航空機のストリンガー(縦通材)は、材料と全長と公差をどこまで決めてから加工先に相談すべきか?
ストリンガーは外板を内側から縦方向に支える長尺の補強材で、フレームとストリンガーには7075-T6が使われる組合せが一般的です。[1] まず、材料の合金と質別、素材が押出形材か削り出しか、全長と断面と指示公差の3点を分けて確認します。[2]
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ストリンガーの相談は合金と断面の見当だけで始められます
図面が固まっていなくても構いません。想定している合金、断面形状、全長の見当をメモにして、Meta-Naviから相談してください。対応可否と見積を回答します。
まず確認すること
ストリンガーという一語で呼ばれていても、図面が呼び出す規格は1つではありません。航空機向けの長尺断面材を供給する米国メーカーが公開している部品一覧では、同じハット断面の部材に材料規格AMS-QQ-A-250の枝番が合金と質別ごとに指定され(2024系は/4や/5、7075系は/13)、別に熱処理規格MIL-6088、寸法公差の基準としてCSPS031が重ねて呼び出されています。[2] 材料、熱処理、寸法公差が別々の規格で降りてくるため、見積もりの前に、どの規格が加工工程にかかり、どれが素材側の要求なのかを分けて確認します。[2]
納期が遅れやすいポイント
- 図面に材料規格の枝番と熱処理規格が別々に書かれていて、加工先へどこまで伝えるべきか決められない[2]
- 全長が数メートルある部材を、どの規模の設備なら1本もので削れるのか判断できない[5]
- 7075-T6と2024-T3のどちらで見積もるかが決まらず、材料手配の可否も読めない[1][7]
- 断面が細く全長の長い部材で、粗加工の後に曲がりが出て寸法が安定しない[5]
- 発注元からJIS Q9100を求められたが、加工先の保有状況を確かめる手順が分からない[6]
Q. ストリンガーの見積もりでは、材料と素材形態をどこまで指定すべきですか?
A. 材料の合金と質別、素材が押出形材か削り出しかの2点です。指示公差は後から詰めても構いません。[1][2] 機体構造では、外板に2024-T3、フレームとストリンガーに7075-T6を使う組合せが一般的です。7075-T6は2024より高強度である一方で破壊靭性が低く、疲労が支配する引張部位では避けるべき材料として整理されています。[1] つまりストリンガーの合金は、加工性ではなく、その部位が疲労で決まるか強度で決まるかによって先に決まっています。加工側の都合で合金を読み替えることはできません。[1] なお7075系はJIS表記のA7075にあたり、当社が公開している対応グレードにも含まれます。[7] 深江特殊鋼が対応グレードとして公開しているアルミ合金はA2017、A5052、A5056、A6061、A7075で、引張強さは230から570MPaの範囲です。[7] 機体構造でよく指定される2024系は、この公開一覧に含まれていません。[7] 2024-T3やAMS-QQ-A-250/5のような指定が図面にある場合は、材料手配の可否から確認します。[2][7] 素材形態も同じ段階で伺います。長尺の断面材は冷間ロール成形で最大75フィートまでの連続材として作られる例があり、削り出しだけが作り方ではありません。[2] 押出形材や成形材の仕上げだけを頼むのか、板や角材から全長を削り出すのかで、取り代も段取りも工程数も変わります。仕上げだけなら公差の要求される面に工程を絞れますが、削り出しでは全長にわたる材料の取り代を管理することになります。[2]
Q. 断面が細く全長の長い部材は、加工中の変形をどう抑えて公差に収めますか?
A. 材料の残留応力が解放される前提で、除去順、切削条件、測定時のワーク温度を加工前に決めます。全長の真直度は、断面の寸法公差とは別に指定してください。[5] アルミ素材には圧延や熱処理の履歴による残留応力が残っており、粗加工で材料を取り除くと内部の釣り合いが崩れて部材が反ります。[5] 断面が細く全長の長いストリンガー形状では、同じ変形量でも全長にわたる曲がりとして現れやすくなります。取り代をどの順で落とすか、荒加工と仕上げの間に応力を落ち着かせる工程を挟むか、中間検査をどの段階で入れるかを、加工に入る前に決めておく必要があります。[5] 薄肉のアルミ構造で寸法を保った公開事例としては、A6061-T651の衛星構体があります。300×200×50mmの構体を5軸の1回チャックで加工し、段取りを3回から1回に減らして、公差目標±0.02mmに対して±0.015mm、Ra0.8で仕上げました。[3] 寸法はストリンガーの全長には遠く、形状も異なります。共通するのは、薄肉部の変形を段取り回数と保持方法で抑えるという工程の組み方だけです。[3] 設備側にも上限があります。門型マシニングセンタの最大ワークサイズは2,200×4,000mmです。[5] 素材の外形がこの範囲に収まらない場合、1本もので削る工程は自社設備では組めないため、材料をどこで分割するかの方針を含めて検討します。全長と断面が決まらないうちは、対応可否も確定しません。[5]
