チタンボルトを外注するとき、既製品の調達と特注加工のどちらで進めるべきか?
呼び径とピッチが規格の範囲内で、要求が強度区分までなら既製品の調達が早いです。規格外のピッチや大径、特殊な頭部形状が入ると特注加工に移ります。まず材質グレード、ねじ仕様、数量、証明書の要否を分けて確認します。[1][4]
Meta-Navi bridge
Meta-Naviでチタンボルトの相談を続ける
図面や具体的なアイデアがなくてもOKです。呼び径、ピッチ、必要本数、材質グレードの候補など、決まっている条件から相談できます。
まず確認すること
チタンボルトで最初に分かれるのは、材質より先にねじ仕様です。おねじの量産では転造という塑性加工が使われることが多く、少量、大径、特殊形状では旋盤のねじ切り加工が現実的な選択になります。[4] 規格にないピッチや呼び径では、そのサイズの工具が市販されていないことが多く、数量が少なくても工法の側から特注に決まります。[4] 材質側では、純チタンとTi-6Al-4Vで引張強さが大きく違い、被削性の評価も変わります。[3] この二つが決まらないうちは、既製品で足りるのか特注に回すのかを判定できません。[1]
納期が遅れやすいポイント
- 必要な呼び径とピッチのチタンボルトが規格品として流通しておらず、手配先が見つからない[4]
- 純チタンとTi-6Al-4Vのどちらを指定すべきか、強度と加工性の差で決めきれない[1][3]
- 図面にねじの呼び径しか書いておらず、転造で作る部品か旋盤で削る部品かが決まらない[4]
- 必要数が数十本しかなく、量産を前提とした工法と単価の見方が当てはまらない[5]
- ミルシートや化学分析の試験方法を指定しないまま見積を取り、あとで条件が増える[2]
Q. 既製品で手に入る範囲と、特注加工になる範囲はどこで分かれるのか?
A. 呼び径とピッチが規格内かどうか、頭部形状が標準品にあるかどうかで分かれます。[4] おねじの量産では転造が使われることが多く、規格の呼び径とピッチであれば既製品として流通しています。[4] 規格にないピッチや呼び径になると、そのサイズの工具が市販されていないため、旋盤でねじ山を一から削るねじ切り加工に切り替わります。[4] 工具が手に入らないという理由で工法が決まるので、必要数が数本でも特注扱いになります。 強度の指定にも境界があります。ASTM F468の解説資料が対象とする径は1/4インチから1-1/2インチまでで、Titanium Grade 2は引張50〜85ksi、耐力45ksi、硬さ160〜180HV、Grade 5(Class A/B)は引張130〜165ksi、耐力125ksi、硬さ30〜39HRCと示されています。[2] 要求がこの範囲に収まるなら規格の呼称で指定でき、外れるなら受入検査の合格値から個別に決めることになります。[2] 材質グレードも工法を絞ります。チタンは化学的純度で純チタン1種から4種に分かれ、合金はα型、β型、α+β型に分かれ、α型は難加工材のため圧造による塑性加工には向かず熱間鍛造でねじが作られるとされています。[1] 強度を一段上げる判断は、そのまま供給できる工法を減らす判断になります。自社の材料データでも、Ti-6Al-4Vの被削性は「難」と評価し、発熱と凝着への注意を記載しています。[3]
Q. 材質は純チタンとTi-6Al-4Vのどちらを指定すべきか?
A. 締結部で必要な軸力が先に決まり、加工性と材料費はそのあとに付いてきます。[1][2] 自社の材料データでは、Ti-6Al-4V(64チタン)の引張強さは900〜1,100MPa、硬さはHRC30〜36、比強度は鋼の約2倍で、JIS H 4600に区分されます。[3] 被削性が「難」とされるのは、チタンの熱が切りくずと工具刃先に集中しやすく、刃先に材料が凝着して寸法が動くためです。[3] つまりグレードを上げると、工具の摩耗と寸法のばらつきが同時に増えます。 純チタンは耐食性、耐熱性、生体適合性に優れるとされ、Ti-6Al-4Vはα+β型合金の中で最も広く使われ、航空機、医療、産業分野のねじやボルトに使われるとされています。[1] 素地が露出しても薄いチタン酸化物の不働態皮膜がすぐに形成されるため、耐食性そのものは純チタンでも確保されます。[1] 強度が要らない箇所でTi-6Al-4Vを指定すると、被削性が「難」と評価される材料を削ることになり、材料費と加工時間の両方が上がります。[3] 逆に、必要な軸力が純チタンの引張強さの範囲を超えるなら、グレードは上げる側で決まります。ASTM F468の解説資料に示されたGrade 2とGrade 5の引張強さの差(50〜85ksiと130〜165ksi)は、どちらのグレードで見積を取るかを決める目安になります。[2] 検査で確認する項目まで含めて決めるなら、化学分析の試験方法としてASTM E120とE1409、証明書としてEN 10204 Type 3.1を指定できます。[2]
