航空機用ハニカムパネルの加工を依頼するとき、何を先に決めればよいのか?
まず、依頼の対象がハニカムコア単体なのか、面板を接着したサンドイッチパネルなのかを分けて確認します。この二つは押さえ方も端部の始末も別の作業です。コアの材料規格、パネル外形寸法、外形公差、端部処理の担当が決まれば、対応可否と見積を回答します。[2]
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ハニカムパネルの条件を送って相談する
パネル外形寸法、コア厚、セルサイズ、密度、面板の材質のメモがあれば十分です。図面や具体的なアイデアがなくてもOK!現時点の条件から確認します。
まず確認すること
素材メーカーが公開しているアルミハニカムコアの規格表には、セルサイズ1/16インチから3/8インチ(約1.6mmから9.5mm)で公差±10%、密度1.0から12.0pcfで公差±10%、シート厚は4インチ未満で±0.005インチ(約0.13mm)という数値が並びます。[1] ただしこれらは、加工前の素材ブロックに対する値です。同じ規格表で長さと幅の公差が+6インチ/-0インチとなっているのは、素材が大きめに供給され、外形は後から落とす前提だからです。[1] 仕上がりパネルの外形公差は材料規格の側では決まらないため、図面で別に指定していただく必要があります。
納期が遅れやすいポイント
- 図面の「ハニカムパネル」が、コア単体を指すのか面板を接着した後のパネルを指すのかが、相談相手と揃わない[2]
- 素材メーカーの規格表にある寸法公差を、加工後のパネル外形公差だと読んでしまう[1]
- セルサイズと密度が未指定のまま見積を依頼し、材料費も加工条件も確定しない[1]
- リボン方向の指示が図面になく、コアの向きを加工側の判断に任せてしまう[2]
- AS9100の認証がどの法人にあるのかを、見積書からは読み取れない[4]
Q. 依頼するのはコア単体ですか、面板を接着したパネルですか?
A. まずここを分けてください。コア単体の切断と、接着済みパネルの外周加工では、押さえ方も端部の始末も別の作業になります。[2] サンドイッチパネルでは、面板がI形鋼のフランジのように曲げを受け持ち、コアがウェブのようにせん断を受け持ちます。接着層が両者を一体として働かせているため、外周を落とす工程では面板とコアの境界が力の掛かりどころになります。[2] コア厚を素材厚の3倍にした比較で重量1.06倍に対して曲げ剛性が37.0倍になるのは、この役割分担が成り立っているからです。[2] 接着済みパネルの外周を落とすと、そこには必ずコアが露出した端部が残ります。露出端は局所的な衝撃や環境の影響を受けやすい弱点なので、充填材を入れる、Z形材やU形材を接着する、箱形の押出材を挿入するといった端部処理が前提になります。[2] これらは取付部や仕上げを兼ねる場合もあるため、外形を落とすところまでの依頼なのか、端部処理まで含めた依頼なのかで、必要な相手先も、端部に使う材料も、検査項目も変わります。 コア側には向きがあります。リボン方向と直角方向で機械的性質が違うため、図面でコアの向きを指定していただかないと、加工側が向きを決めることになります。[2] パネルの作り方も一つではありません。加熱プレス、真空バッグ、対向型(マッチドモールド)の三方式があり、装置に載らない大きさの構造では常温硬化の接着剤で組む方法もあります。[2] 既存パネルの追加工であれば、どの方式で作られたものかが分かる範囲で教えてください。
Q. 見積のために、コアの仕様はどこまで決めればよいですか?
A. 合金、規格番号、セルサイズ、密度、コア厚、パネル外形、リボン方向の7点が決まると、材料手配と加工の切り分けができます。外形公差と端部処理の要否まで決まれば、見積の前提がそろいます。[1][2] 航空機構造に使うアルミハニカムコアには、SAEの材料規格AMS C7438 Rev Aへの適合をうたった製品があり、素材は5052アルミニウム合金の箔です。[1] 注文書に「アルミハニカム」とだけ書くのではなく、規格番号と合金まで書いていただくと、材料手配の段階で読み替えが起きません。腐食抑制処理をしたこの系統のコアは、航空機の床、前縁と後縁、胴体部材、隔壁パネルなどの用途が挙げられています。[1] セルサイズは価格と外面の仕上がりの両方に効きます。セルが大きい方が材料としては安く、面板が薄い場合はセルの形が外面に浮き出るテレグラフィングが起きます。セルが小さいと外観と接着面積では有利になり、価格は上がります。[2] どちらを取るかは、そのパネルが外板側か内装側かで変わります。 密度は強度に直結します。5052のアルミハニカムでは、密度37から130kg/m3の範囲に対して圧縮強さが1.35MPaから11.0MPaまで開きます。[2] 同じ押さえ方や同じ切削条件が別の密度のコアで通用するとは限らないため、密度が決まっていない段階では加工条件まで確定できません。密度そのものは材料側で±10%の公差をもって管理される値です。[1] 素材の供給寸法も確認します。規格表では標準的なシートが48インチ×96インチ(約1,219mm×2,438mm)です。[1] 弊社のマシニングセンタ側の最大加工範囲は2,200mm×4,000mmなので、寸法だけで見ればこのシートは範囲に収まります。[7] ただしこれは金属材料を切削するための加工範囲であり、ハニカムコア専用の治具や集じんを備えた設備ではありません。[7]
