包装機械の部品加工を外注する前に、図面と材質の何を確認すべきか?
包装機械の部品加工は、まずその部品が食品に接触する部位かどうかを確認します[3]。接触部は衛生設計の規格で材料と表面の決まり方が変わるため、図面の面粗度(Ra)と材質の指定の出どころを発注前に押さえます。接触しないフレームや駆動部品は、一般の精密部品と同じ判断で外注できます。
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対象部品が食品接触部かどうか分からない段階でも、機械名と分かっている条件だけで送ってください。図面や具体的なアイデアがなくてもOK!部位の区分の確認から一緒に進めます。
まず確認すること
包装機械の部品加工の外注で最初に分かれるのは、加工方法ではなく、その部品が食品に接触するかどうかです。接触部の材料と面粗度の指定は衛生設計の要求で決まっており、図面の指定値を加工側の判断で動かせません[3]。深江特殊鋼は、この区分と図面の指定値の確認から入り、材質と数量がそろった時点で対応可否と見積を回答します[14]。
納期が遅れやすいポイント
- 図面に内面Ra0.4以下や電解研磨と指定があるが、この数値がどの規格から来ているのか分からず、公差や仕上げの緩和を頼んでよいのか判断できない。[3][5]
- 食品に接触する部品と接触しない部品が同じ図面セットに混在し、材料証明や表面仕上げの要求をどの部品まで適用すべきか切り分けられない。[3]
- 受注生産で多品種少量が基本の業界のため機種ごとに図面が違い、まとまったロットにならず、見積の相談先が絞れない。[9]
- 長年の加工先が廃業し、図面だけが手元に残った交換部品の発注先が無くなった。[11]
- 樹脂部品のポジティブリスト対応は進めたが、金属の加工部品に何が求められるのかは整理できていない。[4]
Q. なぜ包装機械の図面は、食品接触部の材質と表面仕上げの指定がここまで細かいのか?
A. 食品に触れる部位の材料と表面が、衛生設計の規格で決まる対象だからです。図面の面粗度や材質の指定の多くは加工のしやすさではなく、洗浄で汚れを落としきれる表面を作るという要求から来ています[3]。 出発点は規格の体系です。機械の安全設計は、あらゆる機械に適用されるJIS B 9700(ISO 12100と一致)のリスクアセスメントから始まります[1]。設計者はまずこの規格でリスクを見積もり、次に分野別の個別規格の有無を調べる、という順番が規格の側で案内されています[1]。食料品加工機械には、その個別規格としてJIS B 9650-1(安全設計基準)とJIS B 9650-2(衛生設計基準)があります[2]。包装機械専用の規格ではなく、製パンや食肉加工の機械も含む通則ですが、食品に接触する充填機や計量機の部品図面で、材料や公差の指定を読むときの起点になります[2]。 2本の規格は要求の向きが違います。JIS B 9650-1は安全側で、洗浄や清掃の時間帯を含む運転中の機械的な危険源にインターロック付きガードを、高圧洗浄が行われる環境には防塵防水等級(IPコード)の高い外装を、圧力容器には内部が安全な圧力と温度に達するまで扉が開かないインターロックを求めます[2]。JIS B 9650-2は衛生側で、食品接触部の材料に耐食性と無毒性、非吸収性と食品衛生法への適合を、表面には食品や洗浄剤の除去を妨げるすき間のない滑らかで連続した形状を、CIP(定置洗浄)対応の機器には洗浄が届かないデッドスペースが無いことを求めます[3]。図面に出てくるSUS材の指定や継ぎ目の処理、表面仕上げの指定は、この衛生側の要求が形になったものです[3]。 では、図面にあるRa0.4のような数値はどの規格に書いてあるのでしょうか。JIS B 9650-2を確認しても、具体的な面粗度の数値は載っていません。規格は粗さのパラメータにJIS B 0601のRaを用いることが望ましいとしたうえで、数値そのものは「意図する衛生上の要件を満たす表面粗さ」という書き方に留めています[3]。数値は実務の側にあります。技術士事務所の解説記事では、国際酪農連盟(IDF)が食品接触面の平均粗さをRa0.63μm未満と規定しているとされ、米国の3-A、欧州のEHEDG、日本のJIS B 9650という3つの体系が並行して参照される実務が紹介されています[5]。3-Aは継手や機器ごとの個別規格群として整備されています[7]。 規制の切り分けも一つ押さえておくと、図面の読み方が変わります。食品用器具のポジティブリスト制度(2020年6月施行、経過措置は2025年5月末で満了)は対象が合成樹脂で、金属の加工部品は現時点でこの制度の対象外です[4]。パッキンやガイドレールの樹脂は制度側、金属の削り出し部品は衛生設計とRa指定の側、と要求の出どころが分かれます。だから金属部品の面粗度や材料の指定は、加工側から緩和を持ちかける筋の数値ではなく、出どころを確認したうえで工程の組み方で応える数値になります[3]。