Q. 弊社に相談いただくとき、事前に確認させていただく条件は何か?
A. ねじ仕様、材質グレード、数量、証明書の四つです。[2][4] 図面に呼び径とピッチと規格が明記されていれば、転造で作れる規格品なのか、旋盤のねじ切り加工が要るのかをその場で分けられます。[4] 頭部形状と座面の公差、おねじの有効長が決まると、スイス型自動旋盤のレンジ(φ1〜32mm、寸法精度±0.005mm、面粗度Ra0.4〜3.2)に収まるかどうかを確認できます。この工程は協力企業ネットワークで対応しており、自社設備の一覧には含まれません。[5] ねじ状部品の量産では、SUS316L製の医療用骨ねじで、φ4×L45mmの部品を頭部の六角ソケットからおねじ、先端まで一度の段取りで加工した事例を公開しています。頭部公差は±0.02mm、ねじ部のリード精度は±0.015mm、月産12,400本です。[6] 材質はSUS316Lでチタンではないため、この事例の切削条件とサイクルタイムはチタンには当てはめられません。 チタン材のねじ加工では、CP-Ti Grade4の歯科インプラントで、φ5×L16mmの部品に内ねじ下穴φ1.6×L14mmを公差±0.01mmで加工し、タップ加工まで行った事例を公開しています。月産9,300本です。[7] これは雌ねじであり、おねじのボルトではありません。チタン製ボルトそのものの対応可否と費用は、材質グレードとねじ精度の要求が決まった段階で回答します。深江特殊鋼は1964年11月設立で、従業員120名、国内300社超の協力企業ネットワークにより、対応できる材質や精度、ロット、納期の範囲が広いのが強みです。[8]
図面で見ておきたい条件
- スイス型自動旋盤の対応径はφ1〜32mm、寸法精度±0.005mm、面粗度Ra0.4〜3.2で、この工程は協力企業ネットワークで対応しています。自社設備の一覧には含まれません。[5]
- ASTM F468の解説資料が対象とする径は1/4インチから1-1/2インチまでで、この範囲を外れる呼び径は規格の外側として個別に仕様を決めることになります。[2]
- チタン材は在庫を持たず受注都度の調達になるため、試作1本でも材料の手配日数が全体の納期を決めることがあります。[3]
相談前に知っておきたいこと
- チタン製のおねじボルトそのものの対応可否と費用は、材質グレードとねじ精度の要求が決まってから回答します。近い加工実績として、材質違いの骨ねじと、チタンの雌ねじ下穴加工があります。[6][7]
- 切削速度と工具寿命の目安は、材質グレード、熱処理状態、ねじ部の精度要求が決まってから算出します。[3]
関連するものづくりトピックス
業界での実機事例(参考)

SUS316L医療用骨ねじのスイス式旋盤加工

CP-Ti歯科インプラント用深穴ガンドリル加工
よくある質問
図面がまだ固まっていなくても相談できますか?+
必要数が10本程度でも見積を出してもらえますか?+
チタンの材料手配から依頼できますか?+
ミルシートや化学分析の試験成績書は付けられますか?+
規格にないピッチのねじでも加工できますか?+
六角穴付きなど、頭部形状の指定はどこまで通りますか?+
ステンレスボルトからチタンボルトへ置き換える検討段階でも相談できますか?+
陽極酸化などの表面処理まで一緒に頼めますか?+
納期はどのくらい見ておけばよいですか?+
他で断られた仕様でも見てもらえますか?+
あわせて読みたい情報
参考事例・文献
内部事例
- [6] 公開加工事例: SUS316L医療用骨ねじのスイス式旋盤加工
- [7] 公開加工事例: CP-Ti歯科インプラント用深穴ガンドリル加工
設備・会社情報
- [3] 深江特殊鋼 材料データ: チタン(非鉄金属クラスタ)
- [4] 深穴加工用語辞典: ねじ切り加工
- [5] 深江特殊鋼 工程データ: スイス型自動旋盤
- [8] 深江特殊鋼 会社概要
このページの情報は役に立ちましたか?