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金属部品調達のチャイナリスクに、どこから備えるべきか?

チャイナリスクを一つの塊で評価せず、費用、材料規格と検査書類、供給の途絶に分けて確認します。関税率は発注者側で動かせませんが、図面の公差指示と検査証明書の等級は自社で決められます。[1][3]

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図面や具体的なアイデアがなくてもOK!現在の調達先へ出している図面、直近の受入検査記録、月産数量のうち手元にあるものだけで確認を始められます。とりあえず相談してみることで、費用、材料規格と検査書類、供給の構成のどこから手を付けるかを整理できます。

とりあえず相談してみる元 topic: /topics/917

まず確認すること

中国調達の書類で最初に効くのは、ミルシートが届くかどうかではありません。ミルシートは発行元の工場自身が作成する書類であり、それ単独では第三者による検証になりません。[6] EN10204の四つの等級のうち、第三者の署名を伴うのはType 3.2だけです。しかもType 3.2を発行できるのは製造者自身に限られ、商社や卸は既に発行された書類の写しを渡すことしかできません。[1] 調達経路を商社に付け替えても、書類の検証強度は自動では上がりません。だからこそ、供給元を追加するときは証明書の等級と発行者を先に発注条件として決める必要があります。[1][6]

材料規格: 現在の中国側サプライヤーが使っている材料規格(GB/T番号)と、社内図面のJIS指定の対応関係[6]
検査書類: 要求する検査証明書の等級(EN10204のType 2.1、2.2、3.1、3.2)と、試験に立ち会って署名する第三者の有無[1]
公差: 図面に個別指示のない寸法へ適用する普通公差の等級(JIS B 0405の精級f、中級m、粗級c、極粗級v)[2]
寸法と数量: 外形寸法(φまたは縦横高さ、単位mm)、加工長、月産数量、現在の最小発注数量[4]
費用の内訳: 単価、物流と関税、受入検査、不良対応、安全在庫、特急対応の年間実額[3]
供給の構成: 一次サプライヤーだけでなく、材料の入手経路と熱処理の外注先、受入検査を誰が行うか[5]

納期が遅れやすいポイント

  • 関税や輸出管理の変更が報じられるたびに、自社の部品がいくら影響を受けるか集計できていない[3]
  • 単価は安いが、物流、受入検査、不良対応まで足した年間の実額を出したことがない[3]
  • 同じ図面で発注しているのに、供給元を変えると仕上がりの公差が変わる[2]
  • ミルシートは届くが、その数値を誰が検証したのかを確認する手順が社内にない[1][6]
  • 供給が止まったとき、材料の入手経路まで含めて代わりに出せる加工先の当てがない[5]

Q. チャイナリスクは、関税、材料規格と検査書類、供給の途絶のどれから確認すべきか?

A. 自社で数字にできる費用の集計から始めます。関税率や輸出管理の変更は制度側で決まりますが、受入検査と不良対応の実費、材料の入手経路は今日集計できます。[3] 海外調達の総費用は、単価のほかに材料の物流と関税、受入検査、不良対応、安全在庫、特急対応という区分に分かれます。社内の調達コスト試算では、年間10万個、単価差25円で250万円を節約したのに対し、物流と関税120万円、受入検査60万円、不良対応90万円、安全在庫30万円、特急対応40万円の合計340万円がかかり、年間90万円の増加に逆転しました。[3] この区分ができていれば、関税率が上がったときに何円増えるかは単価表を差し替えるだけで出ます。 費用の次に効くのは材料規格です。中国のGB/T規格と日本のJISは、名称の近い材料でも規定値が違います。JIS G3101のSS400は降伏点235N/mm²以上、引張強さ400〜510N/mm²であるのに対し、GB/T700のQ235Bは板厚16〜40mmで降伏点225N/mm²以上、引張強さ370〜500N/mm²です。[6] 同じ一般構造用鋼として発注していると、この差は受入検査ではじめて表に出ます。 供給の途絶は、三つのうちで最も洗い出しに手間がかかります。調達先を二社に分けても、その二社が同じ材料商社や同じ熱処理業者を使っていれば、上流の一点で同時に止まるからです。[5] 依存度の洗い出しは、一次サプライヤーの社名ではなく、材料の入手経路、熱処理の外注先、検査を誰が行うかまで下りて初めて意味を持ちます。[5]

