大型旋盤とは
読み: おおがたせんばん
大型旋盤とは、チャック径や芯間距離(センタ間の最大加工長)が一般的な旋盤より大きい旋盤の総称であり、長尺シャフトやロール、油圧シリンダチューブなど大型・長尺の回転体部品の外径加工に使われる。何φ・何mm以上が大型かという統一基準はなく、汎用旋盤の対応範囲を超える設備を指すことが多い。
概要
大型旋盤という言葉に法令や規格上の統一定義はない。実務上は、チャック径や芯間距離が汎用旋盤の標準的な範囲を超え、専用の大型設備でなければ対応できない旋盤加工を指して使われる。対象になりやすいのは、工作機械・産業機械向けの長尺シャフト、圧延ロール、油圧シリンダチューブ、タイバーといった部品である。
大型旋盤による加工は、単体で完結することもあれば、後工程で深穴加工や研削加工へつながることもある。素材の重量・寸法が大きいほど、機械への着脱や運搬自体が工程管理上のボトルネックになりやすい。
通常の旋盤との違い
汎用の旋盤に比べ、大型旋盤はベッド剛性、主軸出力、チャック径、芯間距離のいずれもが大きく設計されている。長尺・大径の素材を回転させながら削るには、素材の自重によるたわみやビビりを抑えるだけの剛性が必要になるためである。
一方で、大型であるほど機械の稼働・段取りにかかる時間やコストも大きくなる。小径・短尺の部品を大型旋盤で加工することは可能でも、段取りの手間が割に合わず、通常サイズの旋盤の方が効率的な場合が多い。
加工能力の実務目安
対応できる寸法は設備に依存するため、一律の基準はない。参考として、深江特殊鋼では、チャック径φ1,200×芯間15,000の超大型NC旋盤と、φ490×5,000の大型NC旋盤を保有しており、長尺シャフトや圧延ロールなどの加工実績がある。
こうした設備の対応範囲は、素材の材質・形状(中実か中空か)によっても変わってくるため、案件ごとの個別確認が前提になる。
長尺加工特有の課題
長尺の素材はチャックから離れた部分ほどたわみやすく、そのまま加工すると振れやビビり振動が発生し、面粗さや寸法精度が悪化する。これを抑えるために使われるのが振れ止めで、素材の途中を支えることでたわみを軽減する。
また、長尺物は熱処理や運搬の過程でも反りや曲がりが生じやすい。加工前に素材の状態を確認し、必要であれば矯正や追加の基準出しを行うことが、最終的な直角度・真直度の確保につながる。
深穴加工との組み合わせ
大型旋盤の主軸内径だけでは、深穴加工に必要な高圧の切削油供給や切りくず排出の機構を持たないため、L/Dの大きい深穴は大型旋盤単体では対応が難しい。実務では、大型旋盤で外径・端面などの基準面を先に作り、その後BTA加工やガンドリル加工の専用設備で穴あけを行うという工程分担が一般的である。
深江特殊鋼のように、大型旋盤設備とBTA・ガンドリル加工機の両方を自社で保有していると、旋盤加工から深穴加工までを工程間の運搬なしに一貫対応できる。
深江特殊鋼の大型旋盤保有設備の目安
| 機種区分 | チャック径 | 芯間(最大加工長) |
|---|---|---|
| 超大型NC旋盤 | φ1,200 | 15,000mm |
| 大型NC旋盤 | φ490 | 5,000mm |
※ 対応範囲は深江特殊鋼の保有設備での実績値。素材の材質・形状により変わるため個別確認が必要。
よくある誤解
✕ 大型旋盤は機械が大きいので精度は出にくい。
○ 大型旋盤はベッド剛性や主軸出力を大きく設計してあり、振れ止めなど支え方の工夫次第で長尺物でも公差を保てる。精度を左右するのは機械の大きさそのものより、たわみ・熱変位の管理である。
✕ 大型旋盤があれば深穴もまとめてあけられる。
○ 大型旋盤の主軸内径からのドリリングでは、L/Dの大きい深穴に必要な切削油供給や切りくず排出の機構が不足する。深穴部分はBTA加工やガンドリル加工の専用設備に工程を渡すのが実務上の標準である。
✕ 大は小を兼ねるので、小物も大型旋盤に頼めば早い。
○ 小径・短尺の部品を大型旋盤で加工すると、段取りにかかる時間やコストが加工内容に対して割高になりやすい。ロットや形状に応じて、通常サイズの旋盤との使い分けを検討した方が効率的な場合が多い。
よくある質問
何φ・何mm以上から大型旋盤と呼ばれますか。+
大型旋盤で加工した部品にそのまま深穴をあけてもらえますか。+
長尺の素材でも精度は保てますか。+
関連用語
出典
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