射出成形機スクリューとは
読み: しゃしゅつせいけいきすくりゅー
射出成形機スクリューとは、シリンダ内で回転しながら樹脂ペレットを溶融・混練し、金型へ押し出す(射出する)役割を持つ螺旋状の溝を刻んだ軸部品である。
概要
射出成形は、樹脂ペレットを加熱溶融して金型に注入し、冷却固化させて成形品を作る加工法である。この溶融・混練・射出の工程を担うのがスクリューで、シリンダ内で回転しながら樹脂を先端方向へ送り出す。
スクリューは根元から先端にかけて溝の深さが変化する構造を持つのが一般的で、供給ゾーン(樹脂を受け入れる部分)、圧縮ゾーン(溝を浅くして樹脂を圧縮・混練する部分)、計量ゾーン(溶融樹脂を均一化する部分)の3つに大きく分かれる。
摩耗と補修加工の考え方
スクリューは樹脂との摩擦、ガラス繊維などの充填材を含む樹脂による摩耗、逆流防止弁(逆流を防ぐ弁機構)の可動部の摩耗など、長期使用で徐々に寸法や表面が劣化する部品である。摩耗が進むと、樹脂の計量精度が落ち、成形品の寸法バラつきや充填不足の原因になる。
摩耗したスクリューを補修する場合、摩耗した部分に肉盛り溶接をしてから再度切削・研削で寸法を出す方法や、表面に硬質クロムめっきなどの耐摩耗コーティングを施す方法がある。いずれの場合も、元の溝形状・ピッチを正確に再現しないと、樹脂の送り性能が変わってしまう。
材質と表面処理
スクリュー本体には、SCM440などの構造用合金鋼のほか、耐摩耗性・耐食性を高めるためにSKD61などの合金工具鋼、あるいは窒化処理を施した材質が使われることが多い。腐食性の高い樹脂(PVCなど塩素を含む樹脂)を扱う場合は、より耐食性の高い材質や表面処理が選ばれる。
スクリュー中心部に穴を持つ構造(中空スクリュー)は一般的ではないが、温調用の穴や検査用の穴を必要とする特殊な設計では、長尺の中心穴を精度良くあける深穴加工の技術が必要になる場合がある。
よくある誤解
✕ スクリューが摩耗したら、新品に交換する以外の選択肢はない。
○ 摩耗部への肉盛り溶接や耐摩耗コーティングによる補修で対応できる場合がある。ただし元の溝形状・ピッチを正確に再現する必要があり、補修可否は摩耗の程度と部位による。
✕ スクリューの材質はどの樹脂を成形する場合も同じでよい。
○ ガラス繊維入り樹脂など摩耗性の高い樹脂や、PVCなど腐食性のある樹脂を扱う場合は、より耐摩耗性・耐食性の高い材質や表面処理を選ぶ必要がある。成形する樹脂の種類に応じた選定が前提になる。
よくある質問
射出成形機スクリューはどの程度摩耗したら交換が必要ですか?+
スクリューの補修加工では何を確認すればよいですか?+
腐食性の高い樹脂を成形する場合、スクリューの材質はどう選べばよいですか?+
関連用語
出典
- プラスチック成形加工学における射出成形機スクリュー構造の一般的知見(成形加工教科書的知見)
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