SCM440とは
読み: えすしーえむよんよんまる
SCM440とは、JIS G4053に定める機械構造用合金鋼のうち、クロムとモリブデンを添加したクロムモリブデン鋼で、炭素含有量が0.38〜0.43%程度の材質である。通称「クロモリ」と呼ばれ、焼入れ焼戻しを行って使われることが多い。
概要
SCM440は、剛性と強度を要する機械部品に広く使われるクロムモリブデン鋼である。同程度の炭素量を持つS45Cと比較すると、モリブデン等の合金元素が加わっている分、切削時にわずかな粘りを感じるものの、安定して加工できる材質とされている。
工作機械のスペックを左右するスピンドルは剛性と精度が重要になる部品で、材質選定の段階でSCM440のような剛性の高い材質が選ばれることが多い。剛性を確保したうえで、同軸度や内外径寸法の精度を専用治具・チャック方法の工夫で作り込むのが実務の要点になる。
特性と用途
SCM440は焼入れ焼戻しを行って使用されることが多い材質で、熱処理により硬度・強度を高められる。深江特殊鋼の加工事例では、プラント設備用シャフト(φ150・長さ480mmにφ70貫通)、専用機械の主軸(外径φ140・材料長さ413mmにφ45貫通)、地質調査機械のスピンドル(外径φ246・長さ1,393mm)など、大径・長尺の軸物部品への加工実績がある。
さらに大型旋盤加工品として、タイバー部品(φ480×4,200mm)やロール部品(φ560×6,800mm)といった超大型のSCM440加工事例もある。剛性の高さが、こうした大径・長尺部品の変形抑制に寄与している。
SCM435との違い、加工順序
SCM435とSCM440は同じクロムモリブデン鋼の系列だが、SCM440のほうが炭素量が多く(目安0.38〜0.43%)、焼入れ後により高い硬度・強度を狙いやすい。剛性を最優先する大径スピンドルや主軸ではSCM440が選ばれる頻度が高い。
深穴加工の実務では、調質(焼入れ焼戻し)を先に行ってから旋盤で荒加工を行う順序と、荒加工後に調質を行う順序のどちらも選択できる。ワークサイズや加工形状、必要な硬度によって最適な熱処理方法・加工順序は変わるため、加工先との事前のすり合わせが必要になる。
よくある誤解
✕ SCM440は硬い材質なので、常に加工性が悪い。
○ 熱処理前(生材・調質前)の状態であれば、S45Cに近い感覚で安定して加工できる。加工性が問題になるのは焼入れ後に大きな取り代を削る場合で、加工順序を工夫すれば回避できる。
✕ 大径・長尺のスピンドルは、材質を高剛性にすれば精度は自動的に出る。
○ 材質選定は剛性確保の一要素にすぎない。同軸度や振れ・たわみの抑制には、専用治具の設計やチャック方法、断続切削を避けた連続切削といった加工方法の工夫が同じくらい重要である。
よくある質問
SCM440はどのような部品に向いていますか?+
SCM440の深穴加工は、調質前と調質後どちらが望ましいですか?+
大径・長尺のSCM440部品でも真直度は保証できますか?+
関連用語
出典
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