マシニングセンタとは
読み: ましにんぐせんた
マシニングセンタとは、フライス加工を主体に穴あけ・タップ加工など複数の工程を、自動工具交換(ATC)により一台で連続してこなせるNC工作機械である。段取り替えの回数を減らせるため、多面加工や複雑形状の部品加工に向く。
概要
マシニングセンタは、工具マガジンに複数の工具をあらかじめセットしておき、加工の進行に合わせて自動で工具を交換しながら加工を続けるNC工作機械である。フライス加工、穴あけ、タップ加工、中ぐりなど、それまで別の機械や手作業で分けていた工程を一台に集約できる。
工具ごとに機械を止めて手動で交換する必要がないため、加工中の待ち時間が減り、複数工程間の位置関係(穴の位置度など)も同じ座標系で管理しやすくなる。
自動工具交換(ATC)の仕組み
マシニングセンタの中核となるのが、工具マガジンとATC(Automatic Tool Changer)である。プログラムで指定された工具番号に従い、主軸とマガジンの間で工具を自動的に入れ替える。工具の本数は機種によって数本から100本を超えるものまで幅がある。
ATCが交換するのはあくまで工具であり、ワークの着脱や治具の交換は別途発生する。段取り替えが完全に不要になるわけではない点は、実務上よく誤解される部分である。
立形・横形・門型の位置づけ
マシニングセンタは主軸の向きやテーブルの構造によって、立形(主軸が垂直)、横形(主軸が水平)、門型(2本のコラムでクロスレールを支える大型構造)などに分類される。それぞれ得意なワークサイズや加工姿勢が異なり、部品の形状・重量に応じて使い分けられる。各方式の詳しい特徴は、横型マシニングセンタや門型マシニングセンタの項目で扱う。
旋盤加工との使い分け
マシニングセンタは工具側が回転し、旋盤は素材側が回転する。この違いから、回転対称な外径・内径面の加工は旋盤の方が効率的で、平面・溝・非対称な穴配置はマシニングセンタが向く。
実際のシャフト部品などでは、外形と内径の主要部を旋盤で仕上げ、素材端面のねじ穴や横穴だけをマシニングセンタで追加加工するという役割分担がよく行われる。
深穴加工との境界
「マシニングセンタがあれば深穴もあけられるのではないか」という質問はよくある。ツイストドリルを使えば穴径の30倍程度の深さまでは加工できるが、それを超えるL/D(穴径に対する深さの比)では、切りくず排出を優先すると工具剛性が落ち、逆に剛性を優先すると排出性が落ちるという二律背反が起きる。
このためL/Dが大きい深穴では、専用の切削油流路を持つガンドリル加工やBTA加工に工法を切り替えるのが実務上の標準である。マシニングセンタは、その前後の平面加工や横穴・タップ加工を担うことが多い。
よくある誤解
✕ マシニングセンタなら深穴もあけられる。
○ ツイストドリルの実用限界は穴径の30倍程度である。それを超えるL/Dの深穴では切りくず排出と工具剛性が両立せず、ガンドリル加工やBTA加工などの専用工法が必要になる。
✕ マシニングセンタは形状を選ばず何でも効率よく加工できる。
○ 回転対称な外径・端面の加工効率は旋盤の方が高い。マシニングセンタが強いのは平面・溝・非対称な穴配置の加工であり、部品の形状によって工法を使い分けるのが実務である。
✕ ATCがあれば段取り替えは発生しない。
○ ATCが自動で交換するのは工具であり、ワークの着脱や治具の交換は別途人の作業として発生する。段取り替えの回数が減るのはあくまで工具交換の部分に限られる。
よくある質問
マシニングセンタとNC旋盤はどちらを選べばよいですか。+
マシニングセンタで深穴もまとめて依頼できますか。+
マシニングセンタでの加工で公差はどこまで指定できますか。+
関連用語
出典
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