SKD61とは
読み: えすけーでぃーろくじゅういち
SKD61とは、JIS G4404に定める合金工具鋼鋼材のうち、熱間金型用に分類されるクロム・モリブデン・バナジウム系の工具鋼である。高温下でも硬度・強度が下がりにくく、耐熱亀裂性に優れるため、ダイカスト金型やホットプレス金型に広く使われる。
概要
SKD61は、高温にさらされる金型に使われる代表的な合金工具鋼である。クロム・モリブデン・バナジウムを含み、約300度程度の環境でも一定の強度を保つ性質を持つ。金型が熱と冷却を繰り返し受けても割れにくい(耐熱亀裂性)ことが、熱間金型用鋼として選ばれる理由である。
熱処理や窒化処理をして硬度を高めてから使用することが多く、実務ではHRC50程度まで硬度を上げて使われる場合が多い。ダイカスト、鍛造、ホットプレスなど、高温の素材や工具そのものが発熱する工程の金型に使われる。
用途と加工事例
深江特殊鋼の加工事例では、鉄道車両業界向けプラスチック金型のエジェクタースリーブ(外形φ30・長さ400mmにφ8貫通、自動ガンドリル加工)、自動車プレス金型(サイズ180×290×400、φ10の傾斜穴を貫通加工)、ホットスタンプ金型(外径143×315×1,126mm、穴径φ12、加工長さ計2,000mm、重量400kg)にSKD61が使われている。
ホットプレス工法は鋼板を約900℃に加熱してプレス加工し、同時に金型内で急冷して焼入れを行う工法で、成形品を急速冷却するための水冷穴が金型内に多数設けられる。SKD61はこうした高温・急冷を繰り返す環境に耐える金型材として選ばれている。
深穴加工での留意点
SKD61は傾斜穴や斜め方向の穴が必要になる金型に使われることが多く、通常は横型マシニングセンタで対応する斜め穴も、深さが大きい場合はガンドリル専用機でワークを傾けて加工する必要がある。専用工具の準備やワークセットにコストがかかりやすい加工である。
水冷穴のように複数方向に設定された穴を持つ金型では、素材を都度傾けて加工するため加工時間が長くなる傾向がある。窒化処理などの表面硬化処理を行う場合は、深穴加工を先に済ませてから処理を行う順序が一般的で、処理後の穴あけは著しく難しくなる。
SKD11との違い
SKD11は冷間金型用で常温での耐摩耗性・耐欠け性を重視した成分設計であるのに対し、SKD61は熱間金型用で高温下での強度維持と耐熱亀裂性を重視している。用途は熱を伴う成形(SKD61)か、常温での打抜き・プレス(SKD11)かで分かれる。
どちらも工具鋼のため生材の加工性は炭素鋼・合金鋼に比べて劣るが、SKD61は高温使用を前提とした添加元素の組成上、切削抵抗がSKD11とは異なる傾向を示すため、材質を混同しないよう発注時に明確にする必要がある。
よくある誤解
✕ SKD61の斜め穴も、通常のマシニングセンタで加工できる。
○ 浅い斜め穴は横型マシニングセンタで対応できるが、深さが大きい斜め穴(深穴)は専用工具が必要で、ガンドリル専用機でワークを傾けて加工する必要がある。
✕ 窒化処理済みのSKD61には、後から穴を追加しても問題ない。
○ 窒化処理は表面硬度を大きく高める処理で、処理後の切削加工は著しく困難になる。深穴・水冷穴などの穴加工は窒化処理の前に済ませておくのが基本の順序である。
✕ SKD61とSKD11は同じ工具鋼だから、加工条件も共通で問題ない。
○ 熱間金型用と冷間金型用で成分設計が異なり、切削抵抗の傾向も異なる。材質を明確に区別し、それぞれの実績に基づいた加工条件を適用する必要がある。
よくある質問
SKD61はどのくらいの温度まで強度を保てますか?+
SKD61の傾斜した深穴は加工できますか?+
窒化処理後にSKD61へ穴を追加できますか?+
関連用語
出典
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