Q. サニタリー要求の数値は、管の規格品と削り出し部品でどう決まり方が違うのか?
A. 管はJIS G3447が寸法の公差から研磨番手、耐圧試験まで数値で定めています。削り出し部品にはこの一律の数値がなく、図面の個別指定と検査条件が正になります[6]。 食品工業用のステンレス鋼サニタリー管には、ISO 2037に対応するJIS G3447があります[6]。外径31.8mm未満で±0.15mm、厚さ1.2mm未満で±0.12mm(1.2mm以上は±10%)という寸法許容差、内外面を精密研磨用微粉400番で仕上げる表面規定、水圧2.5MPa以上または空気圧0.6MPa以上の耐圧試験、SUS304TBSと316TBSで引張強さ520N/mm²以上という機械的性質まで、管として要る数値が一とおり規格側にそろっています[6]。規格名の指定だけで寸法と仕上げが決まる、規格品らしい決まり方です。 充填ノズルやバルブボディ、ホッパーのような削り出し部品には、この決まり方が使えません。±0.15mmや400番研磨は管の規格値であり、形状の違う部品にそのまま流用できないためです[6]。削り出し部品側の要求は、JIS B 9650-2の定性的な要求(耐食で無毒、洗浄できる連続した表面)を発注元各社が図面の個別指定に落とす、という経路で決まります[3]。同じサニタリーという言葉でも、規格が数値を持つ管と、図面が公差と面粗度を持つ削り出し部品とでは、確認する場所が違います。 材質の選び方には実務の目安があります。一般にはSUS304、腐食が効く環境ではモリブデンを加えたSUS316が使われ、塩素イオンを含む洗浄液が強く効く環境では孔食指数(PRE=%Cr+3.3×%Mo+16×%N)が40を超えるスーパーステンレスまで視野に入る、という使い分けが技術解説で紹介されています[5]。CIP洗浄の運転条件(洗浄液温度60〜80℃、配管内流速0.6〜1.5m/s、洗剤濃度0.5〜3.0%)が決まっていれば、材質と表面仕上げを判断する材料になります[5]。 図面確認の着地点は部位ごとに3点です。管か削り出しか。Ra指定値と測定部位はどこか。電解研磨などの表面処理の指定はあるか。SUS304のサニタリーバルブボディで内面Ra0.4以下という要求なら、マシニングと旋盤で形を作り、内面を研削で追い込み、電解研磨で仕上げる工程の組み方で応える種類の数値で、公開事例ではこの工程でRa0.3に到達しています[16]。
