ドリルブッシュとは
読み: どりるぶっしゅ
ドリルブッシュとは、ドリルの刃先を穴の中心軸に沿って正確に導き、加工開始時に工具が横滑りするのを防ぐ筒状の案内部品である。
概要
ドリルで穴をあける際、刃先が最初にワーク表面へ食い込む瞬間は工具が最も逃げやすい。表面が完全な平面でなかったり、複数の穴を近接してあける場合は、刃先がわずかに横へ滑ってから食い込み、狙った位置からずれた穴になることがある。
ドリルブッシュは、この逃げを防ぐために工具の外周をあらかじめ拘束しておく筒状の部品である。ジグ加工の分野ではジグ用ブシュとして規格化されており、穴あけ用ジグに取り付けて多数の穴を同じ位置精度で繰り返しあける用途で広く使われている。深穴加工の分野でも、ガンドリルマシンに組み込まれた同種の案内機構が、工具の位置決めと直進性の維持を担っている。
構造と材質
ドリルブッシュは、ドリル径よりわずかに大きい内径の穴があいた筒状部品で、外周をジグ本体やマシン側の保持部に固定して使う。内径がドリルの外径に対して大きすぎると案内としての効果が弱まり、小さすぎるとドリルとの摩擦で発熱・焼き付きの原因になるため、内径の公差管理が性能を左右する。
材質には耐摩耗性の高い工具鋼や超硬合金が使われることが多く、繰り返し加工による内径の摩耗を見込んで、消耗品として交換前提で設計されるのが一般的である。
深穴加工における役割
ガンドリル加工では、工具の外周を機械側の案内機構で拘束しながら加工を進めることで、穴の直進性を維持している。この案内機構がない状態で細長い工具を送り込むと、刃先のわずかな逃げが加工が進むにつれて拡大し、穴曲がりにつながりやすい。
BTA加工でも、BTAヘッドに付属するガイドパッドが穴の内壁を基準に工具自身を支える役割を果たしており、機構としてはドリルブッシュと同じ「工具を穴の中心軸に保つ」という目的を持つ。呼び方や具体的な構造は工法によって異なるが、深穴加工全般に共通する考え方である。
摩耗と交換の考え方
ドリルブッシュはドリルの外周と常に接触しながら使われるため、加工数が増えるほど内径が広がり、案内精度が徐々に低下する。内径の摩耗が進んだまま使い続けると、拘束力が弱まって工具の逃げが起きやすくなり、穴位置のばらつきが大きくなる。
このため、量産加工では加工数量や定期点検のタイミングで内径を実測し、摩耗が一定量を超えたら交換するという運用が必要になる。単品・試作加工では摩耗の影響が出る前に加工が終わることが多いが、同一のブッシュで長期間・多数の穴をあける場合は交換基準を持っておくことが望ましい。
よくある誤解
✕ ドリルブッシュの内径は、ドリル径と同じにするほど精度が上がる。
○ 内径が小さすぎるとドリルとの摩擦で発熱・焼き付きが起きやすくなる。案内としての拘束力と摩擦・発熱のバランスをとった適切なすきまが必要で、単純に隙間を詰めればよいわけではない。
✕ ドリルブッシュは摩耗しても穴あけ精度に大きな影響はない。
○ 内径が摩耗して広がると案内としての拘束力が弱まり、工具の逃げが起きやすくなって穴位置のばらつきが増える。加工数量に応じた内径の点検・交換が精度維持に直結する。
よくある質問
ドリルブッシュとガイドブッシュは同じものですか。+
ドリルブッシュを使わずに深穴加工はできますか。+
外注先にドリルブッシュの摩耗状態を確認してもらうことはできますか。+
関連用語
出典
- BTA・ガンドリル加工.com 技術コラム「ガンドリルマシンの特徴と構造について」(深江特殊鋼、ガイドブッシュの働きについて)
- JIS B 1301(ジグ用ブシュ)
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