航空機や防衛機器向けのブッシュ(軸受メタル)は、発注前にどこまで条件を決めればよいですか?
まず、内径の仕上げ公差、圧入しろ、圧入後に内径が縮む量、内面の面粗度の4点を決めてください。この4点が決まれば、そのブッシュに必要な工程と対応可否、費用まで含めて回答します。[3][7]
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ブッシュの図面条件を送って相談する
内径公差、圧入しろ、内面の面粗度、適用規格のメモがあれば十分です。図面や具体的なアイデアがなくてもOK!現時点の条件から確認します。
まず確認すること
同じL/D比という語が、この部品では二通りに使われます。ジャーナル軸受の設計側では、ピンのたわみと端部当たりを抑えるためにL/D比を1.5未満に保つことが勧められます。[2] 一方、素材に穴をあける工程側では、公開している加工事例で外径φ170、長さ800mmの素材にφ66を貫通させており、比は12倍を超えます。[4] 図面のL/D比がどちらを指しているかで、先に確認すべき相手が設計側か加工側かに分かれます。
納期が遅れやすいポイント
- 内径公差が単体寸法として指示されているのか、圧入後の寸法として指示されているのか図面から読み取れない[3]
- 内面の面粗度指示がRa0.4μm以下で、どの研削工程で受けられるか判断できない[3][7]
- 図面の適用規格がJIS系なのか米国のAS規格やMIL規格なのかで、必要な検査書類の範囲が変わる[1][2]
- 材質が青銅系の軸受合金になるのか、SCMやS45Cなどの鋼系になるのかがまだ決まっていない[1][3]
- AS9100の認証が要る工程と、公差と検査だけが要る工程が分けられていない[8]
Q. 内径公差は、単体寸法と圧入後寸法のどちらで指示すればよいですか?
A. どちらの状態の寸法かを明記したうえで、圧入による内径の縮み量(10μmから30μm)まで決めてください。[3] 弊社の部品タイプ定義では、ブッシュや軸受メタルを薄肉円筒として扱い、圧入しろの基準を外径f7、内径仕上げ公差の基準をH6からH7としています。[3] この収縮量を逆算せずにフリー状態で狙い値へ仕上げると、圧入した時点で内径が下限を割ります。 JIS B 1582は、一般機械用の滑り軸受ブシュについて、呼び内径6mmから200mmの範囲で内径の公差等級E6と、真円度などへのIT8適用を定めています。[1] ただし同規格の適用範囲は一般機械用と明記されており、航空機用途に限定した規格ではありません。[1] 図面が米国系のAS規格やMIL規格を引いている場合は、そちらの指定が優先します。[2] 自己潤滑ライナー付きのブッシュでは、内径を仕上げる時期そのものが選択肢になります。ライナーは0.25mmから0.38mmの厚みを標準の設計範囲として持ち、貼り付けた後に旋盤やリーマ、ホーニングで機械加工する前提です。厚めのライナーで供給してハウジングへ圧入した後に内径を仕上げれば、圧入による内径の縮みを仕上げ側で吸収できます。[2]
Q. ブッシュの穴加工と内面の研削仕上げは、弊社のどの設備で受けますか?
A. 筒物への穴加工と外径の旋盤加工までが自社設備の範囲で、内面Ra0.4μm以下の研削仕上げは設備一覧に載せていません。[7] BTA深穴加工機は4台あり、対応径はφ20からφ600、最大深さは13,000mmです。[7] 公開している加工事例では、S45Cの外径φ170、長さ800mmの素材にφ66の穴をBTA加工機で貫通させ、1個55mm程度に切断して数量分を納品しています。[4] 短尺のブッシュを数量まとめて作るとき、素材の長さを取って穴をあけてから切る方法です。 設備能力を超える径もあります。SCM415で外径φ608、長さ1215mmの素材にφ344の穴をあけた事例では、その径がBTA加工機の対応外だったため、BTA加工機で加工できる最大径まで加工したうえで旋盤で拡大しました。[5] 穴径がBTA機の対応外になる場合は、通せる最大径までBTAで加工してから旋盤で拡大する工程になるため、素材長さと必要な真直度を先に伺います。ここで使う深さと径の比は、素材に穴を通せるかどうかを決めるだけの数字です。公開事例の外径φ170、長さ800mmにφ66という取り合わせは比が12倍を超えますが、[4] ジャーナル軸受の設計側がピンのたわみと端部当たりを抑えるために1.5未満を勧めるL/D比[2]とは、測っている対象が違います。図面にL/D比の指示がある場合は、どちらの意味かを確認したうえで、設計側と加工側のどちらへ返す条件かを決めます。 内面の研削には、この旋盤への振り替えが効きません。社内の研削設備は平面研削盤とNC立軸円テーブル形研削盤の2台で、どちらも内径研削機ではないためです。[7] 部品タイプ定義が量産の合否ラインとして挙げている内面Ra0.4μm以下の研削仕上げは、社内の設備一覧では示せません。[3][7] 図面の面粗度指示がこの水準かどうかを先に確認し、必要なら協力企業を含めた工程で組みます。[9]
