5軸加工機とは何か?何ができて、発注前に何を決めておく必要があるか
5軸加工機は直線3軸に回転2軸を足した工作機械で、傾斜面や自由曲面を1回の段取りで削れます。[1] まず分けるのは、角度を固定してから削る割出5軸で足りる形状か、切削中も5軸を動かす同時5軸が要る形状かです。ここが決まると、材質と要求公差の確認へ進めます。[1][6]
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5軸加工で進めるか迷っている段階なら、部品の外形寸法、材質、傾斜面や曲面がどこにあるか、現在いくつの段取りで作っているかをメモにして、Meta-Naviのお問い合わせから送ってください。図面や具体的なアイデアがなくてもOK!条件の整理から一緒に進められます。
まず確認すること
5軸加工機は、直線3軸(X、Y、Z)に回転2軸が加わったマシニングセンタです。[1] 回転2軸の使い方は2つに分かれます。角度を割り出して固定してから直線3軸で削る割出5軸と、切削中も5軸すべてを連動させる同時5軸です。[1] 多面加工の部品には前者、自由曲面の部品には後者が向くとされています。[1] この違いは見積の前に効きます。傾斜面に穴とねじが分散しているだけの部品なら割出5軸で足り、タービン翼のように曲面そのものが製品機能を持つ部品なら同時5軸の話になるためです。[1][6]
納期が遅れやすいポイント
- 3軸加工機での段取り替えが多く、面と面の位置関係が図面公差に収まらない[1]
- 傾斜面に穴とねじが分散した部品で、どこまで1回の段取りで削れるか判断できない[1]
- 同時5軸が必要な形状なのか、割出5軸で足りる形状なのかを切り分けられない[1]
- 5軸加工機を持つ会社を探しているが、機械の有無だけでは材質と公差の可否まで分からない[6]
- 深穴と複雑形状が1つの部品に同居していて、どちらの設備を持つ会社に頼めばよいか決まらない[5]
Q. 5軸加工機とは何か?3軸加工機と何が違いますか?
A. 直線3軸に回転2軸が加わった機械で、3軸なら何度も段取りを替えて削る多面を、1回の段取りで削れる点が違います。[1] 3軸加工機では、削る面が変わるたびにワークを外して置き直します。5軸加工機は回転2軸で主軸またはワークを傾けられるため、複数面を一度の取り付けで加工できます。[1] 段取り替えと搬送が減るぶん生産リードタイムが短くなり、段取り作業に必要な人手も減るとされています。[1] 精度が変わる理由は、時間とは別のところにあります。ワークを外して置き直すたびに、基準を取り直す誤差が新しく入ります。着脱の回数が少ないほど、この誤差が積み上がる回数が減り、複数回の段取りで生じる精度のバラツキを小さくできるとされています。[1] 面どうしの直角度や、離れた面にある穴の位置関係が図面で厳しい部品ほど、この差が出ます。 工具側にも違いが出ます。主軸やワークを傾けられると、深い側面へ刃を届かせるために工具を長く突き出す必要が減ります。突き出しが短いほど工具のたわみが小さくなり、面品位が安定するとされています。[1] この差は、公開している加工事例2件の数値に出ています。Ti-6Al-4Vの航空機エンジン用アクセサリーハウジング(φ250×L180)では、段取り替えを5回から1回に減らし、全寸法公差±0.02mm以内、面粗さRa 0.8、サイクルタイム35%短縮という結果になりました。[3] A6061-T651の衛星構造フレーム(300×200×50mm)では、段取り替え3回から1回で全寸法公差±0.015mm以内となり、3個のロットでも品質が安定しました。[4] ただし、軸数が増えたこと自体が精度を作るわけではありません。切削中にワークが動けば寸法は出ませんし、機械が温まって伸びれば基準がずれます。治具の剛性と熱変位の管理は3軸でも5軸でも同じように要ります。公開している位置決め精度±0.003mm、面粗度Ra 0.4〜3.2は、この条件が揃った上での値です。[6]
