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航空機体やエンジンの部品加工はどこまで外注できるか、発注前に何を確認すべきか?

航空機体やエンジンの部品加工は、まず図面の要求規格欄で、JIS Q 9100(AS9100)の品質システム要求と、Nadcapの特殊工程認証の要求を分けて確認します[14]。旋盤加工やフライス加工、研削そのものが、AC7126で認証対象の特殊工程になる場合があるためです[6]。認証と関わらない部品や試作は、チタン合金やSUS630でも、通常の精密部品と同じ材料と公差の判断で外注できます。

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要求規格欄の読み方が分からない段階でも、部品名と分かっている条件だけで送ってください。図面や具体的なアイデアがなくてもOK!認証要求の切り分けから一緒に進めます。

まず確認すること

航空機体やエンジンの部品加工の外注で最初に決まるのは、加工方法ではなく、図面の要求規格欄の読み方です。JIS Q 9100の品質システム認証とNadcapの特殊工程認証は別の制度で、旋盤加工やフライス加工、研削といった機械加工そのものが特殊工程として認証対象になる場合があります[6]。深江特殊鋼は、この要求規格の確認から入り、図面と材料、数量をうかがったうえで対応可否と見積を回答します[16]。

要求規格: JIS Q 9100(AS9100)の適用範囲と、Nadcap特殊工程(旋盤加工や研削を含むAC7126)の要否、検査記録の要求[6][14]
認証の主体: 認証を保有している必要があるのが見積元の法人か、実際に削る工場か[14]
材料規格: Ti-6Al-4VならAMS4928(棒材)かAMS4911(板材)かの形態指定と、ミルシート(材料証明)の要否[13]
後処理: SUS630など析出硬化系ステンレスの不動態化処理(AMS2700のMethod、Type、Class)の指定と、処理後の検査の有無[10]
清浄度: 燃料系や油圧系の部品で、NAS1638の清浄度クラス(粒子径5〜15μmなどの区分別の許容粒子数)の指定があるかどうか[11]
公差の既定: 個別指示のない寸法に適用する普通公差の等級(JIS B 0405の中級mで30〜120mm区分は±0.3mm)[12]
FAIと記録: 初回品質検査(FAI)の要否と、キー特性に指定された公差の測定記録の範囲[14]
数量と納期: 試作の単品か量産か、素材は支給か手配込みか

納期が遅れやすいポイント

  • 見積書の「AS9100取得済み」という表記だけでは、認証を保有しているのが見積元の法人か、実際に削る工場かが読み取れない。[14]
  • 図面の要求規格欄に「AS9100準拠」とだけ書かれ、JIS Q 9100のどの適用範囲か、Nadcapの特殊工程認証が別に要る案件なのかが判断できない。[6][14]
  • 長年の加工先が航空機事業から撤退し、交換部品や増産分を出せる先が急に無くなった。[9]
  • Nadcap認証の新規取得に標準で6〜12ヶ月かかることを知らないまま、認証必須案件の立ち上げ日程を組んでしまう。[5]
  • Ti-6Al-4VやSUS630の図面で、材料規格(AMS4928/AMS4911)や不動態化処理(AMS2700)の指定を見積条件へどう落とすかが分からない。[10][13]

Q. なぜ航空機の部品加工では、JIS Q 9100だけでなくNadcapまで確認が要るのか?

A. JIS Q 9100(AS9100)は会社の品質マネジメントシステムに対する認証、Nadcapは工程そのものに対する技術認証で、確認する対象が別だからです。旋盤加工やフライス加工、研削といった機械加工も、AC7126という監査基準で特殊工程として認証の対象になります[6]。 JIS Q 9100は航空宇宙分野の品質マネジメント規格で、国内では一般社団法人日本航空宇宙工業会(SJAC)内のJAQGが2001年から認証制度の推進を担っています[3]。JAQGの参加企業は500社以上とされ、1998年設立の国際組織IAQGのネットワークに組み込まれています[3]。ここまでは法人単位の話です。認証を持つのは会社であって、図面上の個々の工程の出来を直接保証する仕組みではありません。 では、工程の側は誰が見るのでしょうか。それを担うのがNadcapです。1990年に始まった業界主導の認証プログラムで、PRI(Performance Review Institute)が運営し、熱処理や非破壊検査、溶接など24の重要工程を対象にしています[4]。切削は特殊工程ではない、と読みたくなりますが、実在する認証証がその読みを否定します。穴あけ、ブローチ加工、旋削、フライス加工、研削、エッジ処理を対象範囲とする「特殊工程としての一般機械加工」の認証(AC7126)が現に発行されています[6]。旋盤やフライスで削る工程が、溶接や熱処理と同じ列で監査の対象に置かれているということです。 この二重構造は発注の日程に直接響きます。Nadcapの初回認証取得は、登録から自己監査、現地監査(2〜5日間)、是正処置を経て、標準で6〜12ヶ月を要するとされています[5]。認証の有効期間は24ヶ月で、定期監査により更新されます[6]。認証必須の案件で、認証を持たない加工先に新規取得から入ってもらう計画は、半年から1年の準備期間を最初から織り込むことになります。認証取得済みの供給者はQML(認定製造業者リスト)で公開されているため、要求規格欄にNadcapの記載がある図面は、対象工程と認証の要否を発注元に確かめるところから始まります[5]。