Q. 深江特殊鋼に包装機械の部品加工を相談すると、何がどこまで進むのか?
A. 食品接触部かどうかの区分と図面の確認から入り、材料と面粗度の指定、数量と納期がそろえば対応可否と見積を回答します[14]。 最初に確認するのは3点です。(1)対象部品が食品に接触する部位かどうか、(2)面粗度と表面処理の指定の出どころ(JIS G3447のような規格指定か、発注元の個別指定か)、(3)数量と納期。この3点で、材料と精度、ロット、納期の4軸に条件を載せて検討できるようになります[14]。 包装機械の部品には、ローラーやスリーブ、シャフトのような深穴と長尺物が多く出ます。BTA加工はφ20〜300mm、ガンドリル加工はφ4〜32mmが標準範囲です[12]。公開事例に、包装機器用スリーブをS45Cのφ210mm×長さ1876mmの素材へφ125mmの穴で貫通加工したものがあります。内径の面粗度はRa6.3で、複数本分を長尺のまま加工して後から切断する工程で着脱回数を減らし、工数を35%削減して月産30本の供給を続けた事例です[15]。 食品接触部の面仕上げは、SUS304サニタリーバルブボディの公開事例が物差しになります。内面Ra0.4以下の要求に対し、加工硬化を考慮した切削条件でマシニング、旋盤、研削と工程を段階的に組み、電解研磨仕上げでRa0.3に到達しました[16]。研削や電解研磨、素材調達を含む案件も、国内認定パートナー150社超のネットワークで、材料と精度、ロット、納期の4軸に合わせて一括で受けます[14]。 相談の入り方には、業界の事情も絡みます。包装機械は受注生産で多品種少量、納入先の仕様に合わせたオーダーメイドの比率が高い業界と解説されており[9]、業界団体の正会員だけで170社あります[10]。機種ごとに図面が違うため、単品や試作からの相談が起点になりやすい分野です。継続供給の事情はもう一段重いことがあります。全産業の統計ですが、中小企業の後継者不在率は2024年で52.1%、後継者難による倒産は同年1〜10月で455件と高い水準が続いています[11]。長年の加工先から図面だけが残った交換部品は、同じ図面と同じ材料での再現発注として相談できます。過去の検査成績書が残っていれば判断が早くなります。発注先を二系統に分けておく備えも、あわせて相談できます[13]。
図面で見ておきたい条件
- 相談の最初に、対象部品が食品に接触する部位かどうかをお知らせください。接触部は材料と面粗度の指定が衛生設計の要求に直結するため、図面のRa値と表面処理の指定は変更できない前提で工程と検査条件を検討します[3]。
- CIP(定置洗浄)がかかる部品は、洗浄液の温度や洗剤濃度で材料(SUS304か316か)の向き不向きが変わることがあります。運転条件(洗浄液温度60〜80℃、洗剤濃度0.5〜3.0%など)が分かると、材質と仕上げの確認が早く進みます[5]。
相談前に知っておきたいこと
- 対応可否と費用は、図面と、食品接触部かどうかの区分を確認してから回答します。
- 図面のRa指定や材質指定を加工側の判断で緩和することはできません。緩和が必要に見える場合は、指定の出どころ(規格か発注元の設計基準か)の確認が先になります[3]。
- 食品衛生法や衛生規格への適合判定、認証取得の代行は行っていません。加工側が担うのは、図面に指定された寸法と面粗度の実現と、注文時に取り決めた検査記録の提出までです。
業界での実機事例(参考)

S45C包装機器スリーブのBTA長尺加工

SUS304食品機械用バルブボディのマシニング加工
よくある質問
図面が固まっていない段階でも相談できますか?+
食品に接触するかどうか自分で判断できない部品は、どう伝えればよいですか?+
内面Ra0.4以下のような面粗度指定は、緩和してもらえますか?+
電解研磨やバフ仕上げまで含めて依頼できますか?+
元の加工先が廃業して、図面しか残っていません。依頼できますか?+
単品や試作1個からでも頼めますか?+
ラインが止まっていて急ぎです。短納期で頼めますか?+
材料証明(ミルシート)や検査成績書は付けてもらえますか?+
樹脂のパッキンはポジティブリスト対応が要ると聞きました。金属部品も対象ですか?+
見積のとき何を伝えると初回の回答が早くなりますか?+
あわせて読みたい情報
参考事例・文献
外部資料
- [1] JIS B 9700:2013 機械類の安全性(設計のための一般原則、リスクアセスメント及びリスク低減)
- [2] JIS B 9650-1:2011 食料品加工機械の安全及び衛生に関する設計基準通則 第1部: 安全設計基準
- [3] JIS B 9650-2:2011 食料品加工機械の安全及び衛生に関する設計基準通則 第2部: 衛生設計基準
- [4] 消費者庁: 食品用器具・容器包装のポジティブリスト制度について(2025年6月1日以降)
- [5] 木本技術士事務所: 食品機械の衛生とは?衛生設計の基礎知識
- [6] JIS G3447 ステンレス鋼サニタリー管
- [7] 3-A Sanitary Standards, Inc. 規格一覧(3-A Standards)
- [8] 日本包装技術協会: 2025年日本の包装産業出荷統計
- [9] アマダ: 業界ウォッチ 包装機械業界
- [10] 日本包装機械工業会(JPMMA): 会員企業リスト(正会員)
- [11] 帝国データバンク: 全国「後継者不在率」動向調査(2024年)
内部事例
- [15] 加工事例: S45C包装機器スリーブのBTA長尺加工
- [16] 加工事例: SUS304食品機械用バルブボディのマシニング加工
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