ISO9001とは
読み: あいえすおーきゅうせんいち
ISO9001とは、組織が顧客要求と法令・規制要求を満たす製品・サービスを継続的に提供する能力を証明するための、品質マネジメントシステム(QMS)に関する国際規格である。国際標準化機構(ISO)が発行し、製造業では取引先選定の際の基礎的な信頼性指標としてしばしば要求される。
概要
製品の品質は、個々の検査だけでなく、それを生み出す組織の仕組み(工程管理、記録の残し方、是正処置の運用など)によって支えられている。ISO9001は、この品質マネジメントシステムが満たすべき要求事項を定めた国際規格で、第三者の認証機関による審査を経て認証を取得する。
発注側の実務では「ISO9001認証の有無」が取引先調査票の定番項目になっているが、認証書に書かれているのは組織と適用範囲だけである。読み方を間違えると、確認したつもりで何も確認できていない状態になる。
認証書のどこを読むか
認証書には、認証範囲(scope)として対象事業所と対象業務が明記されている。ここが実務上いちばん重要な情報で、例えば「本社工場における金属切削加工」が範囲なら、別工場や外注先での加工は認証の対象外である。
確認すべきは3点に絞られる。第一に適用範囲が発注しようとする加工と事業所に一致しているか。第二に有効期限(認証は3年ごとの更新審査と毎年のサーベイランス審査で維持される)。第三に認証機関が認定機関(日本ならJAB等)の認定を受けているかである。
認証が保証すること・しないこと
ISO9001が審査するのは、顧客要求の明確化、工程の計画と管理、不適合品の管理、是正処置、内部監査といった仕組みの運用である。個別の製品仕様(公差や材質)を規定する規格ではないため、認証があってもφ100の深穴をH7で加工できるかどうかは分からない。
逆に言えば、認証が担保するのは「要求を文書で受け取り、記録を残し、不適合が出たら是正が回る」という取引の土台である。加工精度そのものは、設備一覧・検査成績書のサンプル・測定器の校正記録といった別の証拠で確認する。この組み合わせで見るのが取引先調査の定石である。
AS9100・JIS Q 9100との関係
航空宇宙分野では、ISO9001の全要求事項に業界固有の要求(トレーサビリティの強化、リスクマネジメント、構成管理など)を追加したAS9100(日本語版はJIS Q 9100)が使われる。両者は包含関係にあり、AS9100認証を持つ組織はISO9001の要求事項も満たしている。
深穴加工の発注では、一般産業機械ならISO9001で足り、航空・防衛案件ではJIS Q 9100保有先が求められることが多い。素材のミルシートから加工記録までのトレーサビリティ要求が段違いに重くなるためである。
よくある誤解
✕ ISO9001認証があれば製品の精度や品質は保証される。
○ ISO9001は品質を生み出す組織の管理体制を対象にした規格であり、個々の製品の精度や公差そのものを保証するものではない。要求精度は図面や仕様書で別途確認する必要がある。
✕ ISO9001は製造業だけの規格である。
○ ISO9001は業種を問わず適用できる汎用的な品質マネジメントシステム規格であり、サービス業や公共機関でも取得例がある。
よくある質問
ISO9001認証を持つ加工会社なら精度は安心できますか。+
認証書を受け取ったら何を確認すべきですか。+
ISO9001とAS9100・JIS Q 9100はどう違いますか。+
ISO9001未取得の会社には発注できませんか。+
関連用語
- AS9100
- JIS Q 9100
- 検査成績書
- トレーサビリティ
- ミルシート
- 初品検査
出典
- ISO 9001(品質マネジメントシステム-要求事項)
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