Q. 機体とエンジンの部品市場はどう動いていて、発注側には何が起きるのか?

A. 生産の重心が機体からエンジンへ移り、どちらも金額の大半を本体ではなく部品が占めています。2024年の日本の航空機関連総生産高は約1兆9,062億円で、前年比19.8%増です[1]。 内訳では、エンジンが総生産高の53.3%、機体が38.5%です[1]。15年前は逆でした。2009年は機体59.5%、エンジン29.5%で、この間に生産構成が機体主体からエンジン主体へ転換しています[2]。金額を部品と本体に分けると構図はさらにはっきりします。エンジン用部品の製造金額はエンジン本体の約62倍、機体部品と付属装置は機体本体の約13倍で、統計の金額のほとんどが部品の製造で成り立っています[1]。需要別では民間向けが71.8%、防衛向けが28.2%です[1]。業界団体SJACの正会員は機体からエンジン、素材までの約130社ですが、その部品を実際に削るTier2/3の加工会社の数は、この会員数には表れません[7]。 伸びている市場なら発注先探しは楽になりそうですが、供給側はそう単純ではありません。コロナ禍の2021年には製造金額が約9,498億円と、2019年の約57%まで落ち込みました[2]。この時期に、秋田県の航空機部品サプライヤが航空機産業から撤退し、山形県のサプライヤが航空機内装品事業から撤退して機械加工へ事業を特化した事例が、学術調査で報告されています[9]。要因としては、コロナ禍、三菱スペースジェットの開発中止、ボーイングの事故という複合要因が挙げられています[9]。市場が回復しても、一度抜けた加工先の枠は自動では埋まりません。 国の側も同じ構造を見ています。航空機部品は経済安全保障上の特定重要物資に指定され、大型鍛造品や複合材料など部素材の増産と研究開発の支援に744億円の予算が計上されています[8]。経済産業省が新設した官民検討会は、機体構造体、エンジン関連、装備品の3領域を対象に供給網の強化を検討しており、エアバスとボーイングが生産機数を増やす高レート化を視野に入れるなか、サプライヤは対応を求められる見通しとされています[8]。発注側から見れば、認証取得済みの加工先の枠が埋まる前に、二次の発注先を条件面から確かめておく理由がここにあります。

Q. 深江特殊鋼に航空機体やエンジンの部品加工を相談すると、何がどこまで進むのか?

A. 図面の要求規格欄の確認から入り、材料と公差、数量の条件がそろえば、対応可否と見積を回答します[16]。 最初に確認するのは、(1)JIS Q 9100の適用がどの範囲に及ぶ案件か、(2)Nadcapの特殊工程認証が要る工程はどれか、(3)FAI(初回品質検査)とトレーサビリティ記録がどの粒度で要るか、の3点です。同じ図面でも、この読み分けで工程の組み方と検査記録、材料証明の範囲が変わります[14]。要求が図面から読み取れない場合は、発注元の注文書と品質条項のどこを確認すべきかの整理からお手伝いします。 工程能力の物差しには、公開している加工事例の数値を使います。Ti-6Al-4V製の航空機エンジン用アクセサリーハウジング(φ250×L180)を同時5軸制御のワンチャック加工で全寸法公差±0.02mm以内に収め、段取り替えを5回から1回に減らした公開事例があります[17]。SUS630製の航空機燃料バルブボディでは、硬度HRC44±1の管理下で流路の面粗度Ra0.35に仕上げた公開事例があります[18]。歯面と軸径にRa0.4、端面に平面度0.005mmが指定される燃料ポンプ部品の工程の考え方は、既存の解説ページで公開しています[15]。素材の手配や熱処理、表面処理を含む案件も、国内認定パートナー150社超のネットワークで、材料と精度、ロット、納期の4軸に合わせて一括で受けます[16]。 材料と後処理の規格は、見積条件への落とし方がある程度決まっています。Ti-6Al-4Vは棒材(AMS4928)と板材(AMS4911)で規格が分かれ、成分範囲はAl 5.5〜6.75%、V 3.5〜4.5%です[13]。析出硬化系ステンレスの不動態化処理は、AMS2700が硝酸法とクエン酸法の浴組成と温度、浸漬時間を定めており、MethodやType、検証Classは発注者が指定する運用です[10]。燃料系や油圧系では、NAS1638の清浄度クラス(5〜15μmの粒子はクラス6で100mlあたり16,000個まで、といった刻み)が指定に入ることがあります[11]。一方で、個別に公差指示のない寸法には一般機械と同じ普通公差が適用され、中級mなら30〜120mmの区分で±0.3mmです[12]。航空宇宙品質の案件だからといって、図面のすべての寸法が精密公差になるわけではありません。厳しさの中心は、キー特性に指定された寸法の作り込みと、その測定記録の残し方にあります。

