工硬化しやすく、一度硬くなった表面をさらに削ることで刃先への負荷が増す。
また、材質によっては粘りが強く切りくずが分断されにくいため、切りくずが刃先や加工面に絡みつき、びびり振動や面粗さの悪化を招くことがある。これらの機構が単独または組み合わさって、難削材特有の加工困難さになる。
対策の考え方
難削材の加工では、熱の集中を抑えるための低速・高送りの条件設定や、耐熱性の高い超硬グレード・コーティング工具の選定が基本になる。高圧クーラントで刃先を冷却し、切りくずを強制的に排出することも有効な対策である。
深穴加工のように工具が長時間ワーク内部にとどまる工法では、熱と切りくずの排出経路が長くなるため、通常材以上に条件出しと工具選定のノウハウが加工結果を左右する。
深穴加工における注意点
難削材の深穴加工では、工具摩耗の進行を見込んだ工具交換周期の設定や、穴曲がり・真直度への影響を考慮した送り条件の管理が必要になる。材質ごとに最適な切削条件が大きく異なるため、加工実績のある材質かどうかが加工先選定の重要な判断材料になる。
見積段階では、材質・穴径・深さに加えて要求精度を明確にし、難削材特有の追加工数やコストを事前に共有しておくことがトラブル防止につながる。
よくある誤解
✕ 難削材とは、規格で定義された特定の材質グループのことである。
○ 難削材に明確な規格上の定義はなく、加工の難易度が高い材料群を指す実務上の総称である。同じ材質でも工具や加工方法によって難削性の程度は変わる。
✕ 難削材は硬いから削りにくい、という単純な理由である。
○ 硬さだけでなく、熱伝導率の低さや加工硬化のしやすさ、切りくずの分断されにくさなど複数の機構が組み合わさって難削性が生まれる。材質ごとに主な原因が異なるため、一律の対策では通用しない。
✕ 難削材でも通常材と同じ切削条件で、時間をかければ加工できる。
○ 条件を変えずに時間をかけるだけでは、工具摩耗の急増や熱による精度悪化を招きやすい。材質に応じた工具グレード・冷却方法・送り条件の見直しが必要になる。
よくある質問
難削材にはどんな材質が含まれますか。+
難削材の深穴加工で工具寿命を延ばすにはどうすればよいですか。+
難削材は見積の際に何を伝えればよいですか。+
関連用語
出典
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