ロストワックス鋳造とは何か?仕組みと、機械加工との使い分けをどう判断するか
ロストワックス鋳造は、ワックスで作った原型をセラミックの層で包み、ワックスを溶かし出してできた空洞に溶けた金属を流し込む鋳造法です。[4] 複雑な形を一体で作れる代わりに、型の準備に費用と時間がかかります。まず形状と数量と要求公差の三つを確認します。[3]
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鋳造で受けるか削り出しで受けるかの見立てから相談する
ロストワックス鋳造に置き換えるべきか決めかねている段階で構いません。図面や具体的なアイデアがなくても大丈夫です。用途、おおよその外形寸法、材料の候補、数量をメモにして送っていただければ、工法の見立てと、見積に足りていない条件をお返しします。
まず確認すること
ロストワックス鋳造を選ぶかどうかは、同じ形を削り出しで作り続ける場合との比較で決まります。JIS B 0403:1995の附属書A(参考)では、インベストメント鋳造の推奨公差等級はCT4〜CT6、砂型鋳造はCT8〜CT12とされています。[1] 鋳造の中では高精度側ですが、機械加工の公差と同じ土俵ではありません。分かれ目は、図面の公差を全面に要求するか、必要な面だけに要求するかです。弊社のコラムの事例では、50角のブラケット(材料AC4C-T6)を一体化した形に変え、必要な部分だけを機械加工しています。[4]
納期が遅れやすいポイント
- 複雑な形を削り出しで作り続けていて、加工工数が下がる見込みが立ちません。鋳造に置き換えるべきかどうかを判断する材料が手元にありません。[3]
- ロストワックス鋳造の寸法精度がどこまで出るのかが分からず、鋳造のまま使える面と機械加工で仕上げる面を図面で分けられません。[1]
- 鋳造品の内部欠陥をどう確認すればよいかが決まっておらず、受入検査の条件を仕様書に書けません。[5]
Q. ロストワックス鋳造は、どういう手順で金属の部品になるのか?
A. ワックスで原型を作り、その周りをセラミックで固めて型にし、ワックスを溶かし出した空洞へ溶けた金属を流し込みます。[4] 弊社のコラムでは、この工程を「ロウで原型を作り、周りを鋳砂や石膏で覆い固め、加熱により中のロウを溶かし出して除去することによってできた空洞に溶かした金属を流し込む」と説明しています。[4] 溶けて失われるロウが、ロストワックスという名前の由来です。[3] 工程をさらに細かく分けると十一段になります。金型の作成、ワックス模型の射出成形、ワックスをツリー状に組み立てる工程、スラリーへの浸漬とセラミックの積層、圧力釜での脱ろう、鋳型の焼成、鋳込み、型バラシ、ツリーからの切断、ベルト研磨による仕上げ、キズと歪みの検査です。[2] 対応材料としては、耐熱合金、ステンレス鋼、炭素鋼、アルミニウム合金が挙げられています。[2] 砂型鋳造との差は、この包み方に出ます。砂型では鋳型を上下に分けて中子を入れるため、分割面のずれがそのまま製品の段差になります。[6] ロストワックス鋳造は原型ごとセラミックで包んでからワックスだけを溶かすので、鋳型を分割する必要がありません。この機構の違いが、薄肉や複雑形状の再現性と、あとから機械加工で公差を出す材料の削り量に効いてきます。[2][4]
Q. 精密鋳造の公差はどこまで出るのか。機械加工とどう使い分けるのか?
A. JIS B 0403:1995の附属書A(参考)では、インベストメント鋳造の推奨公差等級はCT4〜CT6です。砂型鋳造のCT8〜CT12より高精度側に置かれています。[1] 同じ参考表では、金型鋳造がCT7〜CT9、ダイカストがCT4〜CT8とされています。[1] ロストワックス鋳造は砂型鋳造や金型鋳造よりはっきり高精度側で、ダイカストとは上位側で重なります。CT等級は単一の数値ではなく基準寸法ごとの表で、CT5なら基準寸法10mm以下で0.36mm、25〜40mmで0.46mm、100〜160mmで0.56mmという公差になります。[1] この附属書は参考であって、個々の加工先が必ずこの等級に入ることを示すものではありません。[1] 削り代のほうにも等級があります。附属書Bではインベストメント鋳造は削り代等級Eで、最大寸法40mm以下なら0.4mm、63〜100mmなら0.7mm、160〜250mmなら1.4mmです。[1] 鋳肌のまま使う面と、公差を機械加工で出す面を図面で分けるとき、この値が目安になります。 加工先が自社の公称値として公差を出している場合もあります。ロストワックス精密鋳造の専業メーカーが公開している値では、長さ寸法公差が0〜25mmで±0.25mm、25〜50mmで±0.4mm、50〜100mmで±0.8mm、100mm以上で±1%、角度公差が±1°です。[2] これは同社の公称値であり、業界共通の標準値ではありません。材料と大きさが違えば別の数値になります。[2] 使い分けの分かれ目は、図面の公差を全面に要求するかどうかです。全面に厳しい公差が要るなら鋳造後の機械加工が要り、必要な面だけでよいなら鋳肌のまま残せます。弊社のコラムの製品事例では、50角のブラケット(材料AC4C-T6)で、切削で作った3部品をねじ止めしていた構成を一体化した形に変え、必要な部分だけを機械加工しています。30角のホルダー(材料S45C)も、最低限の加工だけを足す形です。カム(材料S45C)は鋳造のみで納め、キー溝の寸法やタップ位置の仕様変更に対応するため、最終加工は使う側で行っています。[4] 削り出しからの置き換えでは、材料も一緒に変わります。コラムの工法転換事例では、SS400の切削加工で作っていた部品をS45C精鋳のロストワックス製法に変え、製品重量が620gから550gになっています。もう一件はSS400の切削加工からSCS13(SUS304の精鋳)へ変え、サビ止めのメッキ処理が不要になり、重量は397gから314gです。[3] コスト削減の金額や率までは、この記録には残っていません。[3]