Q. 弊社に相談いただいた場合、どこまでを自社で受けますか?
A. コア側の切断や端部処理も、パネルに付く金属部品も含めてご相談いただけます。材料と要求精度が決まった時点で、対応可否と検査範囲をあわせて回答します。[7][8] 公開している航空宇宙向けの部品は、ハウジング、バルブ、フランジ、ノズル、シャフトなどの金属削り出し品で、材質はチタン、インコネル、アルミ、SUS630、マルエージングです。[3] ハニカムコアと複合材の面板はこの一覧にありません。[3] 一方、パネルに付く金物は同じ金属切削の範囲です。取付部を補強するドブラー板、端部を閉じる金具、インサート用の金物は、材質と公差が決まれば通常の切削品として見積れます。最大加工範囲2,200mm×4,000mmのマシニングセンタを含む12台が、寸法側の判断材料になります。[7] 航空機向けに求められる記録の水準は、金属部品側の公開事例で示せます。マルエージング350の操縦翼面アクチュエータハウジング(220×160×95mm)では、時効処理後HRC56の状態で位置度±0.012mm、面粗度Ra0.8を実績とし、全数にAS9102様式1から3の初回検査記録を作成して月産8個を24か月続けました。[5] インコネル718のエンジン補機駆動シャフト(φ60×L700mm)では、φ4×L700mmの内部油路を真直度0.08mm/700mmで加工しており、AS9100とNadcapの特殊工程認証が受注の前提条件でした。[6] 認証は法人ごとに掛かります。JIS Q9100とAS9100を保有しているのはグループの由紀精密であり、深江特殊鋼自身は保有していません。この体制では、深江特殊鋼が材料手配と旋盤、フライス、ガンドリルの荒加工を担当し、認証が要求される仕上げ工程は由紀精密が担当します。[4] 手配側の裏づけとしては、1964年11月設立、従業員120名、国内300社を超える協力企業という体制があります。[8]
図面で見ておきたい条件
- コアの向きを外形公差と同じ扱いで図面に指示してください。ハニカムコア材料はリボン方向と直角方向で機械的性質が違うため、向きの指示がないと加工側が決めることになり、設計が想定したせん断方向と食い違う可能性があります。[2]
- 外形公差は素材公差と分けて指示してください。素材シートの長さと幅の公差は+6インチ/-0インチ、厚さは4インチ未満で±0.005インチ(約0.13mm)、4インチ以上で±0.062インチ(約1.57mm)ですが、これらは加工前の素材ブロックに対する値です。[1]
- 切りくずと粉じんの扱いを先に決めます。ガラス繊維系の粉じんは刺激性があるため、切断作業では吸い込まないようにするとされています。[2] 面板の材質によって必要な集じんと保護具が変わるので、面板側の材質を教えてください。
相談前に知っておきたいこと
- ハニカムコアの切断、コアへのポッティング、フィルム接着剤による接着、面板側の複合材加工は、コア規格、パネル外形寸法、要求する外形公差が決まった時点で対応可否と見積を回答します。[3][7]
- JIS Q9100とAS9100の認証を保有しているのはグループの由紀精密であり、深江特殊鋼自身は保有していません。[4] 図面や仕様書に認証要求がある場合は、どの工程に掛かる要求なのかを先に教えてください。
関連するものづくりトピックス
業界での実機事例(参考)

マルエージング350航空機アクチュエータハウジングのフライス加工

Inconel718航空機エンジンシャフトのガンドリル加工
よくある質問
図面や具体的なアイデアがなくても相談できますか?+
ハニカムパネルそのものの加工実績はありますか?+
コア材の手配もお願いできますか?+
面板を接着した後のパネルの外周トリムだけを依頼できますか?+
セルサイズや密度が決まっていなくても見積は出せますか?+
アラミド系のコアや炭素繊維の面板でも相談できますか?+
JIS Q9100やAS9100が必要な案件でも相談できますか?+
初回品検査の記録はどこまで出せますか?+
パネルの大きさはどこまで機械に載りますか?+
初回の回答を早くするには何を送ればよいですか?+
他社で加工中の案件でも相談できますか?+
あわせて読みたい情報
参考事例・文献
外部資料
内部事例
- [5] 事例: マルエージング350航空機アクチュエータハウジングのフライス加工
- [6] 事例: インコネル718エンジン補機駆動シャフトの冷却穴加工
設備・会社情報
- [3] 金属加工ジャパン: 航空宇宙向け加工
- [4] 金属加工ジャパン: 航空宇宙品質の加工依頼ガイド
- [7] 金属加工ジャパン: 設備一覧
- [8] 金属加工ジャパン: 会社概要
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