深穴加工で切りくずが詰まる・排出できないとき、クーラントと工具のどこを確認すべきか?
結論から言うと、切りくず詰まりは送り条件による分断、工具溝形状による排出経路、クーラントの圧力・流量の3点をまず分けて確認します。[1] ガンドリルとBTAでは切りくずの排出方向が逆なので、見るべき圧力の目安値も工法ごとに変わります。[3][4]
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まず確認すること
最初に確認すべきなのは、「クーラント圧力を上げれば詰まりは解消する」という一般論ではありません。公開事例では、SUS630造船用パイプ(φ80×2,500mm)のBTA深穴加工で切りくず詰まりが頻発していましたが、圧力を単純に上げるのではなく、刃先形状とクーラントの種類を材質に合わせて見直すことで詰まりなく完成し、内面粗度Ra1.6を達成しています。[5] ガンドリルとBTAは切りくずの排出方向がそもそも逆です。[1] 材質別のクーラント圧力目安値もガンドリルの方が全般に高くなります。[3][4] 送り条件で分断できているか、工具溝が排出経路になっているか、クーラントが工法と材質に合っているか、この3点を組み合わせで確認する必要があります。[1][2]
納期が遅れやすいポイント
- 深穴加工の途中で切りくずが詰まり、主軸が停止したり工具が折損したりする
- クーラント圧力を上げても切りくずが安定して出てこない
- ガンドリルとBTAで切りくずの排出方向が違うことを知らず、工法選定を誤る
- 外注先の見積時に、材質を伝えるだけで切りくず条件まで確認していない[2]
- 切りくずが長くつながる粘り気のある材質で、条件出しに時間がかかる[1]
Q. なぜ深穴加工では切りくずが詰まりやすくなるのか?
A. 穴が深くなるほど切りくずの移動距離が長くなります。送り条件で分断できているか、工具溝が排出経路として機能しているか、クーラントが圧力・流量とも足りているか、このどれか一つでも不足すると穴の途中で滞留するからです。[1][2] 穴あけ加工では削り取った材料が切りくずとして発生します。浅い穴なら自然に排出されやすいですが、穴が深くなるほど切りくずが穴底や工具の溝に滞留しやすくなり、滞留した切りくずは工具の溝を詰まらせて切削抵抗の増大、工具の摩耗・欠損、加工精度の悪化を招きます。[1] 排出性を左右する要因は主に3つです。第一に、切りくずが分断されるよう送り速度・送り量を調整すること。分断されずにつながった切りくずは工具の溝内で絡まりやすく、排出の妨げになります。第二に、溝長の長いロングドリルの採用や工具溝形状のカスタマイズにより、切りくずが流れ出やすい経路を確保すること。第三に、切削液(水性・油性)をワーク材質に応じて選定し供給することです。[1] ガンドリル加工とBTA加工では、この排出経路が逆向きです。ガンドリルは工具先端から切削液を吐出し、切りくずを工具外周のV溝を通して手前(工具先端側)に排出します。BTAは逆に外側から切削液を送り、切りくずをボーリングバー内部から機外へ排出します。どちらの工法でも、切削液の圧力と流量が切りくずの排出性を直接左右します。[1][2]
