S50Cとは
読み: えすごじゅっしー
S50Cとは、JIS G4051に定める機械構造用炭素鋼のうち、炭素含有量が0.47〜0.53%程度の材質である。S_C材(S10C〜S58C系列)の中では炭素量が多い側に位置し、同系列の中で強度の高い部類に入る。
概要
S50Cは、S45Cと同じ機械構造用炭素鋼の系列に属しながら、炭素含有量がわずかに多い材質である。炭素量が増えると硬さと強度が上がる一方、粘り(靭性)はやや下がる方向に振れる。用途としては、より高い強度が求められる部品でS45Cの代わりに選ばれることが多い。
深江特殊鋼の加工事例では、油圧回路のマニホールドブロック(外径55×70×315、穴径φ24、加工長290mm)にS50Cが使われている。マニホールドブロックは金属の内部に油路を形成する部品で、油圧回路の効率化を目的として作られる。
S45Cとの使い分け
S45Cは炭素量0.42〜0.48%、S50Cは0.47〜0.53%が目安で、両者は連続した系列の隣り合う材質に近い。炭素量の差は小さいが、強度をわずかでも上げたい部品や、焼入れ後の硬度をより高くしたい部品ではS50Cが選ばれる。
逆に、加工性や溶接性を優先する場合はS45Cのほうが扱いやすい。深穴加工の観点では両者とも被削性は良好な部類だが、炭素量が上がるほど切削抵抗はわずかに増える傾向があるため、切削条件の微調整が必要になる場合がある。
深穴加工・金型部品での用途
S50Cは、マニホールドブロックのような油路加工に加え、金型のベースプレートやプリハードン鋼の代替として使われることもある材質である。複雑な油圧回路では加工する穴の数が数百に及ぶ場合もあり、そうした案件では穴数・穴径・深さの組み合わせを整理してから加工計画を立てる必要がある。
深穴加工では、油路が交差する部分(交差穴)の処理や、片側からの貫通加工が必要になるケースもある。設計段階で交差穴の位置と深さを詰めておくことが、加工トラブルを避ける近道になる。
よくある誤解
✕ S50CはS45Cより炭素量が多いので、常により硬く加工しにくい。
○ 生材同士で比べれば硬さの差はわずかで、加工性に大きな違いは出にくい。差が顕在化するのは焼入れ後で、S50Cのほうが高い硬度まで上げやすい。
✕ マニホールドブロックの穴あけは、穴数が多くても1本ずつ同じ条件で加工すればよい。
○ 穴数が数百に及ぶ複雑な油圧回路では、穴同士の交差や位相関係を先に整理しないと、加工順序によっては後工程で穴がつながらない・バリが取りにくいといった問題が起きる。設計段階での穴配置の整理が必要である。
よくある質問
S50CとS45C、どちらを選べばよいか迷っています。+
S50Cでマニホールドブロックのような複雑な穴配置は加工できますか?+
S50Cは熱処理してから深穴加工すべきですか?+
関連用語
出典
- BTA・ガンドリル加工.com 技術コラム「ガンドリル加工が可能な素材〜構造用鋼〜」(深江特殊鋼)
- JIS G4051(機械構造用炭素鋼鋼材)
このページの情報は役に立ちましたか?