チタンフレーム(機体構造材)の加工を発注するとき、素材と寸法のどこまでを先に決めるべきか?
まず、チタンフレームと呼んでいる部品の素材形態(鍛造品か板か棒か)、材料グレード、最大外形寸法の3点を先に決めてください。[1] グレードが決まれば強度と手配できる厚みの上限が定まり、外形寸法が決まれば5軸のワンチャック加工に乗るかどうかが分かれます。[7]
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チタンフレームの相談は素材形態と外形寸法の見当だけで始められます
図面が固まっていなくても構いません。想定している素材形態、材料グレードの候補、最大外形寸法の見当をメモにして、Meta-Naviから相談してください。対応可否と見積もりを回答します。
まず確認すること
チタンフレームの発注では、形状より先に素材の厚みで条件が詰まることがあります。JIS H 4657のチタン鍛造品では、適用できる厚さの範囲が種類ごとに分かれ、純チタン1種から3種は8mmから300mm、Ti-6Al-4V(60種)と低酸素のELI材(60E種)は8mmから100mmと規定されています。[1] 強度の高いグレードほど、鍛造品で手配できる厚みの上限は低くなります。厚い断面が必要な部位に高強度グレードを指定すると、加工に入る前の素材手配の側で条件が合いません。そのため最初に突き合わせるのは、素材形態とグレードと必要な厚みの3点になります。
納期が遅れやすいポイント
- チタンフレームと書いて見積依頼を出したが、加工先ごとに前提とする素材形態とグレードが違い、回答がそろわない[1]
- 薄い底面と深いポケットが同居する形状で、たわみと振動をどこまで見込むべきか決められない[2]
- Ti-6Al-4Vで厚い断面が必要だが、鍛造品で手配できる厚さの上限が分からない[1]
- 外形の大きいフレームで、5軸のワンチャック加工に乗るかどうかを判断できない[7]
- 発注元からJIS Q 9100を求められたが、加工先の保有状況を確かめる方法が分からない[8]
Q. チタンフレームの素材は、どのグレードと厚みで手配すればよいですか?
A. 強度で決めるならTi-6Al-4V(JIS呼称60種)、損傷許容性を重く見るなら低酸素のELI材(60E種)が出発点です。ただし鍛造品で手配できる厚さの範囲が種類ごとに違うため、厚みと同時に決めます。[1] JIS H 4657では、60種の化学成分がアルミニウム5.50から6.75%、バナジウム3.50から4.50%と規定され、機械的性質は引張強さ895MPa以上、耐力825MPa以上、伸び10%以上です。[1] 60E種は酸素を0.13%以下に抑えた区分で、靭性と損傷許容性を重く見る用途向けに別立てされています。[1] 純チタン1種は引張強さ270から410MPa、耐力165MPa以上、伸び27%以上で、強度が大きく落ちる代わりに伸びが高い区分として並んでいます。[1] 社内の材料データでは、Ti-6Al-4Vの引張強さを900から1,100MPa、硬さをHRC30から36、比強度を鋼の約2倍として扱っています。被削性の評価は「難(発熱、凝着注意)」です。[6] 熱がこもり工具に材料が凝着しやすいという評価は、そのまま切削条件とクーラントの決め方に効いてきます。 厚さの区分は見積の前に効きます。純チタン1種から3種は8mmから300mm、4種と14種から23種、50種、60種、60E種は8mmから100mmです。[1] フレームの断面が厚い部位に60種を指定するなら、鍛造品で手配できるかを先に確認します。検査側では、引張試験がJIS Z 2241、化学分析がJIS H 1612から1632-2のいずれかで規定されているため、ミルシートに求める試験方法もこの範囲で指定できます。[1]
Q. フレーム形状のチタン部品では、加工側で何が起きますか?
A. 薄い底面のたわみと、深いポケットで長くなる工具突き出しによる振動です。この2つが工具寿命と加工時間の両方に効きます。[2] 工具メーカーの資料は、チタン製の機体構造部品で起きる問題として、生産性の低さ、振動、工具とワークのたわみ、工具寿命の短さ、切粉詰まり、工程時間の長さを挙げています。[2] 薄い底面はワーク側が切削力を受けて逃げ、深いポケットは工具を長く突き出させます。刃先の位置が指令値からずれる経路が2つあるため、同じ公差でも平板形状より条件が厳しくなります。[2] 同じ資料は対策として、薄い底面のポケットにスパイラル状の工具経路とコーナーのスライシング、切込み深さと切込み幅(ap/ae)の関係の見直しを挙げています。[2] クーラントは大量に、可能なら高圧で供給するとされ、目安として70bar以上、毎分50リットルが示されています。チタンのミーリングで高圧クーラントを使うと、通常圧に対して工具寿命が2倍になるとの記載があります。[2] この2倍という数字はミーリングについての記述であり、旋削、穴あけ、研削には当てはめません。[2] 自社側で示せるのは、Ti-6Al-4Vを5軸でワンチャック加工した実例です。航空機エンジン用アクセサリーハウジング(φ250×L180)で、全寸法公差±0.02mm以内、Ra0.8、段取り替えを5回から1回に減らしてサイクルタイムを35%短縮しました。月産5個、納期25営業日です。[3] 長尺側では、航空機アクチュエータスピンドル(φ50×L800)を5軸加工と円筒研削で仕上げ、真直度±0.008mm、Ra0.4に収めています。[4] 薄肉構造の変形制御では、A6061-T651の衛星構造フレーム(300×200×50mm)で公差目標±0.02mmに対し±0.015mmという実例があります。材質はアルミ、用途は衛星部品です。[5]
Q. 外形が大きいフレームや認証が必要な案件は、何が判断基準になりますか?
A. 最大外形寸法と、要求される認証の2点で分かれます。[7][8] 深江特殊鋼のマシニングセンターは12台で、そのうち同時5軸制御ができるのは立型1台(オークマMU-8000V)です。テーブルは630×φ800mmで、5軸のワンチャック加工に乗る外形はこの範囲までになります。[7] これを超える大きさのフレームは、門型系の3軸機(最大加工範囲2,200×4,000mm)で工程を割って対応します。[7] 5軸で一度に削れるかどうかで段取り回数が変わり、段取りのたびにワークを掴み直すため誤差が積み上がります。ハウジングの実例で段取りを5回から1回に減らしたのは、この累積を断つためです。[3] 認証は保有主体から確認してください。JIS Q 9100とAS9100D、ISO 9001を保有しているのはグループ会社の由紀精密で、深江特殊鋼自身は保有していません。[8] 認証が前提になる工程と検査記録は由紀精密が担当し、素材調達と前工程を深江特殊鋼が受け持ちます。[8] 公開しているチタンの切削速度とクーラント条件は、5軸でのTi-6Al-4Vのデータです。[9] ガンドリル、BTA、汎用旋盤での条件は、グレードと形状が決まってから個別に回答します。[9] 純チタン(1種から4種)はTi-6Al-4Vと熱伝導率も強度も大きく違うため、Ti-6Al-4Vの条件をそのまま当てはめず、グレードごとに確認します。[9] 回答に必要なのは、素材形態、グレード、最大外形寸法、指示公差と面粗度、要求される認証の5点です。この5点が決まれば、対応可否と見積もりを回答します。工具寿命と加工時間の目安も、この5点が決まってから算出します。[1][9]
図面で見ておきたい条件
- チタン製の機体構造フレーム(リブ、スパー、バルクヘッドなど)そのものの加工事例は現時点で公開していません。近い条件として参照できるのは、Ti-6Al-4Vの航空機用ハウジング(φ250×L180)とアクチュエータスピンドル(φ50×L800)です。[3][4]
- 薄肉構造の変形制御で参照している衛星構造フレーム(300×200×50mm)は、材質がA6061-T651のアルミで、衛星部品の実例です。[5]
- 同時5軸制御ができる自社設備は立型1台で、テーブルは630×φ800mmです。これを超える外形は門型系の3軸機(最大加工範囲2,200×4,000mm)まで対応します。[7]
- JIS Q 9100とAS9100D、ISO 9001の保有主体はグループ会社の由紀精密であり、深江特殊鋼自身は保有していません。認証が前提になる工程と検査記録は由紀精密が担当します。[8]
- 社内で公開しているチタンの切削速度とクーラント条件は5軸でのTi-6Al-4Vのデータであり、ガンドリル、BTA、汎用旋盤でのチタン固有の数値条件は公開していません。[9]
相談前に知っておきたいこと
- 工具寿命と加工時間の目安は、素材形態、グレード、最大外形寸法、指示公差が決まってから算出します。図面が固まる前に返せるのは、近い実例との差分までです。[3][9]
- 参照したJIS H 4657は民生のJIS規格で、防衛省規格(NDS)やMIL規格、SAE AMS規格そのものではありません。防衛調達で求められる規格適合は、発注元の仕様書に指定された規格で確認します。[1]
業界での実機事例(参考)

