油圧・空気圧機器の部品加工はどこまで外注できるか、発注前に何を確認すべきか?
油圧・空気圧機器の部品加工は、まず図面が引いている規格の特定から確認します。取付寸法やはめあい公差は互換性のためのJIS B 8367やISO 4401で固定され[1][2]、出荷前の品質はJIS B 8377の受渡検査が数値で決めます[4]。法定の型式検定はなく、規格への適合は契約と仕様書を通じて効く要求です。
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図面がどの規格を引いているか分からない段階でも、機器名と分かっている条件だけで送ってください。図面や具体的なアイデアがなくてもOK!規格のパートと検査条件の特定から一緒に進めます。
まず確認すること
油圧・空気圧機器の部品加工の外注で最初に決まるのは、加工方法ではなく、図面に効いている規格の特定です。油圧シリンダならJIS B 8367のどのパートか、受渡検査はJIS B 8377のどちらの部か。ここが決まると、動かせない公差と、提案の余地がある条件が分かれます[1]。深江特殊鋼は、この特定から入り、図面と数量をうかがったうえで対応可否と見積を回答します[15]。
納期が遅れやすいポイント
- 図面のf8やjs13といったはめあい公差記号がどの規格から来ているのか分からず、公差の緩和を頼んでよいのかどうか判断できない。[1]
- 同じ油圧シリンダでも呼び圧力とカバー形式で適用されるJIS B 8367のパートが分かれることを知らないまま、別形式の寸法表で図面を読んでしまう。[1]
- 仕様書の「JIS B 8377-2準拠」が具体的に何をどんな数値で検査する要求なのか分からず、検査費用を見積に織り込めない。[4]
- 長年の加工先が廃業し、シリンダチューブの再製作に応えられる先が見つからない。後継者難による倒産は2024年1月から10月だけで455件ある。[11]
- 空気圧縮機や圧力容器を含む案件で高圧ガス保安法が絡むのかどうか、判断の境界(常用圧力4.90MPa)を知らないまま発注を進めてしまう。[7]
Q. 図面の公差記号や取付寸法は、どの規格から来ているのか?
A. 油圧シリンダの取付寸法はJIS B 8367系がシリンダの型式ごとに定めており、油圧の4ポート方向制御弁の取付面はISO 4401が国際規格として定めています。図面のはめあい公差記号の多くは、この互換性のための規格から来ています[1][2]。 取付寸法が規格で固定されているのは、メーカーが違っても同じ機械に取り付けられるようにするためです。JIS B 8367は単一の規格ではなく、呼び圧力(10MPa、16MPa、25MPa)とカバー形状(丸カバー形、角カバー形)、締付方式の組合せごとにパートが分かれています[1]。たとえば第3部が対象にするのは、片ロッドで16MPaシリーズ、角カバー形、タイロッド締付式、内径250mmから500mm(250、320、360、400、500mmの5サイズ)という特定の型式だけです[1]。同じ見た目のシリンダでも、呼び圧力やカバー形状が違えば適用パートが変わり、寸法表も変わります。図面がどのパートを引いているかの特定が、公差を読む前の最初の確認になります。 第3部の数値を見ると、指定の仕方が分かります。ピストンロッド先端のねじはおねじ6g、めねじ6Hという公差クラスで決まり、取付部の寸法にはf8、h14、js13といったはめあい公差記号が部位ごとに使い分けられています[1]。ストロークの許容差も、1,250mm以下で+2/0mmという片側公差で決まっています[1]。これらは取付互換を守るための数値なので、加工の都合で丸める性格のものではありません。ただし法定の縛りではなく、JISへの適合は取引先との契約や仕様書上の要求として効きます[4]。緩和の余地があるかどうかは、その図面がJIS互換を前提にした製品か、機器メーカーの社内規格品かで変わるため、図面の出どころを確認してから判断する流れになります。 バルブ側にも同じ構図があります。油圧の4ポート方向制御弁は、取付面の寸法をISO 4401が国際規格として定めており、メーカーが違っても取付互換が成り立つようになっています[2]。海外製の弁と国内製の弁が混在する設備では、この取付面の互換が図面要求の前提になります。もう一つ、規格とは別の枠として法規制の境界があります。空気圧縮機まわりでは、圧縮空気の常用圧力4.90MPa以下(温度35℃基準)なら高圧ガス保安法の適用から外れるという境界があり、適用除外でも第二種圧力容器の年1回の定期自主検査義務は残ります[7]。油圧ポンプやシリンダ単体の加工に直接及ぶ規制ではありませんが、空気圧縮機や圧力容器を含む案件では、見積の前にこの境界の確認が入ります[7]。
