快削黄銅C3604とは
読み: かいさくおうどう
快削黄銅C3604とは、銅と亜鉛を主成分とする黄銅に鉛を1〜3%程度添加し、切削加工での被削性(削りやすさ)を高めた合金であり、JIS H3250に規定される棒材の代表種である。
概要
黄銅(真鍮)は銅に亜鉛を加えた合金で、加工性と価格のバランスがよい材料である。快削黄銅C3604は、この黄銅にさらに鉛を添加した種類で、鉛が切削時に切りくずを細かく分断する働きをするため、自動旋盤による大量生産に向いている。
純銅系の材料(無酸素銅・タフピッチ銅)が電気伝導性を主目的にするのに対し、C3604は切削加工のしやすさそのものを目的に設計された材料であり、選定の観点が異なる。
鉛添加の役割と近年の動き
鉛は銅の結晶粒界に微細に分散し、切削時にその部分で応力が逃げることで切りくずが細かく分断される。この効果により、C3604は自動旋盤での高速・連続加工に適した被削性を持つ。
一方で、水道部品や食品関連機器では鉛の溶出が規制対象になるため、鉛レス黄銅など代替材への切り替えが進む分野もある。用途によっては材料選定時に規制適合の確認が必要になる。
純銅系材料との違い
無酸素銅C1020やタフピッチ銅C1100は導電率・熱伝導率の高さで選ばれるのに対し、C3604は被削性と量産加工のしやすさで選ばれる。強度も黄銅の方が純銅よりやや高く、精密な小径部品を大量に作る用途に向いている。
電気接点や熱交換部品には純銅系、コネクタのハウジングやバルブ部品のような機構部品には黄銅系、という使い分けが一般的である。
よくある誤解
✕ 黄銅(真鍮)と純銅は同じ「銅」だから性質も同じである。
○ 黄銅は銅に亜鉛を加えた合金で、導電率は純銅より低いが強度と被削性は高い。用途に求める性質が導電性か機械的性質かで、選ぶべき系統が異なる。
✕ 快削材だから、どんな条件で削っても仕上がりは安定する。
○ 鉛が切りくず分断を助けるが、送りや切削速度が不適切だと表面にむしれが出ることがある。快削性は条件出しの手間を減らす特性であり、条件を無視してよいという意味ではない。
✕ 鉛入り黄銅はどの用途にも使ってよい。
○ 水道部品や食品関連機器では鉛の溶出に関する規制があり、用途によっては鉛レス材への切り替えが必要になる。図面指定の材料規格を確認したうえで選定すべきである。
よくある質問
快削黄銅C3604はどんな部品に使われますか。+
無酸素銅と快削黄銅、どちらを選べばよいですか。+
鉛フリー材への切り替えは必要ですか。+
関連用語
出典
- JIS H3250(銅及び銅合金棒)
このページの情報は役に立ちましたか?