黒皮とは
読み: くろかわ
黒皮とは、鋼材を熱間圧延や鍛造で成形した際に表面に生じる黒褐色の酸化被膜であり、素材が機械加工されずに納入された状態を「黒皮材」と呼ぶ。
概要
鋼材は熱間で圧延・鍛造されると、高温の表面が空気中の酸素と反応して酸化被膜を生じる。これが黒皮で、素材商社や製鋼メーカーから届く形材・丸棒・角材の多くは、この黒皮が付いたまま流通している。
黒皮は素材表面の寸法や形状を厳密に管理していない状態であるため、そのままでは寸法基準として使いにくい。機械加工の最初の工程で、黒皮を削り落として基準面を作ることが多い。
なぜ黒皮のまま加工しないのか
黒皮の厚みや表面の凹凸は素材ロットや部位によってばらつきがあり、寸法が図面通りに保証されているわけではない。黒皮を基準に穴位置や外形寸法を出そうとすると、素材ごとの誤差がそのまま加工結果に反映されてしまう。
深江特殊鋼の技術コラムでは、黒皮材にそのまま穴加工をするのではなく、基準となる面を同時に加工しておくことで、後加工での工数を短縮できると述べられている。深穴加工と他の加工部位との位相を合わせるためには、この前加工が特に重要になる。
前加工(基準面出し)の実務
実務では、旋盤やフライス盤で黒皮を削り落とし、寸法・平行度・直角度の基準となる面を先に作ってから、穴あけや溝加工などの後工程に進む。この前加工を六面加工と呼ぶこともある。
前加工と深穴加工を同じ会社に依頼すると基準の受け渡しがスムーズになるが、別会社に分けて発注する場合は、どの面をどう基準にしたかの情報を正確に伝える必要がある。
黒皮と寸法基準の関係
図面上の寸法は、通常どこかの面や軸を基準(データム)にして表される。黒皮のままの面をデータムにすると、素材のばらつきがそのまま加工誤差になるため、精度が必要な部品では黒皮を除去した面をデータムに指定し直すのが一般的である。黒皮を一部残す設計(黒皮のまま仕上げる非加工面の指定)をする場合もあるが、これは強度や外観上の意図がある特殊なケースである。
材質による違い
黒皮は熱間圧延・鍛造される鋼材に生じる現象であり、S45C・SS400・SCM440のような炭素鋼・合金鋼で一般的に見られる。冷間引抜材や研削材はすでに黒皮が除去された状態で流通することが多く、アルミニウム合金や銅合金では黒皮に相当する酸化被膜の性質や厚みが鋼材とは異なる。
よくある誤解
✕ 黒皮は単なる見た目の汚れなので、削らなくても寸法には影響しない。
○ 黒皮の厚みや表面形状には素材ロットごとのばらつきがあり、これを寸法基準にすると加工結果に誤差がそのまま反映される。精度が必要な面は黒皮を除去してから基準にするのが実務上の標準である。
✕ 黒皮材のまま深穴加工の穴位置を決めればよい。
○ 黒皮面は寸法基準として不確実なため、深穴加工の前に旋盤・フライス加工で基準面を作っておくと、穴の位相合わせの精度が上がり後工程の工数も減る。
よくある質問
黒皮材のまま見積を依頼してもよいですか。+
黒皮を残したまま仕上げる部位を指定することはできますか。+
黒皮の除去はどの工程で行うのが一般的ですか。+
関連用語
出典
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