スルースピンドルクーラントとは
読み: するーすぴんどるくーらんと
スルースピンドルクーラントとは、工作機械の主軸(スピンドル)内部を通路として切削油を工具の刃先まで送り届ける給油方式である。
概要
切削油をワークや工具にかける方法には、大きく分けて外部からノズルで吹きかける方式と、工具や主軸の内部に設けた通路を通して刃先まで送る方式がある。外部からの給油は簡便だが、穴が深くなるほど切削油が刃先まで届きにくくなり、切りくずの排出も外側からでは追いつかなくなる。
スルースピンドルクーラントは、主軸の中心を通る通路から切削油を送り、油穴付きドリルなど内部に給油路を持つ工具と組み合わせることで、刃先に直接切削油を届ける方式である。深穴の穴あけや、切りくずが溜まりやすい形状の加工で採用される。
仕組みと外部給油との違い
スルースピンドルクーラントでは、機械側のポンプで加圧した切削油が、主軸の回転部を通る経路(ロータリージョイントなど)を経由して工具の内部通路に送られ、刃先の近くから噴出する。工具の外側から見えない経路で油が流れるため、加工点の様子を目視しにくいという特徴もある。
外部からの給油と比べると、刃先まで届く切削油の量と圧力を安定して確保しやすく、穴が深くなっても給油量が大きく落ちにくい。一方で、主軸内部の通路や工具の油穴に切りくずが詰まると給油が止まってしまうため、切削油のろ過やメンテナンスの重要性が高くなる。
深穴加工における役割
深穴加工では、切りくずの排出が加工精度と工具寿命を左右する最大の要因の一つである。ガンドリル加工では工具内部の油穴から刃先に切削油を送り、切りくずを工具外周の溝から排出する方式がとられており、この給油経路を主軸側から供給するのがスルースピンドルクーラントの考え方にあたる。
BTA加工では逆に外側から給油して内側から切りくずを排出する構造をとるが、いずれの工法でも「切削油をどの経路で刃先まで届けるか」が深穴加工の性能を決める中心的な要素である。
適用機種と条件
スルースピンドルクーラントを使うには、主軸内部に給油通路を持つ対応機であることに加え、使用する工具側にも油穴が通っている必要がある。通常のドリルではなく油穴付きドリルや専用のガンドリル・BTAヘッドを組み合わせて初めて機能する。
対応機であっても、切削油の圧力や流量が加工深さ・材質に対して不足していれば、切りくずの排出性が上がらず穴曲がりや工具摩耗につながる。加工深さと工具径に応じた圧力・流量の設定が、実務上の調整項目になる。
よくある誤解
✕ スルースピンドルクーラント対応機であれば、どんな工具でも深穴加工に使える。
○ 主軸側が対応していても、工具側に油穴などの内部給油路がなければ切削油は刃先まで届かない。油穴付きドリルやガンドリル・BTAヘッドのように、工具側の構造が対応していることが前提になる。
✕ 外部からの給油とスルースピンドルクーラントは、精度への影響に差がない。
○ 穴が深くなるほど外部からの給油は刃先に届きにくくなり、切りくずの排出性が落ちて工具摩耗や穴曲がりの原因になる。深穴加工では内部給油の有無が加工可否そのものを左右することがある。
よくある質問
スルースピンドルクーラントがない設備では深穴加工はできませんか。+
スルースピンドルクーラントの圧力はどのくらい必要ですか。+
スルースピンドルクーラントは油性・水性どちらの切削油にも対応しますか。+
関連用語
出典
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