ベリリウム銅とは
読み: べりりうむどう
ベリリウム銅とは、銅に1〜2%程度のベリリウムを添加し、時効処理(析出硬化)によって銅合金としては例外的な高強度と高い熱伝導率を両立させた合金である。
概要
純銅は熱伝導性に優れる一方で強度が低く、そのままでは金型部品や高負荷のばね部品には使いにくい。ベリリウム銅は、銅にベリリウムを加えたうえで時効処理と呼ばれる熱処理を行うことで、微細な析出物を銅の結晶内に分散させ、鋼材に近い強度まで引き上げた合金である。
強度を上げても熱伝導率の低下が比較的小さいのが特徴で、高い熱伝導性と強度・耐摩耗性を同時に必要とする部品に選ばれる。代表的な種類にC17200(高強度タイプ)やC17510(高導電率タイプ)がある。
クロム銅との違い
ベリリウム銅とクロム銅はどちらも析出硬化によって強度を高めた銅合金だが、強度と熱伝導率のバランスが異なる。ベリリウム銅は強度・耐摩耗性を優先したグレードで、金型のキャビティやコアなど繰り返し荷重がかかる部位に向く。
クロム銅は熱伝導率をより重視したグレードで、電極や急速冷却が必要な部品に使われることが多い。どちらを選ぶかは、要求される強度と冷却速度のどちらを優先するかで判断する。
加工と取り扱い上の注意点
時効処理後のベリリウム銅は硬度が上がり工具摩耗が進みやすいため、超硬工具の選定や切削条件の管理が必要になる。また熱伝導率が高いことで切削熱が刃先に集中しにくい一方、加工硬化しやすい面もあり、送り量が小さすぎると逆に工具寿命を縮めることがある。
研削・研磨工程で発生する粉じんにはベリリウムが含まれるため、集じん設備を整えた環境での加工が必須になる。発注時には加工先が粉じん対策済みの設備を保有しているかを確認する必要がある。
主な用途
金型のキャビティ・コアなど、成形品の冷却速度を上げたい部位や、耐摩耗性が求められる摺動部品に使われる。放電加工用の電極素材としても使われ、導電性と強度を両立できる点が評価される。
電気接点用のばね部品や、高い耐疲労性が求められる精密機械部品にも用いられている。
よくある誤解
✕ 銅合金だから、鋼材ほどの強度は期待できない。
○ ベリリウム銅は時効処理による析出硬化で鋼材に近い強度域まで引き上げられている。純銅のイメージで強度を軽視すると、必要な熱処理を省いて強度不足の部品になることがある。
✕ ベリリウム銅とクロム銅はどちらも同じ用途に使える。
○ 析出硬化型という点は共通だが、ベリリウム銅は強度・耐摩耗性、クロム銅は熱伝導率をより重視したグレードである。冷却速度重視ならクロム銅、耐摩耗性重視ならベリリウム銅というように使い分けが必要になる。
✕ 加工は普通の銅合金と同じでよい。
○ 時効処理後は硬度が上がり工具摩耗が進みやすく、研削粉じんにはベリリウムが含まれる。純銅と同じ感覚で条件設定や環境管理をすると、工具寿命の短縮や作業環境上の問題につながる。
よくある質問
ベリリウム銅とクロム銅はどちらを選べばよいですか。+
加工時に特別な設備は必要ですか。+
深穴加工には対応できますか。+
関連用語
- クロム銅
- 無酸素銅C1020
- タフピッチ銅C1100
- 金型冷却水穴
- エジェクタピン穴
出典
- 一般的な銅合金の析出硬化に関する工学的知見(JIS H3130 ばね用銅合金薄板等)
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