はめあい公差とは
読み: はめあいこうさ
はめあい公差とは、軸と穴という2つの部品を組み合わせる際に、軸の外径と穴の内径それぞれに許される寸法のばらつきを規定し、組み合わせたときの緩みやしめしろの度合いをコントロールする公差の体系である。
概要
軸受にシャフトを通す、ピンを穴に打ち込む、蓋を筒にはめ込む。こうした組立では、軸側の寸法と穴側の寸法をそれぞれ単独で決めるだけでは、組み合わせたときに緩すぎたり入らなかったりする問題が起きる。はめあい公差は、軸と穴を一対の関係として捉え、組み合わせ後の状態を狙って両者の公差域を設計する考え方である。
JIS B 0401では、穴の公差域を大文字(H、G、Fなど)、軸の公差域を小文字(h、g、f、jsなど)のアルファベットと数字の等級で表す。図面に「H7」「g6」のような記号が書かれているとき、それはこのはめあい公差の等級を指している。
すきまばめ・しまりばめ・中間ばめ
はめあいは、組み合わせた後の状態によって3つに大別される。
すきまばめは、軸が穴より必ず小さく仕上がるように公差域を設定する方式で、組み立て後に軸が穴の中で回転・摺動できる。軸受と回転軸の関係などに使われる。
しまりばめは逆に、軸が穴より必ず大きく仕上がるように設定し、圧入によって両者を一体化させる。分解を前提としない固定に使われる。
中間ばめは、加工結果のばらつき次第ですきまが出ることも、しめしろが出ることもある設定で、軽い圧入や位置決めピンなどに使われる。どれを選ぶかは、組立方法(圧入か摺動か)と分解要否で決まる。
穴基準はめあいと軸基準はめあい
実務では、穴の公差域をH(最小許容寸法を基準寸法に一致させる区分)に固定し、軸側の等級を変えることで多様なはめあいを作る「穴基準はめあい」が広く使われる。理由は加工上の都合にある。穴はドリルやリーマ、中ぐりなど径ごとに専用工具が必要になりやすく、逆に軸は旋盤やセンタレス研削で任意の外径に仕上げやすい。
穴側の等級を1種類(多くはH7)に統一しておけば、工具や検査ゲージの共通化がしやすく、軸側だけを目的の等級に合わせ込めばよい。深穴加工でも、内径側をH7で固定し、そこに組み込む軸やピンの側で公差を作り込む設計がよく見られる。
深穴加工での指定時の注意点
深穴の内径にはめあい公差を指定する場合、径の公差だけでなく、穴の深さ方向での径のばらつき(テーパ、穴曲がりに伴う局所的な拡大)が組み立てに影響する点に注意が要る。浅い穴の内径測定と違い、深穴では穴の入口だけでなく奥まで径を保証できているかを確認する必要がある。
そのため深穴部品のはめあい公差を検討する際は、公差等級の指定と合わせて、内径測定の方法(シリンダーゲージ、エアマイクロメータなど)と測定位置(穴のどこを測るか)も発注時に取り決めておくと、検査時の齟齬を防げる。
よくある誤解
✕ はめあい公差は軸か穴のどちらか一方だけを指定すればよい。
○ はめあいは軸と穴の組み合わせで決まる関係であるため、両方の公差域が揃って初めて意味を持つ。軸だけH7を指定しても、相手の穴側の等級が不明ではすきまばめかしまりばめかが決まらない。
✕ H7と指定すれば、どんな軸とも標準的にきっちりはまる。
○ H7は穴側の等級を示すだけで、はめあいの種類(すきま・しまり・中間)は軸側の等級との組み合わせで決まる。H7とg6の組み合わせはすきまばめ、H7とp6の組み合わせはしまりばめになるというように、相手側の等級も含めて確認する必要がある。
✕ 深穴の内径も、浅い穴と同じ1点測定ではめあい公差を保証できる。
○ 深穴は入口と奥とで径が変わりやすく、1点の測定値だけでは全長にわたる公差の充足を保証できない。測定位置と本数を発注時に取り決めておくことが実務上重要になる。
よくある質問
図面にH7とだけ書かれていますが、これで発注先に十分伝わりますか?+
すきまばめと中間ばめの違いがわかりにくいのですが、どう判断すればよいですか?+
深穴部品にはめあい公差を指定する際、追加で伝えるべきことはありますか?+
関連用語
出典
- JIS B 0401(寸法公差及びはめあいの方式)
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