Q. 中国調達を続けるか国内へ切り替えるかは、材料と公差と月産数量のどこで決まるのか?

A. 部品ごとに、どのリスクが致命的かで決まります。材料規格と公差等級、月産数量が決まらないうちは、価格差だけで判断が付きません。[4] 海外調達から国内へ戻した社内の6件を並べると、動機は一つではありませんでした。φ12×L28mmのSUM24L部品は供給網の逼迫、φ42×t7mmのSUS440C部品は品質と最小発注数量の過大、φ380×L5,600mmのSNCM815シャフトは納期、φ80×W18mmのSUJ2部品はコストと不良率、180×140×120mmのSUS630 H900部品は規制対応が動機でした。[4] 切替後、最小発注数量は500個から50個へ、SNCM815シャフトの納期は5か月から2か月へ変わっています。[4] 切替後の実測値も出ています。EVバッテリの温度センサハウジング(SUM24L、φ12×L28mm、公差±0.008mm)は、国内切替後に工程能力Cpk1.82、不良率0.08%、月産41,000個を24か月連続で維持しました。[7] 産業ロボットの関節に使う精密ベアリング内輪(SUJ2、φ80×W18mm、真円度0.0012mm)では、海外外注比で単価15%の削減とppm単位の不良率になりました。[8] この2件は「海外調達」「海外外注」として記録されています。[6][7] 材料と公差が近い案件かどうかを見たうえで、海外調達全般からの切替パターンとして参照してください。 逆に、国内へ戻さないほうが現実的な部品もあります。数メートルを超える長尺や大物、金属粉末射出成形の部品は、要求される公差を満たせる国内サプライヤーの選択肢が少なく、材料の投入量も多いため、海外調達を維持したほうが合う場合があります。[4][5]

Q. 調達先を追加するとき、図面の公差指示と検査証明書の等級に何を書き足せばよいか?

A. 普通公差の等級と、検査証明書の等級を書き足します。この二つは、暗黙の前提を文字にできる数少ない項目です。[1][2] 同じ図面でも供給元が変わると仕上がりが変わるのは、個別指示のない寸法をどこまで詰めるかが工場ごとの慣習に委ねられているからです。JIS B 0405は、金属の除去加工または板金成形で作る部品について、個別指示のない長さ寸法と角度寸法に精級f、中級m、粗級c、極粗級vの4等級の許容差を定めています。[2] 30〜120mmの寸法区分では、精級±0.15mm、中級±0.3mm、粗級±0.8mm、極粗級±1.5mmです。[2] 寸法が大きくなるほど等級の差は開きます。400〜1000mmの区分では、精級±0.3mmに対して極粗級は±4mmです。[2] 大物部品ほど、図面に等級を書かないまま供給元を追加したときの振れ幅が大きくなります。面取り部分の許容差は通常の長さ寸法とは別の表で規定されているため、図面レビューで見落としやすい項目です。[2] 書類側はEN10204の等級で指定します。Type 2.1は製造者が発行する文書のみ、Type 2.2は製造者の定常試験結果を添付、Type 3.1は製造部門から独立した検査員がそのロットの試験結果を証明し、Type 3.2は製造者と第三者が連名で署名します。[1] Type 3.2で立ち会う項目は、試験片の採取、機械試験、外観検査、表示の確認、寸法検査、非破壊検査、耐圧試験です。[1] すべての部品にType 3.2を求める必要はありません。圧力設備やエネルギー設備のように安全性の要求が高い部品に絞り、それ以外はType 3.1以下で運用する分け方ができます。[1] 証明書に記載できるのは発注者が指定した要求事項に対する適合であり、供給元の品質管理の成熟度を保証するものではないため、材料規格と公差の指定を先に固めておく必要があります。[1][2] 国内側の受け皿も同じ粒度で決めておきます。深江特殊鋼の加工協力先では、出荷前検査を寸法、幾何公差、粗さ、硬さ、非破壊検査、溶接検査の6区分で行い、ミルシートと熱処理証明書を電子発行しています。[6] 受け取る書類の形が国内側で決まっていれば、中国側から届く書類と同じ検査区分で比較できます。 当社のターゲット調達は、国内の認定加工パートナー150社超から要件に合う候補を3〜5社に絞り、同時見積りと比較レポートを出し、検査証明書を付けて納品する5段階の流れです。[9] ただし対象は国内サプライヤーであり、海外調達そのものは別枠の相談になります。材料手配を含むか支給材かで見積りの出し方が変わるため、中国側の既存取引を残したまま国内の第二調達先だけ立てる、という使い方が現実的です。[9]

図面で見ておきたい条件

  • この2件の切替実例は「海外調達」「海外外注」として記録されています。工程能力と不良率の実測値は、材料と公差が近い案件かどうかを見たうえで、海外調達全般からの切替パターンとして参照してください。[7][8]
  • GB/T規格とJISの成分と機械的性質の差として確認できているのは炭素鋼(SS400系、板厚16〜40mm)とSUS系までであり、アルミ、銅、チタンなどの非鉄材料には別途の検査確認が必要です。[6]
  • EN10204の検査証明書が適用されるのは鋼板、棒鋼、鍛造品、鋳造品、管、線材、溶接棒であり、配管ユニットや圧力容器のような組立品には適用されません。組立品を調達している場合は、別の検証手段を決める必要があります。[1]

