逆止弁部品の加工を発注するとき、水素設備向けと電池設備向けで何を確認すべきか?
まず、流体が水素ガスか冷却液かを分けて確認します。水素側は材料のニッケル含有量と繰り返し圧力下の疲労が効き[2]、冷却液側は弁座のシール面粗さと許容漏れ量が効きます[6]。逆止弁は逆流時に自力で閉じる部品なので、急閉鎖の条件も先に決めます[6]。
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逆止弁部品の条件整理から相談する
流体の種類、想定サイズ、数量の見込みのメモがあれば十分です。図面や具体的なアイデアがなくてもOK!弁座のシール面と許容漏れ量が未確定のままでも、確認できるところから回答します。
まず確認すること
公開している加工事例のうち、エネルギー産業のバルブに最も近いのは、インコネル625の高温高圧バルブです。外形φ60×L150mmの素材にφ8の深穴を150mm、公差±0.05mm、面粗度Ra3.2で加工しています[3]。逆止弁のボディと弁座では、条件を決めるのは深穴の長さではなく、弁座のシール面と弁体の嵌合、そして許容漏れ量の表現方法です[6]。
納期が遅れやすいポイント
- 図面に「逆止弁ボディ」とだけ書いてあり、材料グレードと許容漏れ量が決まっていない[6]
- 水素配管用として国内規格を引きたいが、青銅弁のJIS B 2011が可燃性ガスを適用除外にしていることを社内で説明しづらい[1]
- 冷却液に触れる弁座のシール面を、どの面粗度まで指定すればよいか比較材料がない[6]
- 水素向けにステンレスのニッケル含有量まで指定すべきかどうか判断できない[2]
- 少量の弁体と弁座を、材料手配から検査まで通しで受けてくれる先が見つからない[7]
Q. 水素供給系統に使う逆止弁部品では、普通のバルブ部品と何が変わるのか?
A. 材料の選び方が、引張延性の話から繰り返し圧力下の疲労の話へ移ります。弁座のシール面より先に、材料規格の中身を決めてください[2]。 水素分子は金属表面で解離し、原子状の水素が亀裂先端や結晶粒界、介在物のような応力の集中する場所にたまります。そこで再び水素分子へ戻ることが、水素脆化の機構として説明されています[2]。逆止弁は逆流時に弁体が弁座へ戻って閉じる部品なので、開閉と圧力変動が繰り返し入り、弁体と弁座がこの繰り返しを直接受けます[6]。 材料の指定も、SUS316と書くだけでは足りない場合があります。オーステナイト系はニッケル含有量10%から30%の範囲で水素脆化に抵抗を示すとされ、316についてはASTM最低の10%ではなく12%以上を狙う指定が紹介されています[2]。フェライト系や二相系より、適度な強度と高い延性を併せ持つオーステナイト系のほうが水素用途に向く、という整理です[2]。 国内規格を適合根拠として引く場合、JIS B 2011はリフト逆止め弁とスイング逆止め弁を種類として規定していますが、適用範囲は青銅弁であり、可燃性ガスと毒性ガスに使うバルブを除いています[1]。水素は可燃性ガスなので、この規格を水素配管用逆止弁の適合根拠にはできません[1]。液体水素が関わる温度域では、常温での水素脆化とは別に低温側の脆化も出るとされており、材料の検討範囲がさらに広がります[2]。
Q. 電池冷却系統向けでは、図面のどこを数値で決めておけばよいか?
A. 弁座のシール面粗さ、ボアの公差、許容漏れ量、検査方法の4つです[6]。 公開しているバルブ部品の管理値は、ボアH6、シート面Ra0.4以下にラッピング仕上げ、面圧20MPa以上、ヘリウムリーク10⁻⁹Pa·m³/s、API 598静水圧試験合格です[6]。ただし逆止弁は弁棒を持たない構造が多いため、このうちステム振れ0.005mmの項目はそのまま当てはめられません[6]。 シール面の打痕が一つ入るだけで漏れ等級がANSI VIからIVへ落ちると整理しており、急閉鎖時のウォーターハンマーが内部部品へ衝撃疲労を蓄積させる機構も同じ場所に書いています[6]。逆止弁は逆流で自力閉止する部品なので、この急閉鎖側の条件が図面から抜けやすくなります[6]。 水配管や空調配管の側であれば、JIS B 2011が参照できます。呼び圧力は5Kと10Kの2区分、耐圧試験は5Kで0.7MPa、10Kで1.4MPa、保持時間は呼び径50以下で60秒、呼び径65以上で30秒と規定され、弁体材料としてCAC406などの青銅鋳物や鉛フリー銅合金が挙げられています[1]。一方で、電池冷却に使うフッ素系不活性液のような非水系冷媒への化学的な適合性は、この規格には書かれていません[1]。 弁座をボディと一体で削るか別部品にするかも、先に決めておくと回答が早くなります。造船向けの制御バルブでは、鋳造品から鍛造ブロックの5軸削り出しへ切り替えて流路と弁座を一体加工し、シール面をRa0.35まで仕上げ、ASTM G48 Method Eの24時間孔食試験で発生なしを確認しています[5]。この事例の業界は造船です[5]。
Q. 深江特殊鋼に相談いただくとき、最初に確認させていただく条件は何か?
A. 流体、材料グレード、弁座のシール面の要求、数量の4つです。この4つが決まれば、対応可否と見積を回答します[7]。 エネルギー産業向けのバルブ部品としては、インコネル625の高温高圧バルブに旋盤外形加工とガンドリルによるφ8×150mmの深穴加工を行い、公差±0.05mm、面粗度Ra3.2で5個を20営業日で納めた事例を公開しています[3]。ガス流路の清浄度が要る案件では、SUS316Lの高純度ガスバルブボディを5軸で一発加工し、電解研磨後Ra0.08、0.1μm以上のパーティクル検査ゼロで50個を納めた事例があります[4]。後者は半導体向けの実例です[4]。 逆止弁固有の可否は、弁座形状、許容漏れ量、繰り返し開閉の回数が決まってから回答します[6]。 小径部品や特殊工程を含む案件も、深江特殊鋼が一括で対応します。エネルギー分野の対応部品にはバルブが含まれ、対応材料としてインコネル、チタン、SUS304、SUS630、SCM、SNCM系を挙げています[7]。小径の弁体やばね座のような小物も、スイス型自動旋盤による加工を含めて見積もることがあります[7]。
図面で見ておきたい条件
- 水素ガスに触れる弁体と弁座では、材料選定の基準が引張延性から繰り返し圧力下の疲労側へ移ります。オーステナイト系ステンレスはニッケル含有量10%から30%の範囲で水素脆化に抵抗を示すとされ、SUS316相当でもASTM最低の10%ではなく12%以上を狙う指定が紹介されています[2]。図面に材料記号だけを書くと、この差は伝わりません。
- 弁座のシール面は、面粗度の数値と検査方法を同時に決めないと合否が定まりません。公開しているバルブ部品の管理値は、ボアH6、シート面Ra0.4以下にラッピング仕上げ、面圧20MPa以上、ヘリウムリーク10⁻⁹Pa·m³/s、API 598静水圧試験合格です[6]。
相談前に知っておきたいこと
- 逆止弁固有の可否は、弁座形状、許容漏れ量、繰り返し開閉の回数が決まってから回答します[6]。
- 水素供給設備と電池冷却系統向けの加工可否は、エネルギー産業向けの高温高圧バルブと半導体向けの高純度ガスバルブボディの実例[3][4]をもとに、材料と使用条件が決まってから回答します。
関連するものづくりトピックス
業界での実機事例(参考)