Q. どんな形状なら5軸加工機で削れて、どこから別の工程になりますか?
A. 傾斜面、自由曲面、アンダーカットを含む形状は5軸の側です。深穴のように切りくずの排出が主役になる形状は、軸数ではなく専用機の側になります。[1][5] 5軸加工の例として挙げられているのは、傾斜した軸部のターニングカット、自由曲面、ブリスクやフランジのような複雑形状、航空機のランディングギヤや建設機械の減速ギヤなどのギヤ加工です。[1] 弊社が5軸複合加工の典型用途として公開しているのは、航空機タービンブレード、医療用インプラント、光学レンズ金型、半導体装置の複雑形状部品です。[6] ワンチャックでの5面加工とアンダーカット形状への対応も、あわせて公開しています。[6] 寸法の目安は設備側から引けます。立型5軸マシニングセンター(オークマMU-8000V)のテーブルは630×φ800mm、門型5軸マシニングセンター(オークマMCR-A)の最大加工範囲は2,200×4,000mmです。[5] ただし同時5軸制御と公開しているのは立型の1台で、門型は軸数5としか公開していません。[5] 大物を曲面込みで削る案件では、この違いを先に潰します。 材質は個別の記号ではなくクラスタで公開しています。5軸複合加工の対応材料として挙げているのは合金鋼、ステンレス鋼、工具鋼、非鉄金属で、炭素鋼はこの一覧に入っていません。[6] 実際に加工した記録があるのはTi-6Al-4V(φ250×L180、公差±0.02mm)とA6061-T651(300×200×50mm、公差±0.015mm)です。[3][4] 一覧に無い材質でも、材質記号と要求精度が決まれば、対応可否と見積を回答します。 別工程になるのは深穴です。5軸加工機があっても、深い穴が同じ機械で置き換わるわけではありません。深穴で効くのは軸数ではなく、切りくずを穴の外へ運び出す高圧の切削油の経路だからです。弊社はBTA機(穴径φ20〜600mm、最大深さは機種により650mmから13,000mm)とガンドリル機(φ4〜32mm、最大深さ1,500mm)を、5軸マシニングセンターとは別の設備として持っています。[5] 複雑形状と深穴が1つの部品に同居する図面は、この2種類の設備の間で工程を割ります。
Q. 5軸加工のご相談をいただくとき、弊社が先に確認させていただくのは何ですか?
A. 形状が割出5軸か同時5軸か、材質と熱処理状態、要求公差と面粗度、ワーク寸法、そして認証や深穴のように別経路が要る条件の有無です。[1][6] 見積のためにお願いしているのは、図面、材質、数量、希望納期の4点です。[6] この4点があると、形状を割出5軸と同時5軸のどちらに寄せるか、材質クラスタが対応範囲に乗るか、寸法が立型(630×φ800mm)と門型(2,200×4,000mm)のどちらの側かまでを、実機に載せる前に判断できます。[5][6] 図面に個別の幾何公差が指示されていない部位は、先に等級を決めておくと後の判断が早くなります。個々に幾何公差の指示がない形体には普通幾何公差が適用され、精級(H)、中級(K)、粗級(L)の3等級が定められています。[2] 呼び長さ100mm超300mm以下の真直度と平面度はH級0.2mm、K級0.4mm、L級0.8mm、短辺100mm以下の直角度はH級0.2mm、K級0.4mm、L級0.6mm、円周振れは寸法区分によらずH級0.1mm、K級0.2mm、L級0.5mmです。[2] これは1991年制定版で確認した値で、円筒度、同軸度、傾斜度、位置度、全振れはこの普通公差の対象外とされています。[2] 規格の側が3軸と5軸を区別しているわけではありませんが、段取り替えの回数が減れば基準を取り直す誤差が減るため、どの等級を狙うかという話が現実的になります。[1][2] 認証が条件に入る場合は、先に確認します。弊社自身はAS9100とJIS Q 9100を保有しておらず、認証加工はグループ企業の由紀精密が担当します。