寸法公差とは
読み: すんぽうこうさ
寸法公差とは、図面に指示された基準寸法に対して、実際の加工結果として許容される最大値と最小値の差(上の許容差と下の許容差の範囲)である。加工のばらつきを前提に、機能上問題のない範囲を数値で定めるために使う。
概要
どんな加工も、寸法をねらった値ちょうどに仕上げることはできず、必ず何らかのばらつきをもつ。寸法公差は、このばらつきのうち、部品の機能を損なわずに許容できる範囲を、基準寸法に対する上の許容差・下の許容差として数値で定めたものである。図面には「φ20 +0.02/-0.01」のように、基準寸法と許容差の組み合わせで記載される。
はめあい公差との関係
穴と軸のように、2つの部品が組み合わさる箇所の寸法公差は、単独の寸法精度だけでなく、相手部品との組み合わせ具合(すきま・しめしろ)まで考慮して決める必要がある。この考え方を体系化したのがはめあい公差で、JIS B 0401では、穴・軸それぞれの公差域をアルファベットと数字の組み合わせ(H7やg6など)で表す方式が定められている。
幾何公差との違い
寸法公差が長さや直径といった「大きさ」を対象にするのに対し、幾何公差は形状・姿勢・位置・振れといった「形」を対象にする。同じ穴でも、直径が公差内に収まっていることと、その穴の中心軸がまっすぐであること(真直度)は別の要求であり、寸法公差だけでは形状のばらつきまでは管理できない。
普通公差との関係
図面上のすべての寸法に個別の公差を指示すると煩雑になるため、特に指示のない寸法にはJIS B 0405などで定められた普通公差(一般公差)が一括で適用される。重要な寸法には個別の寸法公差を指示し、それ以外は普通公差に任せる、という使い分けが一般的である。
深穴加工との関係
深穴加工では、穴径の寸法公差に加えて、穴の曲がり(真直度)が実務上の精度を左右する。穴径自体は比較的狭い公差で仕上げられても、加工が深くなるほど工具のたわみや切りくず排出の影響で軸線が曲がりやすく、寸法公差だけを見て精度要求を判断すると、深さ方向の精度リスクを見落とすことがある。
よくある誤解
✕ 寸法公差が厳しいほど、加工の難易度は形状によらず一律に上がる。
○ 寸法公差の厳しさに加えて、対象形状(浅い穴か深穴か、単純形状か複雑形状か)によって同じ公差幅でも達成難易度は大きく変わる。特に深穴では穴径の公差より真直度の確保が難易度を左右する。
✕ 寸法公差を満たしていれば、部品の形状精度も保証されている。
○ 寸法公差は大きさの範囲を管理するものであり、真直度や真円度といった形状精度は別の幾何公差で管理される。寸法公差だけを確認して形状を保証したことにはならない。
よくある質問
寸法公差と幾何公差、図面のどちらを優先して見ればよいですか。+
寸法公差が指示されていない寸法はどう扱われますか。+
深穴加工で寸法公差(穴径)が厳しい場合、真直度も自動的に良くなりますか。+
はめあい公差と寸法公差は同じものですか。+
関連用語
出典
- JIS B 0401(寸法公差及びはめあい)
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