Q. 認証と検査記録の要求があるとき、どこまで受けられますか?
A. 認証が前提になる工程と検査記録はグループ会社の由紀精密が担当し、材料調達と前工程は深江特殊鋼が受け持ちます。深江特殊鋼自身はJIS Q9100とAS9100を保有していません。[6] 航空機部品の供給元を選ぶ側が確認する認証としては、品質マネジメント側でAS9100DとISO 9001:2015、流通側でASA-100が挙がります。[2] 深江特殊鋼側では、JIS Q9100とAS9100の保有主体がグループ会社の由紀精密であり、深江特殊鋼自身は保有していません。[6] 材料調達と前工程を深江特殊鋼が受け持ち、認証が前提になる工程と検査記録は由紀精密が担当します。[6] 防衛の軸で加工先を探している場合、実績の区別が効いてきます。航空関連の実績は民生航空が中心で、防衛装備庁向けの継続的な納入実績とITARなどの輸出管理体制については、該当の有無を確認したうえで回答します。[6] この区別を伏せたまま実績として数えると、後の審査や検査記録の確認で前提が食い違います。[6] 検査記録の粒度は、公開事例から見当がつきます。舵面アクチュエータハウジング(マルエージング350、220×160×95mm)では、全数についてAS9102のForm1からForm3を電子記録しました。[4] ストリンガーの事例ではなく材料も違いますが、記録をどこまで作れるかの目安になります。[4] 合金と質別、全長と断面、指示公差、要求される認証、輸出管理の該当有無の6点が決まれば、対応可否と見積を回答します。[6]
図面で見ておきたい条件
- 参照できる公開加工事例は薄肉アルミ構体(A6061-T651、300×200×50mm)と舵面アクチュエータハウジング(マルエージング350、220×160×95mm)で、いずれも全長はストリンガーの寸法域に届きません。[3][4]
- 門型マシニングセンタの最大ワークサイズは2,200×4,000mmです。これを超える全長は、分割の可否を含めて対応可否と費用を検討します。[5]
- 公開している対応アルミグレードはA2017、A5052、A5056、A6061、A7075で、機体構造でよく指定される2024系はこの一覧に含まれていません。[7]
- 深江特殊鋼はJIS Q9100とAS9100を自社では保有していません。認証が前提になる工程と検査記録は、保有先である由紀精密が担当します。[6]
相談前に知っておきたいこと
- 単価と加工可否は、合金と質別、全長と断面、指示公差、要求される認証が決まってから算出します。図面が確定する前の段階で返せるのは、近い実例との差分までです。[3]
- 素材の入手経路(押出形材、成形材、板材)は、公開している材料情報の範囲外です。素材手配から必要な場合は、入手可否の確認に時間をいただきます。[7]
- 参照した構造設計資料は、ストリンガーの断面寸法や加工公差を示していません。寸法の指定は発注元の図面と仕様書に従います。[1]
関連するものづくりトピックス
業界での実機事例(参考)

A6061衛星構造部品の5軸精密加工

マルエージング350航空機アクチュエータハウジングのフライス加工
よくある質問
図面がまだ固まっていなくても相談できますか?+
ストリンガーそのものの加工実績はありますか?+
2024-T3の指定がある図面でも見てもらえますか?+
押出形材の仕上げ加工だけを頼めますか?+
全長が4mを超える部材はどうなりますか?+
材料は支給と手配のどちらでも受けられますか?+
初回の回答を早くするには何を送ればよいですか?+
防衛装備品の案件でも見積もりを出せますか?+
検査記録はどこまで出せますか?+
試作1本でも受けられますか?+
あわせて読みたい情報
参考事例・文献
外部資料
内部事例
- [3] 事例: 衛星構体の薄肉5軸加工(A6061-T651)
- [4] 事例: 舵面アクチュエータハウジング(マルエージング350)
設備・会社情報
- [5] 深江特殊鋼: 大型アルミ部品の熱変形と残留応力の管理ガイド
- [6] 深江特殊鋼: 防衛装備品サプライヤーの加工外注ガイド
- [7] 深江特殊鋼: 非鉄金属(アルミ合金)の材料特性と加工特性
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