Q. 出荷前の受渡検査では、何をどんな数値で検査するのか?
A. 油圧シリンダはJIS B 8377-2、空気圧シリンダはJIS B 8377-1が受渡検査(出荷前の検査)を定めています。2002年版の本文では、油圧の耐圧検査(定格圧力の1.5倍を各10秒保持)や内径32mmを境に分かれる検査圧力から、空気圧のボア径別の許容漏れ量まで、数値で決まっています[3][4]。 油圧・空気圧機器の品質担保の骨格は、この受渡検査です。法定の型式検定制度が無いかわりに、JISが検査項目と数値を定め、取引先との契約や仕様書がそれを要求として効かせます[4]。仕様書に「JIS B 8377-2準拠」と書かれていたら、それは内径32mm以下か超かで検査圧力が変わるといった、具体的な検査項目と数値の指定です。 油圧シリンダ側(第2部)の2002年版の数値を挙げます。検査に使う作動油は汚染コード19/15以下、油温は15℃から45℃。作動確認の検査圧力は内径32mm超で0.5MPa、32mm以下で1MPa、往復3回以上でストローク両端の停止時間は最小10秒。耐圧検査は定格圧力または要求運転圧力の1.5倍を各10秒保持します[4]。汚染コードの19/15という表記は、作動油1mL中の粒子数を対数の等級で表すISO 4406(JIS B 9933)の書き方で、コードが1増えると粒子数がおおむね倍になります[6]。第2部は2024年にISO 10100対応の改正版が発行されているため、これらの数値がそのまま適用されるかは、仕様書が指定する版の確認が先になります[4]。 空気圧シリンダ側(第1部)の受渡検査は、作動確認を0.15MPa以下の圧力で行い、シリンダを水平に置いてピストンが停止や振動なく作動することを確認します[3]。空気漏れ試験は0.15MPaと0.63MPaの2段階で、許容漏れ量はボア径の区分ごとに決まっています。ボア8mmから12mmで0.6dm³/h、63mmから100mmで2dm³/h、250mmから320mmで5dm³/hという具合に、径が大きいほど許容量も大きくなります[3]。クッション試験は0.63MPaで行い、ピストンが硬い衝突なく減速することを見ます[3]。 検査と並んで図面に載るのが、ピストンロッドやシリンダ内面の硬質クロムめっきです。工業用クロムめっきのJIS H 8615には用途別のめっき厚さの参考例があり、油圧・空気圧機器用はピストンロッドもシリンダ及びライナーも20μm、硬さはビッカース硬さ750以上と規定されています[5]。厚さは参考の例示なので一律の強制値ではなく、実際の要求は図面の個別指定が優先されます[5]。発注側から見ると、めっき厚さと硬さの指定が図面にあるか、無ければ20μmを目安に指定するかが、見積前の確認点になります。