図面で見ておきたい条件

  • 相談の最初に、図面の要求規格欄に書かれた認証要求(JIS Q 9100、AS9100、Nadcap、FAIの要否)と、その認証をどの法人が保有している必要があるかをお知らせください。要求の書き方で、工程の分担と検査記録、材料証明の範囲が変わります[14]。
  • 材料規格の形態指定(Ti-6Al-4VならAMS4928の棒材かAMS4911の板材か)と、不動態化処理などの後処理規格(AMS2700のMethodとType)が分かると、素材の手配と検査の確認が早く進みます[10][13]。

相談前に知っておきたいこと

  • 対応可否と費用は、図面と要求規格の適用範囲を確認してから回答します。
  • JIS Q 9100やNadcapといった認証の取得代行は行っていません。加工側が担うのは、注文書で取り決めた図面要求の実現と検査記録の提出までです[14]。
  • 機体やエンジンの設計変更の可否を加工側で判断することはできません。図面の指定を変える相談は、設計権限を持つ発注元での確認が要ります。

関連するものづくりトピックス

業界での実機事例(参考)

Ti-6Al-4V航空機用ハウジングの5軸加工の加工写真

Ti-6Al-4V航空機用ハウジングの5軸加工

5axismachininglathetitanium
SUS630航空機燃料バルブボディの5軸マシニング加工の加工写真

SUS630航空機燃料バルブボディの5軸マシニング加工

5axismachiningheat-treatmentsus630

よくある質問

図面が固まっていない段階でも相談できますか?+
相談できます。対象の部品名か用途、材料の見込み、数量、希望納期のうち、分かるものだけで構いません。要求規格との関係が未確認の場合は、確認すべき相手(発注元の品質部門か認証機関か)の切り分けからお手伝いします。仕様がまだ固まっていなくても、条件を整理する段階から進められます。
JIS Q 9100の認証が必須と言われました。何を確認すればよいですか?+
要求しているのが発注元の注文書なのか、その先の機体メーカーの品質条項なのかを先に確認してください。認証がどの法人に、どの適用範囲で要るのかが決まれば、工程の分け方を含めて対応可否を回答します。
Nadcapが要る案件かどうかは、どこで判断できますか?+
図面の要求規格欄と、発注元の注文書の品質条項が判断材料になります。AC7126のような特殊工程の指定が明記されていれば、その工程には認証取得済みの供給者が要ります。記載が曖昧な場合は、発注元へ確認する項目を整理してお渡しします。
Ti-6Al-4Vの素材手配から頼めますか?+
材料規格の形態指定(棒材のAMS4928か板材のAMS4911か)と数量が決まれば、素材手配込みで見積を回答します。ミルシートの要否と、規格の版指定があるかどうかも見積の条件になります。
インコネルなどのニッケル基合金でも対応できますか?+
材質と要求精度が決まれば、対応可否と見積を回答します。ニッケル基合金は形状と公差、数量で工程の組み方が変わるため、図面と一緒にロットの見込みをお知らせいただくと回答が早くなります。
単品や試作1個からでも依頼できますか?+
単品から見積できます。量産の立ち上げ前の試作は、FAIの要否と検査記録の範囲が量産と変わることがあるため、試作段階でどこまでの記録が要るかを合わせてお知らせください。
FAI(初回品質検査)の書類は付けてもらえますか?+
注文書と図面で要求されるFAIの様式と対象範囲を確認してから、どの記録を付けられるかを含めて回答します。キー特性の指定がある図面は、測定方法の指定の有無で検査の段取りが変わります。
海外の機体メーカー系の図面(AS規格やMIL規格の引用)でも見てもらえますか?+
図面に書かれた要求(材料規格、公差、表面処理、検査)を確認して、対応可否を回答します。引用規格の版が古い図面は、現行版との読み替えが要るかどうかを発注元に確認する項目として切り分けます。
熱処理や表面処理まで含めて発注できますか?+
素材の手配から熱処理、不動態化処理などの表面処理、仕上げ加工までを含めて見積できます。処理の指定規格(AMS2700のMethodとTypeなど)が図面にあるかどうかで、工程の確認項目が変わります。
見積のとき何を伝えると初回の回答が早くなりますか?+
要求規格(JIS Q 9100の適用範囲とNadcapの要否)、認証を保有すべき主体、材料規格、数量、希望納期の5点です。図面にキー特性やFAIの指定がある場合は、その記載箇所も合わせてお知らせください。

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参考事例・文献

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