インコネル高温高圧バルブのガンドリル加工

SUS316L半導体用バルブの5軸精密加工

SUS904L造船バラスト水ポンプバルブの5軸マシニング加工
よくある質問
図面がまだ固まっていない段階でも相談できますか?+
社内でチェックバルブと呼んでいますが通じますか?+
水素用ならステンレスはどれでも同じですか?+
弁体と弁座を別々の会社へ出しています。まとめて依頼できますか?+
試作1個からでも受けてもらえますか?+
ヘリウムリーク試験まで含めて依頼できますか?+
電池冷却系統の冷却液の種類が社外秘でも相談できますか?+
材料はこちらで支給したほうがよいですか?+
納期の回答はどのくらいで出ますか?+
小径のばね座や弁体のような小物部品も受けてもらえますか?+
あわせて読みたい情報
参考事例・文献
内部事例
- [3] Meta-Navi: インコネル高温高圧バルブのガンドリル加工事例
- [4] Meta-Navi: SUS316L半導体用バルブの5軸精密加工事例
- [5] Meta-Navi: SUS904L造船バラスト水ポンプバルブの5軸マシニング加工事例
設備・会社情報
- [6] Meta-Navi: バルブ部品加工(ボディ、シート、ステム)
- [7] Meta-Navi: エネルギー・プラント業界向け加工
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