[7] 認証を確認するときは、保有の有無だけでなく、適用範囲が設計か製造か両方か、登録対象の事業所はどこか、有効期限はいつまでか、特殊工程のNadcap認証があるかまで見ます。[7] 機械の有無と加工の可否は別です。同じ5軸加工機があっても、実際の結果は治具、工具の突き出し、工具と機械や治具との干渉チェック、加工前のシミュレーションで変わります。機械の導入時に実加工のワークでテストカットを行い、精度と加工時間を確認してから選ぶという進め方が示されているのも、同じ理由からです。[1] 弊社が数値で示せるのは、Ti-6Al-4Vハウジング(±0.02mm、Ra 0.8、25営業日)と、A6061-T651衛星構造フレーム(±0.015mm、15営業日、導電性黒色アルマイト処理まで一貫)の2件です。[3][4]
図面で見ておきたい条件
- 回転2軸が付いても、深穴が同じ機械で置き換わるわけではありません。深い穴で効くのは軸数ではなく、切りくずを穴の外へ運び出す高圧の切削油の経路です。弊社はBTA機(穴径φ20〜600mm、最大深さは機種により650mmから13,000mm)とガンドリル機(φ4〜32mm、最大深さ1,500mm)を、5軸マシニングセンターとは別の設備として持っています。[5]
- ワーク外形が大きい案件は、同時5軸で削れるかを別に確認します。公開している門型5軸マシニングセンター(オークマMCR-A)の最大加工範囲は2,200×4,000mmですが、同時5軸制御と明記しているのは立型のMU-8000V(テーブル630×φ800mm)だけです。[5]
- 5軸複合加工の対応材料として公開しているのは合金鋼、ステンレス鋼、工具鋼、非鉄金属のクラスタで、炭素鋼はこの一覧に入っていません。[6] 炭素鋼の部品を5軸で削る案件は、材質記号と熱処理状態をいただいてから可否を回答します。
相談前に知っておきたいこと
- 弊社自身はAS9100とJIS Q 9100を保有していません。航空宇宙の認証加工が条件に入る案件は、認証を持つグループ企業の由紀精密が担当します。[7] 認証の適用範囲が設計か製造か両方か、登録対象の事業所はどこか、有効期限はいつまでかを、先に確認させてください。[7]
- 同時5軸制御を公開しているのは立型5軸マシニングセンター1台です。[5] 2,000mmを超える大物を曲面込みで削る案件は、ワーク寸法と要求形状をいただいてから、対応可否と費用を回答します。
- 加工時間の短縮率は、このページの数値をそのまま当てはめられません。Ti-6Al-4Vハウジングでサイクルタイム35%短縮という記録はありますが、これは形状と段取り回数が特定された1件の結果です。[3] 短縮率は、現在の段取り回数と工程順が分かってから算出します。
業界での実機事例(参考)

Ti-6Al-4V航空機用ハウジングの5軸加工

A6061衛星構造部品の5軸精密加工
よくある質問
図面がまだ無い段階でも相談できますか?+
5軸加工機を持っていない会社では、同じ部品は作れないのですか?+
自社の部品が割出5軸で足りるか、同時5軸が要るかを見てもらえますか?+
炭素鋼(S45Cなど)の部品でも5軸加工を相談できますか?+
航空宇宙向けでAS9100が必要な案件は、どう進みますか?+
深穴と複雑形状が同じ部品にある場合、依頼先は分けた方がよいですか?+
試作1個だけでも受けてもらえますか?+
3軸で作っている部品を5軸に切り替えると、加工時間はどれくらい短くなりますか?+
支給材でも相談できますか。材料の手配から頼めますか?+
初回の回答を早くするには、何を伝えればよいですか?+
あわせて読みたい情報
参考事例・文献
内部事例
- [3] 加工事例: Ti-6Al-4V航空機用ハウジングの5軸加工
- [4] 加工事例: A6061衛星構造部品の5軸精密加工
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