射出成形機やプレス機まわりの部品加工はどこまで外注できるか、金型と機械本体で何を確認すべきか?
射出成形機やプレス機まわりの部品加工は、まず対象が金型側か機械本体側かを分けて確認します[4]。機械本体の構造や安全装置は労働安全衛生法に基づく構造規格と型式検定の対象ですが[1][2]、金型はこの規格の適用外で、SKD11やSKD61といった鋼材の指定と公差がそのまま発注条件になります[5]。
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対象が金型側か機械本体側か分からない段階でも、部品名と分かっている条件だけで送ってください。図面や具体的なアイデアがなくてもOK!鋼材の状態と工程順の確認から一緒に進めます。
まず確認すること
射出成形機やプレス機まわりの部品加工の見積で最初に決まるのは、加工方法ではなく、対象が金型側か機械本体側かという区分です。金型側なら、SKD11やSKD61をどの状態で加工するかが、穴加工と熱処理の順序や公差の詰め方まで含めた条件になります[5]。深江特殊鋼は、この区分と鋼材の状態の確認から入り、図面と数量をうかがったうえで対応可否と見積を回答します[14]。
納期が遅れやすいポイント
- 金型の図面にSKD11やSKD61と書かれているが、規格の焼なまし硬さと焼入れ後の使用硬度の違いが分からず、どの状態の材料で加工を頼むべきか判断できない。[5][12]
- 長年頼んできた金型メーカーが廃業した。2025年1〜9月だけで金型製造業126社が倒産や休廃業で市場から退出しており、同じ図面を引き継げる加工先を探し直す必要に迫られている。[10]
- プレス機本体の架台やフレームの加工と、金型のパンチやダイの加工を同じ聞き方で見積依頼してしまい、規格の前提が違うことに後から気づく。[1][4]
- 金型冷却水路の深穴加工を焼入れ後に依頼してしまい、加工が著しく困難だと分かって工程が手戻りになった。[12]
- 金型の改造や修理の費用をどちらが負担するのか曖昧なまま話が進み、検収と支払の段階でもめる。[11]
Q. なぜ射出成形機やプレス機まわりの部品加工は、金型と機械本体で発注の考え方が分かれるのか?
A. 機械本体が労働安全衛生法に基づく構造規格と型式検定の対象である一方、金型はその適用外だからです。射出成形機の安全規格であるJIS B 6711も、金型の設計と構造を適用対象外と明記しています[4]。金型部品の寸法公差と材料は、図面と材料規格の側で決まります[5]。 動力プレス機械には構造規格(昭和52年労働省告示第116号)があり、一行程一停止機構と急停止機構、そして即時にスライドの作動を停止できる非常停止装置を備えることを求めます[1]。プレス機械やシャーに取り付ける安全装置にも別の構造規格(昭和53年労働省告示第102号)があり、インターロックガード式、両手操作式、光線式、手引き式という方式ごとに構造が定義されています[2]。機械本体の側は、何を備えていなければならないかが告示の条文で決まっている世界です。 ただし検定の効き方には濃淡があります。動力プレス機械の型式検定の対象は、危険防止機構を持ついわゆる安全プレスに限られ、ストローク長さ6mm以下で身体の一部が危険限界に入らない構造のものは検定を受ける必要がありません[3]。検定の立会試験も、検定機関の施設ではなく申請者の製造現場や設置場所で実施されます[3]。機械本体側の部品加工とは、発注元がこの構造規格に適合させた設計を、図面どおりに再現する仕事だということになります。 では金型はどうか。射出成形機の安全要求事項を定めるJIS B 6711:2021(ISO 20430)は適用範囲を機械本体に限り、注記で、金型と排気システムは射出成形機の一部ではないと述べています[4]。プレス側の構造規格も、金型のパンチやダイの加工精度を規定するものではありません[1]。金型部品の寸法公差と材質を決めるのは告示ではなく、図面と、その図面が参照する材料規格や部品規格です[5]。同じ機械のまわりの部品でも、機械本体側は法定構造の再現、金型側は図面と規格数値の再現という、別の発注に分かれます。