相談前に知っておきたいこと

  • 深江特殊鋼自身も中国、韓国、台湾の協力工場を通じた海外調達を仲介しており、中国調達を一律に避けるべきという立場は取りません。部品ごとに費用、書類、供給の三点を数字にしたうえで、現状維持、部分切替、全量切替のどれを取るかの材料を出します。[6][9]
  • 関税率の適用区分や輸出管理の該当判定そのものは、当社では判定できません。通関実務の担当者に確認していただく範囲であり、当社が扱えるのは材料規格、公差、検査の設計と、加工先の手配までです。[3][9]
  • 切替後の単価と納期の絶対値は、材料規格、寸法、公差等級、月産数量が決まってから算出します。図面と直近の受入検査記録がそろえば、対応可否と見積りを回答します。[4][9]

関連するものづくりトピックス

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よくある質問

図面や見積書がそろっていない段階でも相談できますか?+
できます。現在の調達先へ出している図面、直近の受入検査記録、月産数量のうち、手元にあるものだけで確認を始められます。図面や具体的なアイデアがなくても構いません。現在の材料規格(GB/T番号)とJIS指定の対応関係や、要求する検査証明書の等級がまだ決まっていない場合は、確定済みの条件と分けて書き出したうえで、見積りの前提として明示します。
中国の調達先をすべて切り替える前提でないと相談できませんか?+
いいえ。当社も中国、韓国、台湾の協力工場を通じた海外調達を仲介しており、中国調達を一律に避ける前提は取っていません。第二調達先だけ国内に立てる、精度要求の厳しい工程だけ戻す、といった部分的な相談で構いません。
関税率が自社の部品にいくら効くかを計算してもらえますか?+
関税率の適用区分や輸出管理の該当判定そのものは、通関実務の担当者に確認していただく範囲です。当社が出せるのは、国内で作った場合の材料費と加工費、受入検査の手間の見積りです。この二つを並べれば、関税が何円動いたときに国内側が有利になるかは自社で計算できます。
検査証明書はどの等級を要求すればよいですか?+
部品の用途と、受入検査をどこまで自社で行うかの条件で決めます。圧力設備やエネルギー設備のように安全性の要求が高い部品では第三者が署名するType 3.2、それ以外はType 3.1以下で運用する分け方があります。ただしType 3.2を発行できるのは製造者自身に限られ、商社経由では既に発行された書類の写ししか受け取れません。
現在の中国側サプライヤーへ、図面に公差等級を追記して伝えるだけでも効果はありますか?+
あります。個別指示のない寸法の許容差は、等級を書かなければ相手の慣習で決まります。JIS B 0405の等級を図面に追記すれば、供給元を変えなくても、どこまで詰めるかの前提を文字で共有できます。追記後の初回ロットで受入検査の結果がどう変わるかを見てください。
候補先の絞り込みと見積りには、どのくらいの日数で回答が出ますか?+
要件が固まっていれば、候補の絞り込みに1〜2営業日、複数候補への同時見積りと比較に3〜5営業日が目安です。材料手配を含むか支給材かで、納期の回答も変わります。
小ロットや試作でも相談できますか?+
できます。国内の加工パートナー網は、試作1個から量産10,000個/月までのロット範囲を対象にしています。海外調達で最小発注数量が合わず在庫を抱えている部品は、国内側の見積りと比べる価値があります。
海外調達そのものの代行は頼めますか?+
現在の調達代行サービスは国内サプライヤーネットワークが対象で、海外調達は別途のご相談として受け付けています。中国側の既存取引を残したまま国内の第二調達先を立てる形であれば、そのまま進められます。
自社で加工していない材質や分野でも受けてもらえますか?+
受けます。対応可否と見積りは、材質と要求精度が決まってから回答します。深穴加工や大型プレートの6面加工を含め、対応できる材質や精度、ロットや納期の範囲は、国内認定パートナー150社超のネットワークにより広くカバーしています。
既存の調達先の名前を出さずに相談できますか?+
できます。必要なのは図面、材料規格、現在の公差指示、直近の不具合の内容と数量であり、取引先名は不要です。比較のために現状の単価をうかがうことはありますが、伏せたままでも進められます。
部品点数が多く、どれから手を付ければよいか分かりません。+
供給が止まったときに製品全体が出荷できなくなる部品から見ます。単価の高い部品ではなく、代替が効かない部品です。図面が多い場合は、月産数量と在庫日数の一覧だけでも優先順位を絞り込めます。

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