Q. 航空機や防衛機器の案件で、認証と検査記録はどこまで揃っていますか?
A. 深江特殊鋼は自社でAS9100とJIS Q 9100を保有していません。認証が必須な工程は、認証を持つグループ企業の由紀精密経由で対応し、公差と検査だけが要求される工程は自社で受けます。[8] 防衛装備庁向けの調達は、区分によって要求が変わります。カテゴリAの航空機やミサイル、カテゴリBの戦車や艦船ではJIS Q 9100への適合に加えて材料証明や検査記録といった防衛省固有の要求が付き、カテゴリCの車両や船舶のエンジンなどでは同規格の要求がありません。[8] 見積依頼の時点で調達区分が分かれば、認証要求と加工要求を分けて回答できます。[8] 精度と書類の水準は、航空機向けの別部品の事例が目安になります。マルエージング350の航空機アクチュエータハウジングでは、時効硬化後HRC56の状態で位置度±0.012mmを安定させ、初回検査の記録をAS9102の様式1から3で全件残しています。[6] これはブッシュではなくフライス加工のハウジングの事例で、航空機向けに求められる公差と記録の水準の参考として見てください。 弊社は1964年設立で、1975年からBTA深穴加工を続けており、国内300社超の協力企業を持ちます。[9] 自社で削らない工程や材料の手配も引き受けます。
図面で見ておきたい条件
- 内径をどの工程で仕上げるかを先に決めてください。自己潤滑ライナー付きのブッシュでは、ライナーを厚めに供給してハウジングへ圧入した後に内径を仕上げる方法があり、この場合は圧入による内径の縮み(10μmから30μm)を仕上げ側で吸収でき、内径公差の狙い値を組付後の状態で合わせられます。[2][3]
- 相手側であるハウジングの穴公差も合わせて教えてください。ブッシュ単体の外径公差だけが決まっていても締め代が確定せず、圧入後の内径が読めないためです。圧入しろの基準は外径f7ですが、相手の穴が広ければ締め代は減り、内径の縮み量も変わります。[3]
- 熱ばめで組み付ける想定なら、ハウジング側の加熱温度も確認します。自己潤滑ライナー付き軸受では、ハウジングを温める場合でも軸受の温度が163℃(325°F)を超えてはならないとされています。[2] 組付後の内径公差を検査で確認する場合は、測定治具の要否も合わせて決めます。
相談前に知っておきたいこと
- 内面をRa0.4μm以下の研削で仕上げる要求がある場合、社内の研削設備は平面研削盤とNC立軸円テーブル形研削盤の2台で、内径研削機は設備一覧に載せていません。[7] 内径研削が要る図面かどうかを先に確認し、必要なら協力企業を含めた工程で見積します。[9]
- 材質が青銅系の軸受合金になる場合、弊社の部品タイプ定義が標準として挙げている材料はSCM、S45C、SNCMなどの炭素鋼と合金鋼です。[3] 青銅系や自己潤滑ライナー品は、材質と要求精度が決まった時点で、対応可否と費用を回答します。
関連するものづくりトピックス
業界での実機事例(参考)

マルエージング350航空機アクチュエータハウジングのフライス加工
よくある質問
図面や具体的なアイデアがなくても相談できますか?+
図面がJIS指定ですが、航空機用のブッシュとしてそのまま使えますか?+
青銅系の軸受合金でも受けられますか?+
内面をRa0.4μm以下で仕上げる必要があります。どう進めますか?+
自己潤滑ライナー付きのブッシュも相談できますか?+
AS9100が必要な案件は断られますか?+
防衛装備庁向けの案件でも見積は出ますか?+
1個だけの試作でも受けてもらえますか?+
穴径が大きくてBTA機の範囲を外れる場合はどうなりますか?+
納期はどのくらいですか?+
既存の外注先で内径の真円度が出ない案件も相談できますか?+
あわせて読みたい情報
参考事例・文献
内部事例
- [4] BTA・ガンドリル加工.COM: 研削盤の軸受け
- [5] BTA・ガンドリル加工.COM: 射出成型機の軸受け
- [6] 事例: マルエージング350航空機アクチュエータハウジングのフライス加工
設備・会社情報
- [3] 金属加工ジャパン: スリーブ・ライナー(軸受メタル、ブッシュ)
- [7] 金属加工ジャパン: 設備一覧
- [8] 金属加工ジャパン: 防衛装備品メーカーの加工外注ガイド
- [9] 金属加工ジャパン: 会社概要
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