Q. 深江特殊鋼に油圧・空気圧機器の部品加工を相談すると、何がどこまで進むのか?
A. 図面が引いている規格のパートと版、検査条件を確認し、材料と数量、納期が決まれば対応可否と見積を回答します[15]。 シリンダチューブの内径加工は、径と深さ、公差でBTA加工かガンドリル加工かの工法が分かれ[13]、内面はホーニングや研磨の仕上げ工程で面粗度を作り込みます[12]。公開事例には、SCM440の油圧シリンダーチューブをφ120×L5,200mmの素材からBTA穴φ80×5,000mm、公差H7、ボア面Ra1.6で加工し、真直度0.3mm/5,000mmを達成したものがあります。材料調達から旋盤外径加工、研削、硬質クロムめっきまでを月産10本、15営業日で回した内容です[16]。パッキン溝やシール面の面粗度管理には、真空機器のシール面加工で公開している精密研削のレンジ(Ra0.1〜1.6、寸法精度±0.005mm)を物差しにします[14]。鋳物やアルミのマニホールド、表面処理を含む案件も、国内認定パートナー150社超のネットワークで、材料と精度、ロット、納期の4軸に合わせて一括で受けます[15]。 交換部品の引き合いでは、加工の条件より先に調達側の事情が立ちはだかります。油圧・空気圧機器の業界は、2013年の工業統計で事業所777カ所、そのうち従業者20人未満の事業所が全体の約3分の2を占める構造で、小規模な作り手に生産が分散してきました[10]。全国の中小企業の後継者不在率は52.1%(2024年、全産業の統計)で、後継者難による倒産は2024年1月から10月だけで455件あります[11]。長年の加工先が廃業し、図面だけが手元に残るという相談は、この構造の帰結です。設備は長く使われるのに作り手は減っていく。この分野の調達で決め手になるのは、同じ図面と同じ材料、同じ検査条件での再現発注に応えられる先を、止まる前に確保しておくことです。二次発注先を先に用意しておくデュアルソース化も、切り分けて相談できます[11]。
図面で見ておきたい条件
- 相談の最初に、図面が引いている規格とその版(JIS B 8367のどのパートか、受渡検査はJIS B 8377-1と-2のどちらか)をお知らせください。同じ油圧シリンダでも呼び圧力とカバー形式でパートが分かれ、適用される寸法表と公差の読み方が変わります[1]。
- 受渡検査の要求(耐圧検査、漏れ検査、作動油の汚染コード)を検査記録として求める場合は、対象項目を見積時にご指定ください。検査条件は2002年版の数値で整理しており、2024年改正版の指定がある案件は版の確認から進めます[4]。
相談前に知っておきたいこと
- 対応可否と費用は、図面と適用規格の版を確認してから回答します。
- JIS B 8367の取付寸法は型式ごとにパートが分かれるため、対象の呼び圧力とカバー形式が決まらないうちは、公差の判断を確定できません[1]。
- 高圧ガス保安法や圧力容器の規制が絡むかどうかの最終判断は、設備側の使用条件によります。常用圧力と対象設備が分かれば、確認すべき相手の切り分けからお手伝いします[7]。
業界での実機事例(参考)

SCM440油圧シリンダーのBTA深穴加工
よくある質問
図面が固まっていない段階でも相談できますか?+
シリンダチューブ1本だけの再製作も頼めますか?+
元の加工先が廃業していて、図面しか残っていません。それでも依頼できますか?+
JIS B 8377-2準拠の検査記録は付けてもらえますか?+
硬質クロムめっきまで含めて依頼できますか?+
ロッドやチューブの材質がS45CかSCM440か決まっていません。相談できますか?+
受渡検査は2002年版と2024年版のどちらで行われますか?+
ISO規格が前提の海外向け図面でも見てもらえますか?+
見積のとき何を伝えると初回の回答が早くなりますか?+
あわせて読みたい情報
参考事例・文献
外部資料
- [1] JIS B 8367-3:2009 油圧シリンダ取付寸法 第3部(片ロッド、16MPaシリーズ、角カバー形、タイロッド締付式、内径250〜500mm)
- [2] ISO 4401:2005 Hydraulic fluid power - Four-port directional control valves - Mounting surfaces
- [3] JIS B 8377-1:2002 油圧・空気圧システム及び機器 シリンダの試験・検査 第1部: 空気圧シリンダ受渡検査
- [4] JIS B 8377-2 油圧・空気圧システム及び機器 シリンダの試験・検査 第2部: 油圧シリンダ受渡検査(2002年版本文、2024年改正)
- [5] JIS H 8615:2006 工業用クロムめっき(用途別膜厚と硬さ)
- [6] ISO 4406清浄度コード表記の仕組み(インテクノス・ジャパン技術情報)
- [7] 高圧ガス保安法における空気圧縮機・圧縮空気設備の適用基準(日立産機システム法規解説)
- [8] 一般社団法人日本フルードパワー工業会(JFPA)公式サイト概要
- [9] JFPA: 2025年・年度の油圧・空気圧機器需要見通し(kikai-news.net報道)
- [10] 第13次業種別審査事典 5005 油空圧機器製造業(きんざい)
- [11] 帝国データバンク: 全国「後継者不在率」動向調査(2024年)
内部事例
- [16] 加工事例: SCM440油圧シリンダーのBTA深穴加工
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