H7公差とは
読み: えいちななこうさ
H7公差とは、JIS B 0401で規定される穴の寸法公差域クラスの一つで、最小許容寸法を基準寸法に一致させたうえで公差幅をIT7等級の範囲に収める指定であり、穴基準はめあいの標準としてもっとも広く使われる公差域である。
概要
「H7」という記号は、大文字の「H」と数字の「7」の2つの情報でできている。大文字のHは公差域の位置を示し、最小許容寸法(穴として許される一番小さい寸法)を基準寸法にちょうど一致させることを意味する。つまりH7の穴は、基準寸法より小さくなることはなく、基準寸法から一定量だけ大きい方向にだけ公差が広がる。
数字の7はIT(International Tolerance)等級と呼ばれる公差幅のランクで、数字が小さいほど公差幅が狭く高精度、大きいほど公差幅が広く一般的な精度になる。H7はIT7等級にあたり、精密機械部品でよく使われる中程度に厳しい等級である。
公差値の求め方
H7の実際の公差値(許容差の大きさ)は、基準寸法の範囲ごとにJIS B 0401の表で定められており、寸法が大きくなるほど公差幅も広がる。例えば基準寸法が18を超え30以下の範囲ではH7の公差はおよそ+21/0(マイクロメートル、基準寸法に対して+0.021mmから0mmの範囲)、基準寸法が30を超え50以下の範囲ではおよそ+25/0という具合に、寸法帯ごとに数値が変わる。
図面や見積書でH7とだけ書かれている場合、実際に許される公差幅は対象寸法によって変わるため、具体的な数値が必要な場合はJIS表を参照するか、加工先に基準寸法とセットで確認するのが確実である。
軸側の等級との組み合わせ
H7単独では、はめあいの種類(すきま・しまり・中間)は決まらない。相手となる軸側の等級と組み合わせて初めて、組み立て後の状態が定まる。
例えばH7とg6の組み合わせは軸が穴よりわずかに小さく仕上がるすきまばめになりやすく、回転や摺動が必要な軸受まわりでよく使われる。H7とp6やH7とr6の組み合わせは軸が穴より大きく仕上がるしまりばめになり、圧入による固定に使われる。図面でH7だけが指定されている場合、相手部品側の記号も確認しないと組立方式まではわからない。
深穴加工での位置づけ
H7は穴の内径公差として頻繁に指定されるため、深穴加工の分野でも要求される代表的な等級の一つである。ただし深穴の場合、穴が浅いときと同じ工具・工程でH7の公差を全長にわたって維持できるとは限らない。穴が深くなるほど工具のたわみや切りくず排出の影響で径がばらつきやすく、入口付近ではH7を満たしていても奥ではみだしていることがある。
そのため深穴でH7を指定する際は、公差だけでなく測定位置(穴のどこでH7を保証するか)と測定方法を、発注の初期段階で加工先とすり合わせておくことが実務上重要になる。
よくある誤解
✕ H7は特定の1つの数値(例えば±0.01mmのような)を指す記号である。
○ H7が示すのは公差の位置(H=最小許容寸法が基準寸法と一致)と等級(IT7)であり、実際の公差幅は対象寸法によって変わる。同じH7でも径が違えば許容差の数値は異なる。
✕ H7を指定すれば、穴が基準寸法よりわずかに小さくなることもある。
○ H7は最小許容寸法を基準寸法に一致させる区分であるため、正しく仕上がっていれば穴は基準寸法より小さくならない。公差は基準寸法から大きい方向にのみ広がる。
✕ 深穴でも浅い穴と同じ感覚でH7を全長にわたって保証できる。
○ 深穴は工具のたわみや切りくず排出の影響で径がばらつきやすく、入口と奥とで実測値が変わることがある。深穴でH7を要求する場合は、測定位置と方法を事前に取り決める必要がある。
よくある質問
H7の具体的な公差値(何mmまで許されるか)はどこで確認できますか?+
H7とH8はどちらが精度が高いですか?+
深穴の内径をH7で発注したいのですが、注意点はありますか?+
関連用語
出典
- JIS B 0401(寸法公差及びはめあいの方式)
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