Q. 金型部品の図面にあるSKD11やSKD61、穴公差の数値は、どの規格から来ているのか?
A. SKD11やSKD61の鋼材はJIS G 4404、モールド用ガイドピンの外径公差はJIS B 5102、成形機への取付寸法はJIS B 6701が数値を定めており、図面の指定値の多くはこれらの規格から来ています[5][6]。 金型用鋼材の代表であるSKD11とSKD61は、JIS G 4404:2015が化学成分を規定する合金工具鋼で、同規格は冷間金型用10種類、熱間金型用10種類を含む32種類を定めています[5]。SKD11は炭素1.40〜1.60%、クロム11.00〜13.00%の冷間金型用、SKD61は炭素0.35〜0.42%、クロム4.80〜5.50%の熱間金型用です[5]。ここで読み違えやすいのが硬さの数値です。規格が定める焼なまし硬さはSKD11で255HBW以下、SKD61で229HBW以下ですが[5]、これは納入状態の柔らかさの上限であって、金型として使うときの硬さではありません。焼入れ焼戻し後の目安は、SKD61でHRC44〜52(600℃までの強度維持)[12]、SKD11で58〜62HRCと、焼なまし値とは別の水準になります[13]。 この差が、発注の工程順を決めます。SKD材への焼入れや窒化処理の後の穴あけは著しく困難になるため、ガンドリルで加工する冷却水路のような深穴は熱処理の前に加工を終えるのが原則です[12]。図面に硬度指定があるのに穴加工の順序が書かれていない場合、見積の前にこの順序の確認を挟むことになります。 標準部品と取付まわりにも規格数値があります。モールド用ガイドピンはJIS B 5102が外径g6公差(直径12〜20mmで-0.006/-0.017mm)と硬さ55HRC以上を定める一方、材質は受渡当事者間の協議によるとされ、特定の鋼種は指定されていません[7]。射出成形機側の金型取付寸法はJIS B 6701:1992が型締力196〜7,845kNの範囲で規定し、取付ボルトは型締力に応じてM12からM24、ねじ穴深さはボルト外径の1.5倍以上、ロケートリング穴径は60、100、120、150mmの4種類です[6]。ただし1992年制定の規格なので、実際の機種の取付仕様はメーカー公表値との照合が要ります[6]。 混同しやすい規格がもう一つあります。JIS B 0408は金属プレス加工品の普通寸法公差で、打抜き品の基準寸法6mm以下でA級±0.05mm、B級±0.1mm、C級±0.3mmという値を定めます[8]。これは打ち抜かれた製品側の公差であって、パンチやダイという金型部品の加工公差ではありません[8]。製品図面の公差等級を、金型部品の見積にそのまま読み替えることはできません。
Q. 深江特殊鋼に射出成形機やプレス機まわりの部品加工を相談すると、何がどこまで進むのか?
A. 対象が金型側か機械本体側かの区分と、SKD材をどの状態で加工するかの確認から入り、図面と材料、数量の条件がそろえば対応可否と見積を回答します[14]。 金型側の穴加工では、ガンドリルによる冷却穴でφ10〜16mm、大径や角度付きの穴で最大φ25mmまでの対応レンジを公開しています[13]。公開事例には、400×300×200mmのSKD61ダイブロックへφ6mm×300mmの傾斜穴を穴位置公差±0.1mmで加工し、真空焼入れと焼戻しを経て出荷した実例があります[15]。焼入れ前に穴加工を終える工程順はこちらで組み立てるので、図面に最終硬度と熱処理の指定が書かれていれば検討を進められます[12]。 使い始めた後の寿命の相談も、公開値を物差しにして検討します。SKD11金型基材へのガス窒化処理(表面硬度HV1050)で金型寿命が3倍になった実例と、硬質クロムめっき(厚さ20μm、めっき後HRC72、面粗度Ra0.05)で寿命が5倍になった実例を公開しています[13]。この倍率は個別案件の実測で、金型の形状や使用条件が変われば同じにはならないため、再処理の周期はショット数と摩耗の状況が決まってから一緒に検討します[13]。機械本体側の架台やフレームのような大型構造部品も、材料と精度、ロット、納期の4軸で加工先を絞り込む国内認定パートナー150社超のネットワークで一括で受けます[14]。 