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TiNコーティングとは

読み: ちたんこーてぃんぐ

TiNコーティングとは、窒化チタン(TiN)をPVD(物理蒸着)によって表面に成膜し、硬度・耐摩耗性を高める金色の硬質皮膜処理である。

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概要

TiNコーティングは、真空中でチタンを蒸発させ窒素と反応させることで、窒化チタンの薄い皮膜を対象物表面に成膜する処理である。皮膜は金色をしており、切削工具や金型の外観からもコーティングの有無を判別しやすい。

古くから工業用のPVDコーティングとして使われており、硬質皮膜コーティングの基準的な存在として位置づけられている。

皮膜の特性と用途

TiN皮膜は高い硬度を持ち、耐摩耗性の向上と、被削材が工具に凝着する現象(構成刃先)の抑制に効果がある。切削工具(ドリル、エンドミル等)の刃先や、プレス金型・ダイカスト金型の摺動部・成形面に使われる。

単層のTiNのほか、耐熱性や硬度を高めた多層・複合系のPVDコーティング(TiAlN等)も広く使われており、TiNはその中でも基本的な位置づけの皮膜である。

DLCコーティングとの違い

TiNコーティングは窒化チタンという金属系の化合物皮膜であり、DLCコーティング(非晶質炭素膜)とは膜の材質そのものが異なる。摩擦係数はDLCの方が低い傾向にあるが、TiNは高温環境や衝撃荷重への耐性で有利とされる場面がある。

どちらも成膜にはPVD等の真空蒸着技術を使う点は共通しており、対象部品の使用条件(温度、荷重、被削材)に応じて選定される。

適用範囲と注意点

TiNコーティングは成膜温度が一定以上になるため、下地材質の焼戻し温度を超える条件では素材の硬度が下がるおそれがある。事前焼入れ・焼戻し済みの部品にコーティングする場合は、成膜温度と素材の熱的な安定性の関係を確認しておく必要がある。

また、DLCと同様に蒸着源から見える範囲での成膜になるため、深穴の内部や複雑形状の陰になる部分には均一な成膜が難しい制約がある。

よくある誤解

TiNコーティングはDLCコーティングより性能が劣る旧式の処理である。

TiNは歴史の長いコーティングだが、高温環境や衝撃荷重への耐性など、用途によってはDLCより有利な特性を持つ。優劣ではなく、使用条件に応じて選ぶコーティングである。

TiNコーティングをすれば下地の熱処理条件は考えなくてよい。

成膜には一定の温度がかかるため、下地の焼戻し温度を超えると素材の硬度が低下するおそれがある。事前に成膜温度と素材の熱的な安定性の関係を確認する必要がある。

TiNコーティングは深穴の内部にも均一に成膜できる。

PVDは蒸着源から見える範囲でしか成膜が進みにくいため、深穴内部や陰になる複雑形状では膜厚が不均一になりやすい。対象形状を事前にコーティング業者へ伝えておく必要がある。

よくある質問

TiNコーティングとDLCコーティングはどちらを選ぶべきですか。+
低摩擦・凝着抑制を優先するならDLC、高温環境や衝撃荷重への耐性を優先するならTiNが選ばれる傾向があります。使用条件(温度、荷重、被削材)を踏まえて選定するのが実務的です。
焼入れ済みの部品にTiNコーティングしても問題ありませんか。+
成膜には一定の温度がかかるため、素材の焼戻し温度を超える条件だと硬度が下がるおそれがあります。事前に成膜温度と素材の熱処理条件の関係をコーティング業者に確認しておくことが必要です。
深穴の内部にもTiNコーティングはできますか。+
蒸着源から見える範囲での成膜が基本のため、深穴内部や複雑な陰になる形状には均一な成膜が難しい制約があります。対象部位の形状を事前に伝えておくことが重要です。

関連用語

出典

  1. 窒化チタン(TiN)のPVDコーティングに関する一般的な表面工学の知識

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