タングステン加工を外注するとき、加工難易度と対応できる工法をどう確認すればよいか?
まず確認するのは、図面のタングステンが純タングステンか、タングステン合金か、超硬合金かという材料の区別です。タングステンは硬く室温で脆いため、通常の切削だけでなく研削や放電加工を主工程に置く前提で難易度と工程を見ます。[1][8]
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タングステンの区別と工法の想定が固まらないうちでも、素材のグレード記号、部品の形状、要求する寸法公差と面粗度をメモにして送っていただければ確認できます。図面や具体的なアイデアがなくてもOK!材料の切り分けから一緒に進められます。
まず確認すること
最初に確認するのは、図面に書かれた「タングステン」が何を指しているかです。純タングステンの棒材は、素材メーカーのカタログでは純度99.95%以上のAWやEXから、99.00%以上のDW、97.00%以上のLWまで、グレード記号で区別されています。[2] 一方、切削工具の刃先に使われる超硬合金は、炭化タングステン(WC)をコバルトで結合した焼結複合材料で、タングステン金属とは組成の違う別の材料です。[8] この区別が付かないまま見積を依頼すると、加工先は不足した材料情報を自社で扱い慣れた材料の想定で補って読むため、難易度と工法の見立てがずれます。純タングステンは粉末冶金で作られるため層状の組織や結晶方向の偏りが残ることがあり、硬さに加えて室温での脆さが効くため、通常の切削だけでは条件が安定しにくいとされています。[1] 研削、放電加工、レーザー切断が選ばれることが多いのはこのためで、切削を含む場合の工具材種も超硬かダイヤモンドが基本になります。[1]
納期が遅れやすいポイント
- 図面に「タングステン」とだけ書かれていると、純タングステンなのか超硬合金なのかが記載だけでは特定できない[8]
- 硬さだけで難易度を見積もると、室温での脆さによる割れや欠けを見落とす[1]
- 切削前提で立てた加工時間が、研削や放電加工に変わった時点で合わなくなる[1]
- 素材の直径公差と加工後の部品公差を同じ表で見てしまい、達成できる精度の見込みがずれる[2]
- 問い合わせた先が自社加工しか持たないと、受けられないという返答だけで次に進めない
Q. タングステンはどのくらい削りにくい材料なのか?
A. 硬さと室温での脆さが重なるため、通常の切削より研削や放電加工が選ばれやすい材料です。[1] 純タングステンは粉末冶金で作られ、層状の組織や結晶方向の偏りが残ることがあります。方向によって材料の応答が変わるため、通常の切削やフライスでは条件が安定しにくいとされています。[1] 室温では脆く、切削速度と送りと切込みを抑えないと割れや欠けが出やすい点も報告されています。[1] 熱の扱いも直感とずれます。タングステンは熱伝導率が高く、切削点の熱はワーク側へ速く逃げますが、発生した熱そのものは工具の損傷につながりうるとされています。[1] 熱がワークにこもらないことは、工具が楽になることを意味しません。除去速度は一般的な金属より遅く、面粗度を出すのに複数パスが必要になることがあるため、見積の加工時間は同じ形状の鋼材より長く見ておく必要があります。[1] 難削材には規格上の決まった定義がなく、熱伝導率の低さ、加工硬化、切りくずが分断されにくいことなど、どの機構が効くかで難しさの中身が変わります。[7] タングステンで効くのは熱伝導率の低さではなく、硬さと室温での脆さです。対策の方向も、切削条件の微調整より工具材種と工法の選択に寄ります。[1][7]