金型の相談には、加工条件より手前の事情が絡むことが増えています。2025年1〜9月だけで、金型製造業の倒産が36件、休廃業と解散が90件、合わせて126件が市場から退出しました[10]。日本の金型産業はプレス型32.6%、プラスチック型32.4%とこの領域の2つの型が生産額の最大区分を占めますが、事業所数はピークの13,000から4,300へ減っています[9]。既存の金型メーカーが廃業して図面だけが残った場合、先に確かめることが一つあります。日本金型工業会の金型取引ガイドラインは、金型図面と加工データの所有権は作成者にあると整理しており[11]、手元の図面を別の加工先へ渡してよいかは権利関係の確認が先になります。権利が整理できていれば、図面からSKD材などの鋼材指定と熱処理、寸法公差を読み取るところから引き継げます。
図面で見ておきたい条件
- ガンドリルで加工する金型の冷却水路や配線穴のような深穴は、窒化処理や焼入れの前に加工を完了させる工程順で見積します。SKD材への処理後の穴あけは著しく困難になるためです[12]。図面に硬度指定がある場合は、穴加工と熱処理のどちらを先に行う前提かをお知らせください。
- ガイドピンが絡む穴は、相手部品の規格が先に決まっています。モールド用ガイドピンはJIS B 5102が外径g6公差と硬さ55HRC以上を定めるため[7]、受け穴の公差指定がどのピン形式との組み合わせを前提にしているかが分かると、確認が早く進みます。
相談前に知っておきたいこと
- 対応可否と費用は、図面と鋼材の状態(焼なまし材か調質材か焼入れ済みか)を確認してから回答します。
- 窒化処理や硬質クロムめっきによる金型寿命の改善倍率は個別案件の実測値で、金型の形状や使用条件が異なれば同じ倍率にはなりません。再処理の周期も、ショット数と摩耗の状況が決まってから検討します[13]。
- プレス機械の安全装置に関わる型式検定は、機器を製造する申請者側の手続きです。加工側が担うのは、図面に指定された寸法と面粗度の実現と、注文時に取り決めた検査記録の提出までです[3]。
業界での実機事例(参考)

SKD61プレス金型の傾斜穴ガンドリル加工
よくある質問
図面が固まっていない段階でも相談できますか?+
廃業した金型メーカーの金型の交換部品や追加工を頼めますか?+
焼入れ済みのSKD61ブロックに穴を追加できますか?+
プリハードン鋼を使えば熱処理なしで済みますか?+
金型冷却水路の深穴だけを頼めますか?+
ガイドピン穴の公差はどう指定すればよいですか?+
プレス機本体の架台やフレームの加工も相談できますか?+
安全装置や型式検定に関わる部品はどう扱われますか?+
金型の改造費や修理費は、どちらが負担するのが一般的ですか?+
材料支給と材料込みのどちらでも依頼できますか?+
あわせて読みたい情報
参考事例・文献
外部資料
- [1] 動力プレス機械構造規格(昭和52年労働省告示第116号)
- [2] プレス機械又はシャーの安全装置構造規格(昭和53年労働省告示第102号)
- [3] TIIS: 型式検定の手引き(動力プレス機械(安全プレス)) 2025年2月
- [4] JIS B 6711:2021(ISO 20430:2020) 射出成形機-安全要求事項
- [5] JIS G 4404:2015 合金工具鋼鋼材(SKD11、SKD61)
- [6] JIS B 6701:1992 プラスチック射出成形機の金型関連寸法
- [7] JIS B 5102:2000 モールド用ガイドピン
- [8] JIS B 0408:1991 金属プレス加工品の普通寸法公差
- [9] 日本金型工業会: 一目でわかる日本の金型産業(2026年3月27日更新版)
- [10] 帝国データバンク: 金型製造業の倒産・休廃業解散動向(2025年1-9月)
- [11] 日本金型工業会: 金型取引ガイドライン(2022年9月)
内部事例
- [15] 加工事例: SKD61プレス金型用ダイブロックの傾斜穴ガンドリル加工
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