NAK80とは
読み: なっくはちじゅう
NAK80とは、大同特殊鋼が開発したプリハードン鋼の銘柄であり、成分の偏析を抑えた高純度な組織によって、金型鋼の中でも特に優れた鏡面仕上げ性を持つ材料である。
概要
NAK80はプリハードン鋼、すなわち鋼材メーカーの段階であらかじめ調質(HRC37〜43程度が目安)を行い、出荷後は熱処理を挟まずに機械加工できる金型鋼の一種である。
一般的なプリハードン鋼と大きく異なるのは組織の純度で、成分の偏析(かたより)を抑える製鋼技術により、研磨したときに極めて滑らかな鏡面が得られる。この鏡面性が最大の特徴であり、銘柄選定の主な理由になる。
一般的なプリハードン鋼との違い
通常のプリハードン鋼は、コストと加工性のバランスを重視して設計されており、研磨面の仕上がりは金型としては十分だが、光学部品のような高い透明度・面精度を要する用途には向かないことがある。
NAK80は組織の均一性が高いため、放電加工後の研磨でも均一に仕上がりやすく、鏡面(無方向性の光沢面)を安定して作りやすい。その分、材料コストは一般的なプリハードン鋼より高くなる傾向がある。
加工と鏡面研磨での注意点
調質済みで一定の硬度を持つため、生材より切削抵抗が大きく、超硬工具での加工が基本になる。放電加工を行う場合は、放電による表面の変質層(放電焼け)を研磨で確実に除去しないと、鏡面の均一性が損なわれる。
鏡面研磨は工程が多く手間がかかるため、要求される面粗さのレベル(用途に応じたRa指定)を事前に明確にしておくことが、工数と品質のバランスをとるうえで重要になる。
主な用途
透明樹脂(アクリル、ポリカーボネート等)を使う光学レンズやライトカバーの金型、家電・自動車の外観部品のように、表面の光沢や意匠性が製品品質に直結する金型のキャビティに使われる。
一般の機構部品用金型ではコストの面から使われないことも多く、鏡面性が本当に必要な部位に限定して採用するのが一般的である。
よくある誤解
✕ NAK80は他のプリハードン鋼と同じ性能で、名前が違うだけである。
○ プリハードン鋼という分類は共通だが、NAK80は組織の偏析を抑えた高純度設計により鏡面仕上げ性が特に優れている点が銘柄選定の理由になる。単なる呼び名の違いではない。
✕ NAK80を使えば、放電加工しても自動的に鏡面になる。
○ 放電加工では表面に変質層ができるため、鏡面を得るには変質層を確実に除去する研磨工程が必要になる。NAK80は研磨での仕上がりが均一になりやすい材料であって、研磨工程を省けるわけではない。
✕ 鏡面金型が必要なら、常にNAK80を選べばよい。
○ 材料コストが一般的なプリハードン鋼より高いため、鏡面性が本当に必要な部位に限定して採用するのが費用対効果の面で妥当である。すべての金型部品に使う必要はない。
よくある質問
NAK80はどんな金型に使われますか。+
NAK80は一般のプリハードン鋼より高価ですか。+
放電加工後にそのまま使えますか。+
関連用語
出典
- 一般的な鏡面用プリハードン鋼の特性に関する工学的知見
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