Q. 純タングステンと超硬合金の区別を、図面と材料指定でどう切り分けるか?
A. グレード記号まで書けているかで切り分けます。同じ「タングステン」でも別の材料です。[8] 超硬合金は、炭化タングステン(WC)をコバルトで結合した焼結複合材料で、切削工具の刃先材として使われます。[8] 純タングステンはタングステン金属そのもので、素材メーカーの棒材カタログでは純度別のグレード記号で区別されています。純度99.95%以上のAW、AX、EX、CY、EP、KT、99.00%以上のDW、97.00%以上のLW、さらに高純度側に99.99%以上の4N-Wと99.999%以上の5N-Wが並びます。[2] 同じカタログには、グレードごとに加工性を含む選定表があります。[2] 図面に「タングステン」とだけ書くのではなくグレード記号まで指定すると、加工先が難易度と工法を読み違えにくくなります。 素材そのものの直径公差も規定されています。0.15mm未満の細径で±0.005mm、18.0mmから40.0mmの範囲で±1.0mmです。[2] これは素材として供給される段階の値で、加工後の部品公差とは別物です。加工後にどこまで詰められるかは、工法と形状が決まってから回答します。[2]
Q. 弊社に依頼いただくとき、事前に確認させていただく条件は何か?
A. 材料の区別、寸法公差と面粗度、形状と数量の3点です。ここが決まると工法と受け方が決まります。[4][5] 放電加工は、導電性があれば硬さに関係なく加工できる工法です。自社の加工条件データでは、寸法精度±0.005mm、面粗度Ra0.8〜3.2、ワイヤー最小半径R0.1mmを標準レンジとしています。[4] 超硬(WC-Co)を板厚40mmで加工した実測値は、加工速度1.5mm²/min、仕上げ重視でパス数4で、同じ表のSKD11(HRC60)の3.2mm²/minより遅くなっています。[4] 硬い材料ほど放電加工の速度が落ちるという傾向は、超硬(WC-Co)とSKD11の自社データで確認できます。[4] 研削加工はHRC60以上の硬質材にも対応しており、工具データにはダイヤモンド砥石(ASAHI-DIA SDC170N100BL)とGC砥石が入っています。[5] 設備は平面研削盤(岡本工作機械製作所PSG-63DX)とNC立軸円テーブル形研削盤(住友重機械ファインテックSVR110)で、いずれも面粗度Ra0.1〜、寸法精度±0.005mmです。[6] ワイヤーカット放電加工機(ファナックROBOCUT α-1iD)は最大ワーク重量1,500kgまでで、硬度に依存しない加工ができる設備として持っています。[6] ただし、これらの設備でのタングステン金属の条件出しは、材質と形状が決まってから行います。弊社が公開している放電加工用電極のページで扱うタングステン系材料は銅タングステン(Cu30%/W70%、硬さ210HV)で、これは電極、つまり工具側の材料です。[3] タングステンそのものをワークとして削る案件も、材質と要求精度が決まった時点で対応可否と見積を回答します。対応できる材質や精度、ロット、納期の範囲は広く持っているため、相談先を切り替えていただく必要はありません。
図面で見ておきたい条件
- 放電加工は導電性がある材料なら硬さに関係なく加工できますが、形状が放電加工に向くかは別の問題で、除去量が大きいほど加工時間が制約になります。超硬(WC-Co)を板厚40mmで加工した自社実測では、加工速度1.5mm²/min、仕上げ重視でパス数4でした。同条件のSKD11(HRC60)は3.2mm²/minです。[4]
- 研削で仕上げる場合の砥石はダイヤモンド系かGC系を使います。タングステン金属向けの条件出しは、材質と形状が決まってから行います。[5]
相談前に知っておきたいこと
- 深江特殊鋼の加工条件データにある加工速度と精度の数値は、超硬(WC-Co)や焼入鋼など硬質材のものです。タングステン金属での条件出しは、材質と形状が決まってから行います。[4][5]
- 公開ページで扱っているタングステン系材料は銅タングステン(Cu30%/W70%、硬さ210HV)で、これは放電加工の電極、つまり工具側の材料です。[3]
よくある質問
図面がまだ固まっていなくても相談できますか?+
純タングステンかタングステン合金か分からない状態でも見積もれますか?+
材料は支給と手配のどちらでも相談できますか?+
タングステンの加工実績はありますか?+
超硬合金(WC-Co)の加工もあわせて相談できますか?+
研削と放電加工のどちらになるかは、いつ決まりますか?+
加工後にどこまで公差を詰められますか?+
試作1個でも相談できますか?+
納期はどのくらい見ておけばよいですか?+
既に他社で割れや欠けが出ている案件でも相談できますか?+
あわせて読みたい情報
参考事例・文献
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