Q. 送り条件、工具溝、クーラント、まず何を数値で確認すべきか?
A. 材質別のクーラント圧力目安値と、工具の刃数、切りくずの分断されやすさの3つです。[3][4] 深江特殊鋼のガンドリル・BTA設備では、材質ごとにクーラント圧力の目安値が異なります。ガンドリルはS45C 10MPa、SCM440 11MPa、SUS304 14MPa、アルミA5052 7MPa、インコネル718 16MPa、SKD61(焼入前)12MPaです。BTAは同じ材質でS45C 4.5MPa、SCM440 5.0MPa、SUS304 6.5MPa、SUS630 7.0MPa、インコネル718 8.5MPa、SKD11(焼入前)5.5MPaと、ガンドリルより低い圧力になります。[3][4] これは、ガンドリルが工具先端の狭い経路から供給する構造であるのに対し、BTAは外側から大きな断面積で供給できる構造の違いによるものです。[1][2] 別の技術資料では、高圧クーラントを工具先端から供給するガンドリル加工全般で40〜120bar(約4〜12MPa)の圧力レンジが示されており、上記の深江特殊鋼の材質別目安値もこのレンジに収まります。同資料はクーラント温度を±1℃程度で管理すると熱膨張による寸法変動を抑えられるとも述べています。[6] 工具の刃数も条件に影響します。2枚刃ガンドリルは送り速度を1枚刃より最大80%程度上げられますが、その分クーラント圧力もおおむね20〜30%高く必要になります。段付き形状のステップドリルでは、切りくずを自然に巻いて分断する内角形状がないため、別途チップブレーカが必要になる場合があります。[7]
Q. 外注先には切りくず処理とクーラントについて何を確認すべきか?
A. 圧力の数値だけでなく、材質ごとの排出実績、詰まりが起きたときの対処方法、内面粗度の達成値まで確認してください。[5] 外注先に「高圧クーラントは使っていますか」と聞くと、多くの場合はできますという返答になります。確認すべきなのは、近い材質・穴径で切りくず詰まりが起きた実例があるか、起きたときに圧力を上げる以外にどういう対処をしたかです。[5] 公開事例では、SUS630造船用パイプ(φ80×2,500mm)のBTA深穴加工で切りくず詰まりが頻発していましたが、単に圧力を上げるのではなく、刃先形状とクーラントの種類を材質に合わせて最適化することで詰まりなく完成させ、内面粗度Ra1.6、寸法公差H8を達成しています。[5] このように、詰まりの解消は圧力の一点張りではなく、工具形状とクーラント種類の組み合わせで決まることが多いです。 あわせて、外部の技術資料が示す一般的な指標として、標準条件(L/D比100以下)での真直度φ0.1mm/m、面粗度Ra0.4〜1.6μm、寸法公差H7〜H8相当、見積回答は3営業日程度という数値があります。これらは1社の実務基準であり公的規格の数値ではありませんが、外注先の回答をこの水準と比較する目安には使えます。[6] BTA方式のうちシングルチューブ方式は切りくずを工具内部から後方へ排出するため、ダブルチューブ方式より深い穴に対応しやすいとされており、方式による排出効率の違いも工法選定時に確認する価値があります。[8]
図面で見ておきたい条件
- クーラント圧力・流量の目安値は、穴径が大きいか小さいか、穴の深さがどこまであるか、材質が粘って分断されにくいかによって変わり、一律の数値で決まるものではない。粘りが強く切りくずが分断されにくい材質ではより高い圧力が必要になる一方、切りくずが分断されやすい材質では過剰な圧力がかえって加工を乱すことがある。[2]
- 2枚刃ガンドリルは1枚刃より送り速度を最大80%程度上げられる分、クーラント圧力もおおむね20〜30%高く必要になる。[7]
相談前に知っておきたいこと
- 自社事例(SUS630造船用パイプ)はBTA・φ80クラスの1件のデータであり、この事例の刃先形状・クーラント条件をそのまま全材質・全径のガンドリル案件に一般化できるわけではない。[5]
業界での実機事例(参考)

SUS630造船用パイプのBTA深穴加工
よくある質問
クーラント圧力の目安値がまだ分からなくても相談できますか?+
見積を依頼するとき、切りくず条件は何を伝えればよいですか?+
クーラント圧力を上げれば切りくず詰まりは解消しますか?+
ガンドリルとBTA、切りくず排出の観点でどちらを選ぶべきですか?+
海外規格の図面や単位表記でも相談できますか?+
短納期でも切りくず条件の確認から対応してもらえますか?+
試作1個からでも切りくず・クーラント条件を確認する相談はできますか?+
既存の外注先で切りくず詰まりが起きている案件も相談できますか?+
インコネルなどの難削材でも同じ考え方で確認できますか?+
面粗度や真直度など、切りくず処理以外の精度要求も一緒に相談できますか?+
あわせて読みたい情報
参考事例・文献
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