Q. 弊社にご相談いただくとき、事前に確認させていただく条件は?
A. 材料、外形寸法と重量、公差をどの面に出すか、数量、鋳巣の許容基準の五つです。この五つで、鋳造で受けるか削り出しのまま進めるかが分かれます。[5] 大きさは早い段階で効きます。公開されている専業メーカーの対応範囲では、最小10×10×10mm、最大500×500×500mm(約60kg)で、得意な領域は300×300×300mm以下、重量10〜30kgとされています。[2] 手元の部品がこのレンジの外にあるなら、鋳造ではなく削り出しや溶接構造での相談になります。加工先ごとに範囲は違うので、材料と外形寸法と重量が決まった時点で照会します。[2] 数量と型のこと、それに公差の要求範囲も先に伺います。ロストワックス鋳造は金型の製作コストが高く、小ロットには向かない場合があります。金型製作と溶解の工程が入るぶん、リードタイムが他の工法より長くなることもあります。材料の選定によっては効果が出ないこともあります。[3] 試作の段階なら、ワックス模型の代わりに3Dプリンタの樹脂模型や光造形模型を使い、金型を作らずに鋳物を試す方法もあります。[2] 鋳巣の扱いは、受入検査の条件として先に決めておくところです。鋳巣は鋳造品の内部や表面近くに残る空洞状の欠陥で、溶湯中のガスが抜けきらないガス巣と、凝固時の体積収縮で生じる引け巣に分かれます。鋳鋼、鋳鉄、アルミ鋳物など、鋳造で作られる材料に共通する欠陥です。[5][6] 外観だけでは分からないことがあり、機械加工で表面を削っていくと内部の鋳巣が加工面に現れて初めて見つかることもあります。表面の鋳巣は目視やボアスコープで確認できますが、内部の鋳巣は超音波探傷や放射線透過検査といった非破壊検査でなければ検出できません。[5] 鋳巣が見つかっても、必ず不良になるわけではありません。鋳造品には規格や仕様で定めた許容できる大きさと数の基準があり、基準の内側なら不良として扱わないこともあります。判定は図面と仕様書の基準に照らして行うので、その基準を発注前に決めておくと、材料の受入検査でのやり取りが減ります。[5] 弊社は鋳造から機械加工までを一括で受けます。自社設備はBTA深穴加工やガンドリル、旋盤、マシニングといった切削加工です。[6] 材料の手配から加工、研磨、表面処理までを一括で引き受ける形で、試作や多品種小ロットから量産まで扱っています。[3] 鋳造で受けるか、削り出しで受けるか、鋳造と機械加工を組み合わせるかは、図面と数量を見てから回答します。[4]
図面で見ておきたい条件
- 見積の前に、材料、外形寸法、重量、要求公差とそれを出す面、数量、鋳巣の許容基準を確認します。JIS B 0403:1995は受渡当事者間で公差等級を協議し、図面または契約文書に明記することを前提にした枠組みなので、等級の指定がないと可否の判定を加工先側で組み立てられません。[1]
- 鋳造のままで済ませる面と、機械加工で仕上げる面を分けて指示していただけると、削り代の見積が早くなります。削り代等級は寸法公差等級とは別の体系で、附属書Bの等級Eでは最大寸法63〜100mmで0.7mm、160〜250mmで1.4mmが目安として示されています。[1]
- 内部の鋳巣は外観で分からないため、非破壊検査を入れるかどうかを数量と用途から決めます。ガンドリルやBTAで深穴を通す部品では、鋳巣を貫通すると強度と気密性に直接影響します。[5]
相談前に知っておきたいこと
- ロストワックス鋳造で実際に出る公差の値は、材料、部品の大きさ、肉厚、鋳型の条件で変わります。対応可否と費用は、材料と要求公差と数量が決まってから回答します。JIS B 0403:1995の附属書AがインベストメントをCT4〜CT6に置いているのは目安であって、個々の案件がその等級に入ることを示すものではありません。[1]
- 長さ寸法公差±0.25mmといった数値は、一社が自社の公称値として公開しているものです。加工先が変われば値も変わるので、見積の前にその会社の公称値を材料と寸法とあわせて確認します。[2]
よくある質問
図面がまだなくても相談できますか?+
初回の相談では何を送ればよいですか?+
インベストメント鋳造や精密鋳造と書かれた図面でも、同じ相談先でよいですか?+
小ロットでも受けてもらえますか?+
納期はどれくらいかかりますか?+
鋳造のあとの機械加工まで一緒に頼めますか?+
今は削り出しで作っています。鋳造に変えると何が変わりますか?+
受入検査で鋳巣が見つかったら不良ですか?+
材料は支給できますか。手配もお願いできますか?+
御社にロストワックス鋳造の設備はあるのですか?+
あわせて読みたい情報
参考事例・文献
内部事例
- [3] Meta-Navi 技術コラム: ロストワックスでの最適工法とは
- [4] Meta-Navi 技術コラム: ロストワックス精密鋳造品の価格でお困りではありませんか?
設備・会社情報
- [5] Meta-Navi 用語解説: 鋳巣(いす)
- [6] Meta-Navi 技術コラム: 鋳造に関しての基礎知識
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