快削鋼とは
読み: かいさくこう
快削鋼とは、鋼に硫黄・鉛・りんなどの元素を添加し、切削時の被削性(削りやすさ)を高めることを目的に設計された鋼材であり、JIS G4804に規定されるSUM材が代表種である。
概要
一般的な構造用鋼は強度・靭性を主目的に成分設計されるが、快削鋼はそれとは別の目的、すなわち切削加工での被削性を高めることを主眼に設計された鋼材である。硫黄を添加すると鋼の中に硫化マンガンという軟らかい介在物が分散し、この介在物のところで切りくずが分断されやすくなる。
代表的なものにJIS G4804の硫黄快削鋼(SUM材)があり、自動旋盤で大量生産する小径部品に広く使われている。
S45C等の一般構造用鋼との違い
S45Cなど一般の機械構造用炭素鋼は、強度・靭性・熱処理性のバランスを重視して設計されており、被削性は二次的な要素にとどまる。快削鋼は逆に被削性を主目的にしているため、同程度の炭素量でも切削抵抗が小さく、切りくずが細かく分断されやすい。
その代償として、硫化物介在物は鋼の靭性や疲労強度をやや低下させる方向に働くため、強度が最優先される部品には一般構造用鋼、量産精密部品の加工コストを優先する部品には快削鋼、という使い分けが基本になる。
加工上の注意点
快削鋼は自動旋盤での高速・連続加工に向くが、鋼種によっては溶接性が劣る場合がある。硫化物介在物が溶接部に偏析すると割れの原因になりやすいため、溶接を伴う部品には適さないことが多い。
また、快削性を優先した分だけ疲労強度や耐衝撃性が一般構造用鋼より劣ることがあり、繰り返し荷重がかかる部品では快削鋼の採用可否を強度計算のうえで判断する必要がある。
よくある誤解
✕ 快削鋼は名前のとおり「削りやすいだけの鋼」で、強度面の性能は同等である。
○ 硫化物介在物は被削性を高める一方で靭性・疲労強度をやや下げる方向に働く。強度が最優先の部品では、快削鋼が適さない場合がある点に注意が必要である。
✕ 快削鋼は溶接しても一般構造用鋼と同じ品質が得られる。
○ 硫化物介在物が溶接部に偏析すると割れの起点になりやすく、溶接性は一般に劣る。溶接を伴う部品では快削鋼以外の材質を検討すべきである。
✕ 快削鋼にすれば、どんな形状・条件でも加工が楽になる。
○ 被削性向上は主に旋削・穴あけでの効果が中心で、加工全体の難易度を一律に下げるわけではない。形状や工程によっては通常鋼と大差ない場合もある。
よくある質問
快削鋼とS45Cはどちらを選べばよいですか。+
快削鋼は熱処理できますか。+
快削鋼を溶接に使うことはできますか。+
関連用語
出典
- JIS G4804(硫黄及び硫黄複合快削鋼鋼材)
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