Ti-6Al-4V航空機用ハウジングの5軸加工

Ti-6Al-4V航空機スピンドルの5軸精密加工

A6061衛星構造部品の5軸精密加工
よくある質問
図面がまだ固まっていなくても相談できますか?+
チタン製の機体構造フレームそのものの加工実績はありますか?+
素材は支給と手配のどちらでも受けられますか?+
純チタンとTi-6Al-4Vのどちらを指定すべきか決まっていません。相談できますか?+
JIS Q 9100の認証は御社が持っていますか?+
外形が大きいフレームでも受けられますか?+
薄肉部で加工変形が出ています。相談できますか?+
初回の回答を早くするには何を送ればよいですか?+
防衛装備品向けの案件でも見積もりを出せますか?+
深穴やガンドリル加工を含むチタン部品でも見積もれますか?+
試作1個でも受けられますか?+
あわせて読みたい情報
参考事例・文献
内部事例
- [3] 事例: 航空機エンジン用アクセサリーハウジング(Ti-6Al-4V)
- [4] 事例: 航空機アクチュエータスピンドル(Ti-6Al-4V)
- [5] 事例: 衛星構造フレームの薄肉5軸加工(A6061-T651)
設備・会社情報
- [6] 深江特殊鋼: チタンの材料特性と加工特性
- [7] 深江特殊鋼: マシニングセンター設備一覧
- [8] 深江特殊鋼: AS9100とチタン5軸加工の体制
- [9] 深江特殊鋼: チタンの難削材対策ガイド
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