インコネル718とは
読み: いんこねるななひゃくじゅうはち
インコネル718とは、ニッケルを主成分にクロム・鉄・ニオブなどを添加した析出硬化型のニッケル基耐熱合金であり、高温環境でも強度を維持できる一方、加工が難しい難削材として知られる材質である。
概要
耐熱・耐食合金はニッケルを主体とするものが多く、インコネルはその中でも代表的な系統である[1]。インコネル718はニオブを添加し、時効処理によって微細な析出物(ニオブとニッケルの化合物)を生成させることで高温強度を高めた析出硬化型の合金である。
高温に長時間さらされる環境でも強度・耐食性を維持できるため、ジェットエンジンやガスタービンの部品、プラント設備の高温部品に使われる。優れた耐熱性を持つ一方、難削材に分類され加工性は良くない[1]。
なぜ加工が難しいのか
インコネル718が難削材とされる理由は、高温でも軟化しにくい性質そのものにある。切削時に発生する熱が刃先に集中しても材料が軟化しないため、通常の鋼材以上に工具に負荷がかかり、工具摩耗が早く進む。加えて加工硬化を起こしやすく、一度切削で硬化した表面を再度切削すると刃先への負荷がさらに増す。
熱伝導率も低いため、切削熱が逃げにくく刃先温度が上がりやすい。深穴加工では切りくずの排出経路が長くなる分、この発熱と工具摩耗の影響がさらに大きく出るため、切削条件と切削油の管理が加工品質を左右する。
インコネル625との違い
同じインコネル系のインコネル625は、モリブデン・ニオブによる固溶強化を主体とし、時効処理を必須としない点でインコネル718と異なる。インコネル718は時効処理による析出硬化で強度を作るため、高温での強度そのものはインコネル625より高い傾向がある。
耐食性の面では、インコネル625の方が海水や強酸性環境への耐性が高いとされる。用途で言えば、高温強度が主眼のジェットエンジン部品にはインコネル718、耐食性重視の化学プラント配管にはインコネル625が選ばれやすい。
主な用途
ジェットエンジンのタービンディスク・シャフト、ガスタービン部品、化学プラントの高温部品などに使われる。プラント設備のシャフトをインコネルで製作した加工事例では、外径φ60・穴径φ8・材料長さ150mmという細径深穴の加工が報告されている[1]。
高い耐熱性、耐蝕性が役に立つ一方、加工が難しい点は変わらないため、切削条件のノウハウを持つ加工先を選ぶことが工期・品質に影響する。
よくある誤解
✕ インコネル718は硬いから加工が難しいだけで、条件は鋼材と同様に決めればよい。
○ 難しさの主因は硬さよりも高温での軟化しにくさと加工硬化のしやすさにある。切削熱が刃先に集中しても材料が軟化しないため、鋼材と同じ送り・速度では工具摩耗が急速に進む。
✕ インコネル718とインコネル625は同じ材質なので互換で使える。
○ 718は時効処理による析出硬化で高温強度を高める合金、625はモリブデン・ニオブによる固溶強化が主体で時効処理を必須としない合金であり、強度の出し方と得意な耐食環境が異なる。
よくある質問
インコネル718はなぜ工具寿命が短くなりますか。+
インコネル718とインコネル625はどちらを選べばよいですか。+
インコネル718の深穴加工は依頼できますか。+
関連用語
出典
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